定温輸送のパイオニアと挑むスマート物流
「世界標準×日本品質」で現場から始める全体最適化
共創で実現する、「スマート物流」
パナソニックグループが国内物流事業を始めたのは、1980年。以来、お客さまとともに、独自の技術やノウハウを蓄積してきました。2010年代以降は、デジタル化やグローバル化に対応して欧米のソフトウェア企業をグループ会社化するなど、世界基準のソリューションを国内にも提供しています。
そうした中、パナソニック コネクトが福岡運輸さまと共創して取り組んでいるのが、「スマート物流」の推進です。
CONNECTer 渡辺 隆弘
パナソニック コネクト株式会社
現場ソリューションカンパニー
現場サプライチェーン本部
人手不足、ニーズの多様化、法規制…変革が求められる物流業界
福岡運輸さまは、「定温輸送」のパイオニアです。1958年に日本で初めて機械式冷凍輸送車を開発され、今では国内グループ拠点93カ所、協力会社300社と連携し、コールドチェーンの全国ネットワークを確立されています。
さらに、物流DXの取り組みも早くから推進されており、車両管理システムやバース予約・受付システムなどの稼働開始に続き、2021年には物流情報プラットフォーム「TUNAGU」を構築。社内外・職種・業務の垣根を越え、物流情報を連携して活用する体制を整備されています。
その背景には、「人手不足」「長時間労働」「離職率の高さ」「人へ過度に依存した業務」など、「2024年問題」をはじめとした物流業界共通の課題がありました。荷量の増加・配送ニーズの多様化に伴う配車計画の複雑化や、紙・電話・FAXといったアナログな手段でのオペレーションによる限界などへの対策が急務だったのです。
当社のソリューションを活用して、課題を解決できないか──。そうした思いから、共創の取り組みをスタートさせました。
「あくまで現場起点」という共通認識
最初に取り組んだのが、「配送プロセスの可視化」です。福岡運輸さまが利用されていた動態管理システムは、配送中の荷物の情報などまでは把握できない仕様でした。そこで、当社の配送進捗管理システム「ZetesChronos™(ゼテス クロノス)」を導入し、課題解決を目指しました。
「DXは目的ではない」「あくまで現場起点で課題解決を」。プロジェクトの着実な推進に際しては、福岡運輸さまとこうした共通認識があったことが大きかったですね。
たとえば、食品配送特有のポイントとして、温度帯の細かな管理があります。冷凍品、チルド品など、多様な品目に応じて、荷台を適正な温度に設定しなくてはなりません。そうした付帯作業も、情報システム部門および現場の各責任者と一丸となって議論を重ね、ZetesChronosで一括して確認できるようにしました。検品の運用も同様です。現場のオペレーション負荷に最大限配慮しながら、詳細を詰めて検品の粒度を決め、ZetesChronosの運用に落とし込んでいきました。
当社のソリューションの多くは「One to Some」という設計思想のもと、多様なお客さまの要望に柔軟に応えられるようにしています。グローバルでの成功事例で洗練された業界標準のコアを基本としながら、特有の機能はアドオンで調整し、持続可能な物流システムを構築していきます。だからこそ、今回のようにグローバルスタンダードのパッケージを活かしつつ、現場の柔軟性や対応力といった優れたノウハウを掛け合わせることで、現場の運用において最適な業務フローを実現できるのです。これはまた、当社の国内SCM(サプライチェーンマネジメント)事業コンセプト「現場から始める全体最適化」を具現化するための、不可欠な要素でもあります。
可視化・デジタル化で、生産性が着実に向上
ZetesChronosに次いで、倉庫実行管理システム「ZetesMedea™(ゼテス メディア)」も導入しました。ZetesChronosは、荷物が倉庫に届いてから集配先に届けるまでを管理するパッケージのため、さらなる効率化に向けて、倉庫に届く前のプロセスの可視化・デジタル化の実現が求められていたからです。
この2つのシステムを導入したことで、サプライチェーン全体の最適化に一歩近づくことができました。ZetesChronosでは、配送プロセスのリアルタイムな可視化による「誤配・遅延の防止」や作業のデジタル化による「生産性と配送品質の向上」を実現し、ZetesMedeaでは、既存システムとの連携による「倉庫内プロセスの最適化」や専用アプリの構築による「作業の標準化・効率化」などに寄与しています。
その結果、荷主さまからの問い合わせ対応は月1,150時間、ドライバー間や配車管理者の対応は月2,760時間の削減を達成。倉庫でのトラックへの積み込み・荷卸しのリアルタイムな可視化では、管理業務の工数を約80%削減という成果も出ています。
物流効率化法の改正など、物流を取り巻く環境は変革期にあります。「導入して終わり」ではなく、福岡運輸さまと定期的にコミュニケーションを取り、継続してシステム改善を図っているところです。
これからも「本質的な価値提供」を
これからは、データの活用にも力を入れる考えです。たとえば、物流効率化法の改正で、特定事業者は荷待ち時間や積載効率などの定期報告が義務付けられます。その際、現場の実績データを取得していなければ、レポートを作成することはできません。当社のソリューションはそうしたデータを可視化した上で、分析やレポートとして自動出力する機能を備えています。
データ活用を巡っては今後、AIのさらなる活用も見込まれます。とはいえ、AI時代がさらに深化していったとしても、「“現場”の課題をどう解決するか」という基本姿勢は不変です。現場起点でお客さまとコミュニケーションを重ね、物流業界の改革を率いていけるよう、「本質的な価値提供」を今後も心がけていきたいですね。
福岡運輸株式会社
業務推進部 次長 兼 システム課長
生津 瑠美 氏
【コメント】
物流の業務は、常に荷物の場所が移動し続けるため「いつ・どこで・どんな状態なのか」を可視化しにくいことが悩みでした。パナソニック コネクトさんのソリューションでは既に使用している基幹システムと連携できるとともに、配送現場でも壊れにくい頑丈な端末を使えるということで、導入を決めました。運用後は、ドライバー・車両・荷物の状態が可視化され、全社でデータが共有できるようになりました。進捗状況に応じて臨機応変に集配計画を変更できる最適化につながっています。
これまでさまざまなシステム会社の方とお付き合いしてきましたが、パナソニック コネクトさんは現場の物流業務の理解度が非常に高く、他社事例もよくご存知です。新機能を入れられないかとお願いした際も「できません」と突っぱねるのではなく、必ず何らかの検討をしていただいた上で回答をくださり、とても助かっています。社内でも「困ったときのパナソニック コネクトさん」と呼んでいるように、非常に心強いパートナーだと感じています。