青森放送株式会社様
課題
従来システムのユーザーインターフェースはそのままに、機能を拡張して省力化を図りたい。
解決策
サブシステムやOTC、カメラシステムは従来機の設計思想を踏襲しながらも高機能化された新システムに更新。また、各システムをファイルベースと連携させることで大幅に運用性を向上。
カメラからサブシステム、ファイルベースまで、ユーザーインターフェースに優れたパナソニックさんのシステムで統一でき、非常に使いやすくなりました。
背景
制作・報道スタジオサブの全システムをリプレイス
青森放送様は2021年10月から2022年3月にかけて、制作・報道スタジオサブシステムおよびファイルベースシステムの全面リニューアルを行いました。以前から当社製サブシステムやOTC、カメラシステムを使用していた青森放送様では「これまでのユーザーインターフェースを継続しつつ機能を拡張する」をコンセプトにシステムを検討。特に報道サブは技術スタッフが付かずに報道担当者や記者のみで番組制作を行っているため、OTCの直感的な操作感と運用のしやすさに重点を置いて機器選定を行いました。
導入理由
約15年間の経験から、使いやすさと堅牢性を確信
今回の更新について技術局長の鈴木様は、「従来のサブは大変使い勝手が良く、日々の運用でシステムの堅牢性も実感していたため今回もまたパナソニックさんにお願いしたいと思っていました。ファイルベースについては何社か比較検討し、操作が非常に分かりやすいと感じ採用を決定しました。また、今回の更新にあたり文字起こしを導入したいと考えていたため、ファイルベースに文字起こし機能が搭載されている点は大きなポイントでした。文字を起こすだけでなく編集時の省力化まで図ることができ、まさに我々が求めていたシステムでした」と語ります。
導入後の効果
報道サブ
OTCの新機能で多様な番組を円滑に運用
報道サブのOTCシステムは昼と夜のショートニュースや平日夜のワイドニュース『RABニュースレーダー』など様々な番組で使用されています。以前から報道サブではOTC運用を行っていましたが、今回の更新では従来機からさらにバージョンアップした新機能を使い、より効率的な番組制作ができるようになりました。特にループレックシステム(緊急地震速報を受信した際に県内各所の情報カメラ映像を自動で呼び出すシステム)とファイルベースとの連携により、わずか数回の画面タッチで情報カメラ映像などを送出できる「素材ポン出し機能」は、緊急時にいち早く速報が出せると好評です。また、収録番組ではOTCのRECボタンを押すと自動的にカラーバー→クレジット→ファーストカットへと進み、後はキューシートに合わせてTAKEするだけで完パケ収録ができる「REC機能」も活用されており、円滑な番組制作に貢献しています。
技術局放送技術部の鹿原様は、「パナソニックさんのOTCは非常に分かりやすく、今回の更新後も報道担当者や記者から“分からない”と言われたことはありません。運用していく中で私たち技術の人間に何の問い合わせも来ないことは最大の評価だと思っています」と語ります。
報道フロアに設置した緊急送出端末で、アナウンサー1名による番組送出を実現
報道フロアの中央にはリモートカメラで撮影する簡易スタジオが配備されており、自然災害などの緊急時にアナウンサーが原稿を読みながら情報カメラ映像をスイッチングできるようになっています。鈴木技術局長は、「更新以前は顔出しカメラとして撮影するのみの簡易スタジオでしたが、今回はアナウンサーがワンタッチ操作ですぐに扱える“もう1つのサブ”として構築しました。手元のノートPCには県内各所の情報カメラ映像が表示されており、9面分割された画面から選択するだけで、伝えたい場所の映像を瞬時に送出できるようになっています」と語ります。
カメラとバーチャルシステム、OTCの連携により、簡単操作で仮想ビデオウォールを実現
報道スタジオのカメラには、バーチャルシステムと接続可能なリモートカメラAW-UE150Kを3台と、スタジオカメラAK-UC4000を1台導入。技術局放送技術部の齋藤様は、「『RABニュースレーダー』では再撮用モニターを使わずバーチャルのビデオウォールを表示させているため、カメラはバーチャルシステム用のトラッキングデータを出力できるAW-UE150Kを採用しました。さらに今回、バーチャルシステムとOTCと連携させ、OPT画面内に「VW列(ビデオウォール列)」を追加していただきました。これにより、OTCから簡単にバーチャルビデオウォールの素材切り替えができるようになりました」と語ります。
制作サブ
ルーターを共有化し、設定作業を効率化
平日午後のワイド番組や、年に1度の青森県民駅伝などの大規模特番で使用される制作サブのスイッチャーにはAV-HS7300を採用。また、ルーターはAV-WM7500を234入力×144出力で導入し、報道サブと共有化しました。
技術局放送技術部の飛内様は、「パナソニックさんのスイッチャーは説明書を読まなくても分かるほど直感的で理解しやすいつくりになっており、日々の運用から特番までマルチに使用できています。また、今回から制作サブと報道サブのルーターを共有化したことで運用性が大幅に向上しました。以前はそれぞれにルーターを設けていたため、報道サブ側の各種設定を行う際は技術の人間が報道サブまで行って操作していたのですが、現在は制作サブのPCから遠隔で設定できるため両サブを効率的に運用できるようになりました」と語ります。
