わたしとレッツノートの舞台裏
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“10年先の働く姿”を想像して。レッツノート「SRシリーズ」のデザインに込めた思い
軽さ、頑丈さ、バッテリー駆動時間の長さにこだわってつくられた働く人のためのモバイルPC「レッツノート」。その本質的な価値はレッツノートを取り巻く「人」が生み出しているのです。
『わたしとレッツノートの舞台裏』では、レッツノートをかたちづくる人たちの仕事にかける思いや舞台裏の知られざるエピソードを紹介します! 今回登場するのは、SRシリーズをデザインした上原さんです。どんな場所にもなじむ、シンプルかつ親しみやすいデザインに込めた思いをお伺いしました。
上原菜月
2018年、パナソニックコネクティッドソリューションズ(現・パナソニックコネクト)に入社。デザインセンターに配属され、セキュリティーカメラとレッツノートのプロダクトデザインに携わる。2020年度から、2022年10月に発売されたレッツノート「SRシリーズ」のデザインを担当。
「うまく言えないけど、なんかいい」が理想のほめ言葉
――レッツノートをデザインするうえでの、上原さんの役割を教えてください。
上原:SRシリーズでは、筐体すべてのデザインを担当しています。同じプロダクトデザインでも製品による違いがあり、車のデザインなどは外装や内装で分業制となっていますが、基本的にレッツノートのデザイナーは、ひとりですべてを手がけているんです。2022年10月発売の「SRシリーズ」は、おおよそ発売の2年前からデザインに取り掛かかりました。
実は、パナソニックの全社員がレッツノートユーザーなんです。だからこそ、「いま自分がデザインを担当しています」というと、みなさんからさまざまな意見や要望をダイレクトにいただけるのがうれしくもあり、ちょっとプレッシャーでもあります(笑)。
――デザインするにあたり、大切にしたことはなんですか?
上原:「開発に携わるみなさんの想いをかたちにして、誠実に、丁寧につくる」というのを信条にしています。レッツノートの開発では、機構や電気、回路、ソフトなど、各分野のスペシャリストが試行錯誤を繰り返してそれぞれの部品を設計しています。そのプロの仕事を、最も使いやすい形に仕上げるのが私たちデザイナーの仕事です。ときには、設計の担当者さんと一緒に0.1㎜単位で調整しながら、根気強く検証を繰り返して、ようやく問題をクリアできるということもあります。
――まさに“専門家集団のこだわりの結晶”ともいえるのがレッツノートなんですね。SRが発売されましたが、反応はいかがでしょうか。
上原:ありがたいことに、好評です。私にとって、最高のほめ言葉は、「レッツノートってなんかいいね、うまくいい表せないけど」なんです。こだわり抜かれた微細なパーツの形状や配置を、直観的に「あ、これ何かいい。自分にしっくりくる」とお客さまに感じてもらえたら最高です。苦労も報われますね。
どこか1つの部分が目立つのではなく、製品全体として調和がとれていること。自然とユーザーの手になじんで、気持ちよく仕事をしてもらえること。それが理想のデザインだと思っています。
0.1㎜単位で調整されたパーツから構成されるレッツノート
“とっつきやすい”デザインでユーザーのすそ野を広げたい
――では「SR」シリーズのデザインについて具体的に教えてください。
上原:今回めざしたのは、「初めて使う人でも“とっつきやすい”デザイン」です。
実は入社して初めてレッツノートを支給されたとき、やけにごつごつしたパソコンだなぁ、と驚いた記憶があります。その印象が強くて、ずっと「レッツノートって実際はすごく使いやすいのに、初めて見た人はちょっと手を伸ばしにくいだろうな……」と思っていました。だから、ユーザーのすそ野を広げるためにも、とっつきやすいデザインをめざしました。
――どんなところに「とっつきやすさ」が表れていますか?
