出発点は「レッツノートがない世の中」? 数年先を見据える商品企画の思い


軽さ、頑丈さ、バッテリー駆動時間の長さにこだわってつくられた働く人のためのモバイルPC「レッツノート」。その本質的な価値はレッツノートを取り巻く「人」が生み出しているのです。
 

『わたしとレッツノートの舞台裏』では、レッツノートをかたちづくる人たちの仕事にかける思いや舞台裏の知られざるエピソードを紹介します! 今回登場するのは、レッツノートの商品企画の佐藤敬太郎さんです。実は佐藤さんは、別会社でPCの商品企画をしていた経験の持ち主。「顧客起点」を体現する商品企画の考え方や、これから生み出そうとしている未来のレッツノートについて伺いました。


商品企画 佐藤

佐藤敬太郎

2019年、パナソニック コネクティッドソリューションズ社(現 パナソニック コネクト)に入社。商品企画に配属され、レッツノートの新商品企画に携わる。2021年に発売した「FVシリーズ」や2022年の「SRシリーズ」を担当。


商品企画はレッツノートの出発点

――レッツノート事業における商品企画の役割やミッションを教えてください。

佐藤:商品企画はレッツノートという商品の出発点だと考えています。レッツノートにどんな価値があるのか、お客さまに求められているサービスやソリューションはどのような内容か。さらには、お客さまもまだ気づいていない潜在的な課題はなにか、といったさまざまなケースを市場や働き方の変化を予測しながら広く検討するのが役割です。

また商品企画には、大きく分けて2つの位置付けがあります。「新しいラインアップを考えること」と、「すでにある商品をどう改善するか」という関わり方です。私はおもに前者を担当しています。新たなラインアップを考えるうえでは、長期的な視点が求められるので10年後の働き方を想像する必要があるんですよね。


商品企画佐藤2

――別会社でPCの商品企画をされた経験もお持ちとのことですが、レッツノートでの商品企画との違いなどはあるのでしょうか。

佐藤:前職はPCのラインナップが豊富で、グローバル展開をしている会社だったので、たくさんの商品をいかに早く世に送り出すかにフォーカスしていました。グローバルマーケットを見て、米国やEUにニーズがある場合はそこで商品を販売し、日本で販売する商品はローカライズしていくという考え方ですね。

一方、レッツノートは神戸に生産工場があり、ほとんどが国内の法人のお客さまです。日本のお客さまが、どこでどんな使い方をしているかに徹底的に向き合い、後悔なく使っていただくことに価値を見出す姿勢は新鮮でした。「こんなに日本のことを考えたことはなかったな」というのが、入社時の素直な感想です。

――レッツノート事業における理想的な商品企画はどのようなものだと考えていますか?

佐藤:レッツノートによって「どんなことを生み出したいか」を検討して、サポートを終えるときまでをプロデュースできる仕事です。新しい商品を生み出すことばかりに重点を置くのではなく、もっと広いプロセスに関わって、商品に魂を吹き込んでいく。現在だと、商品のライフサイクルを見据えて、環境や世の中に貢献できる長期視点での商品企画がたいせつだと考えています。


商品企画佐藤3

お客さまが語らない「未来の働き方」を想像して

――佐藤さんがお仕事をしていくうえで、たいせつにしている考え方を教えてください

佐藤:「お客さまがすべての答えを知っているわけではない」というスタンスですかね。お客さまにヒアリングする機会は多いんですが、お客さまが語るのは過去と現在の話です。あたりまえですが、誰もまだ見ぬ未来の働き方を言語化することは難しい。でも、商品企画は2、3年後に市場に投入する商品を考えます。

過去と現在と未来のギャップをどう埋めるか。かんたんなことではないですが、それこそが私たちがしっかり考えるべきことですね。

そして、お客さまの意見は、いろいろな部門を経由するのではなく「商品企画が直接聞く」ことをたいせつにしています。間に人が入れば入るほど、表現が変わり、本質が見えなくなってしまうからです。「満足しています」と言われると非常に困ってしまいますが(笑)。

――実際、どのようにお客さまのニーズをくみとっているのでしょうか。

佐藤:以前、「営業に使う12インチのレッツノートがほしい」とある企業さまからいわれたことがありました。12インチがほしいのだから、その商品をご提供すればよいのですが、その際にも「お客さまの真の課題はなにか」をくみとるようにしてみたんです。

ヒアリング当初は、「小さい画面の方が持ち運びに便利」というお考えでしたが、昨今の勤務の状況を伺うと「在宅が増えてきた」とのこと。これからも在宅での仕事時間が増えていくのなら、大きな画面の方が仕事の効率が上がるのでは、とご提案し、14インチを試していただいたところ、当初希望していた12インチではなく14インチで発注をしていただきました。

商品を購入した先の「数年後の働く環境」をお客さまとともにイメージすることで、本当に必要な商品を提供できると考えています。


商品企画佐藤4

――なるほど、レッツノートという商品を提供するだけではないのですね

佐藤:そうですね。お客さまが求める商品をそのまま提供するのであれば、商品企画という職能は必要ないんです。そして、お客さまとの関係においては、レッツノート以外のことでも頼られる存在でありたいと思ってます。

実際、「IT戦略を立てたいので、ハードやソフトを含めた業界動向を知りたい」とお客さまから相談されたことがあります。商品という枠を超え、「ビジネスパートナーとして認めていただけた」と、とても嬉しかったですね。これからもお客さまのビジネスに寄り添い、ときにはお客さまの事業をひっぱっていく、架け橋のような存在でありたいです。

「もし、レッツノートがなかったら」を想像してみる

――未来の働き方、レッツノートのあり方を想像する際に、どのようなことを考えているのでしょうか。

佐藤:コロナ禍で一斉に在宅勤務が普及したように、変化が速い世の中です。そんななかで新しいレッツノートのあり方を考えるときに、個人的に妄想しているのは「世の中からレッツノートがなくなってしまったら」ということです。


商品企画佐藤5

――レッツノートの商品企画をしながら「レッツノートがない社会」を想像しているのですか!?

佐藤:そうですね(笑)。ビジネスの大前提を私たち自身が覆すことで、本当に必要とされるモノや求められるサービスが浮き彫りになると思います。レッツノートの商品企画ですが、レッツノートにとらわれない発想を残したい。

それが、「パナソニック文化」をあまり知らない私に求められていることでもあるのかな、と。顧客起点を大切にしながらも、自らが「世に問うていく商品」があってもよいのではと思っているんですよね。

そして、お客さまのビジネスに貢献することが第一でありながらも、レッツノートを通して社会や個人の生活もよりよい方向に導くことこそが大命題だと考えています。レッツノートが仕事の相棒として、ビジネスの生産性にしっかり貢献することで、仕事以外のことに向き合う時間や余裕が生まれたらうれしいですね。

――最後にレッツノートユーザーの方々に向けて、メッセージをお願いします。

佐藤:まずレッツノートの価値を認め、利用してくださるユーザーのみなさまにお礼を申し上げます。レッツノートの代名詞ともいえる「堅牢性」や「バッテリー駆動時間の長さ」「軽量」などは、その時代のビジネスの課題に真剣に向き合ってきたから生まれたものです。

これからも、日本のビジネスパーソンをしっかりサポートする姿勢を忘れずにやっていきます。未来の働き方を想像しながら、その時代にマッチするレッツノートを企画していきますので、引き続きよろしくお願いします。


商品企画佐藤6

 

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