ファイルベースシステム
高い操作性と優れた文字起こし機能により省力化を実現
ファイルベースシステムの導入により、日々の業務フローが大きく変わったと鹿原様は語ります。
「以前までは取材してきた素材をメディアに収録し、人の手で素材の管理を行っていました。また、送出サーバーが老朽化し不安定だったこと、報道支援と連携していなかったためにインジェスト素材の管理ができなかったことなど様々な課題がありました。今回の更新により、人が手で行っていた一連の作業をファイルベースシステムに任せ、取材から編集、送出、アーカイブまで一括で管理できるようになりました。さらに、インジェストした素材は報道支援端末でプレビューできるため、記者が素材を見ながら記事を書けるようになった点も大きな業務改善につながりました」
また、鈴木技術局長は、「ファイルベースに搭載されている文字起こし機能は非常に便利です。この機能は文字起こしをするだけでなく、起こした部分を指定して編集機に転送すると、その部分だけ抜き取ってCLIPデータにできるのです。よく使用しているのは記者会見映像ですが、長時間のデータの中から使いたい部分がどこかを伝え、編集マンがその部分を探すという手間もなくなりました。記者にとっても編集マンにとっても業務効率化が図れる夢のような機能ですね。実際に使用している者からは、文字起こしに費やしていた時間が別のことに使えるようになったと大変好評です」と語ります。
納入機器
制作サブ
- ライブスイッチャー AV-HS7300
- ルーティングスイッチャー AV-WM7500
- ペリフェラル棚 AVPF3000シリーズ
- 棚板 AV-PF30U2
- SDAユニット AV-PF30M1
- 2CH SDAユニット AV-PF30M2
- AVDL/FSユニット AV-PF30M3
- MUXユニット AV-PF30M4
- DMUXユニット AV-PF30M5
- スタジオ監視用リモートカメラ AW-UE4KGN
- モニター
- 65型LCD TV TH-65JX950
- 49型LCD TV TH-49JX850
- 17型LCDモニター BT-LH1770
- 音声システム一式
報道サブ
- 2MEライブスイッチャー AV-HS6000
- ペリフェラル棚
- 棚板 AV-PF30U2
- SDAユニット AV-PF30M1
- 2CH SDAユニット AV-PF30M2
- AVDL/FSユニット AV-PF30M3
- MUXユニット AV-PF30M4
- DMUXユニット AV-PF30M5
- OTC関連
- OTCサーバー
- OPT端末
- 16分割端末
- 残時間端末
- OTC制御装置 AV-SA3000
- カメラシステム
- 4Kスタジオカメラ AK-UC4000
- カメラコントロールユニット AK-UCU600
- 9型LCDカラービューファインダー AK-HVF100GJ
- 0.7型フルHD OLED カラービューファインダー AJ-CVF70GJ
- 4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE150K
- リモートオペレーションパネル AK-HRP1000
- リモートカメラコントローラー AW-RP150GJ
- リモートカメラコントローラー AW-RP60GJ
- プロンプター(UE150用)
- プロンプター(UC4000用)
- 原稿カメラ
- HDインテグレーテッドカメラ AW-HE70SK9
- モニター
- 55型LCD TV TH-55JX950
- 17型LCDモニター BT-LH1770
- 音声システム一式
ファイルベース
- ファイルベースシステム一式
制作サブ/報道サブ映像システム概略図
ワークフロー概略図
お客様の声
綿密な打ち合わせ、長期間の工事など、とても熱心に対応していただきました
今回の更新にあたり、パナソニックさんとは半年近く綿密な打ち合わせを重ねて構築していきました。工事期間中はコロナ禍で大変だったと思いますが、毎回検査を受けてから来てくださったり、なるべく当社の人間に接触しない時間帯を狙って工事してくださったりと、皆さまの心遣いが大変ありがたかったです。また、工事期間中の追加のお願いにも柔軟に応えていたただき、問い合わせの際もいつもスムーズで、とても感謝しています。(技術局長 鈴木様)
お客様紹介
ローカルワイドニュースの草分け的存在
青森放送株式会社(RAB)様は1953年に「株式会社ラジオ青森」として開局し、1959年にテレビ放送を開始。1970年から放送されている長寿番組『RABニュースレーダー』は全国初のローカルワイドニュースであり、放送開始から50年以上経った現在も高視聴率を維持し、多くの県民に愛され続けています。
4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE150W/K
4K/60p(UHD 3840×2160/59.94p)の滑らかな高画質映像と、高倍率ズーム、広角撮影で高品位な映像制作を実現する次世代リモートカメラ。