上原:端的にいえば、「シンプルな形状」です。
例えば、これまでの天板は、凹凸があるボコボコした形状をしていましたが、SRはほぼフラット。すっきりした見た目にしています。また、カラーリングに関しては、20年前から継承している、頑丈な印象を与えるキラキラ輝くシルバーの色味をやめて、職場でも自宅でも、どんな場所にもなじんで主張しすぎない「カームグレイ」を採用しました。
「ビジネスのプロためのモバイルPC」として、20年以上前に誕生したレッツノートは、正直、“男性らしいデザイン”だったと思います。でも、いまは働き方や働く場所を自由に選べる「ハイブリットワーク」が進んで、女性のお客さまも増えてきました。
「軽量、頑丈、長時間」という軸は変えずに、女性でも親しみやすい、「愛されるレッツノート」にしていきたいという思いがありました。
――もし、デザインのプロセスにおいて新しくチャレンジしたことがあれば教えてください。
上原:はい。開発着手の前に、社内でレッツノートに関わる事業部の人たちが集まって、デザインについて考えるワークショップの機会を設けました。他社製モバイルPCの実機を並べて、どういうところが優れているのか確認し、SRシリーズへのいかし方について検討しました。
他社製品では、緩衝ゴムやネジが目につかないように巧みに隠し込んで、なるべくシンプルな外見になる仕上げをしてるんですけど、レッツノートは機能性を追求してきたこともあって、ディティールの仕上げについては洗練できる部分がありました。他社製品と見比べてみて、あらためてそうした改良の余地を確認できたのは良かったと思います。
とくに、営業さんからお客さまのご意見を具体的にヒアリングできたのが大きかったですね。言葉を選ばずにいえば、「ギラギラしたシルバーの天板がちょっとダサい」という声が少なからずあって、そうした声が今回の天板の形状とカラーリングの変更に大きく影響しています。天板はモバイルPCのいわば“顔”で、商談の際など、最も相手に見られる部分です。ユーザーの姿が美しく見えて、商談や仕事の相手に好印象を与える。そんなデザインをめざしました。
その後も何度か部署横断のワークショップを開催して、レッツノートのひとつひとつの構成要素を見つめ直す機会を設けました。いまの状態が本当にベストなのか、働く人にとって、最高のモバイルPCになっているのか、そうしたことをさまざまな目線で話し合い、自問自答しながら開発に反映していったんです。
――「レッツノート」はみんなでつくっているんですね。
上原:本当にその通りだと思います。事業部のメンバーだけではなく、コロナ前は、お客さまに集まっていただいてご意見を聞いたり、お客さまの仕事場に数日間張り付いて、実際にどう使われているのかを参考にして、開発に反映していたということも聞きました。
お客さまと作り手である私たちの双方が、“いいね、これ”と思えるレッツノートを、これからも一緒につくっていきたいですね。そのためには、もっともっと現場に入りこんで、お客さまに寄り添いたいと思ってます。「現場起点」、そして「顧客起点」がレッツノートの信念です。
お客さまと一緒に自分も成長していきたい
――最後にレッツノートユーザーの方々に向けて、メッセージをお願いします。
上原:みなさま、いつもお仕事お疲れさまです。まずは、これまでレッツノートをご愛顧いただきありがとうございます。
レッツノートは、「お客さまの理想の働き方」を26年間追い求めてきました。今回発売されたSRシリーズも、「“自由な働き方”が当たり前となった現在に求められるモバイルPCの理想形」を定義したうえで、デザインしました。あらゆるシーンで使いやすいように、シンプルな形状かつ落ち着いたトーンで、誰もが日々持ち歩きやすいモバイルPCを実現できたと思います。
その一方で、本当にレッツノートをずっと愛用してくださっている方に伝えたいのは、レッツノートが、「快適なビジネスのためのデザインであることは不変」ということです。いつでも、どこでもアクティブに働けて、自分のパフォーマンスを最大限に発揮できる。それを何より大切にしていることは、変わっていません。ですから、これまでレッツノートをお使いいただいている方にも、SRシリーズは必ずご満足いただけると思います。
繰り返しになりますが、レッツノートはお客さまと一緒に進化を続けたいという思いでつくられています。今回、私は5年、10年先のビジネスパーソンの働く姿、未来の理想的な働き方を想像しながらデザインしました。たかがパソコンですが、頼れる相棒として、皆さんの未来にSRシリーズを一緒に連れていってもらえるとうれしいです。
私もまだまだデザイナーとして力不足の部分も多いので、お客さまからご意見をいただきながら、成長していきたいと思います。さらに未来を見据えて、これからもデザインに取り組んでいきます。