株式会社テレビ新広島様
課題
新社屋への移転にともない、高い運用性を備えた報道・制作サブを構築したい。
解決策
マニュアルとOTCのハイブリッド運用により、様々な番組に円滑に対応する報道サブを構築。また報道・制作ともにファイルベースシステムでデータの統合管理を実現。
システム検討時に実施していただいたデモを見て、「これはパナソニックさん以外考えられない」と満場一致で採用を決めました。
背景
新社屋建設にともない、3つのサブから2つのサブに機能を凝縮
2021年3月、テレビ新広島様が新社屋へ移転しました。旧社屋ではメインのサブ、スポーツの受けサブ、ショートニュースを行う報道サブに分け3つのサブで運用していましたが、新社屋建設を機に制作と報道の2つのサブ体制に変更。制作サブは受けサブとしても使えるよう整備し、さらに大規模な特番でも仮設の機器を持ち込まずに対応できるよう機能を拡張しました。従来OTC運用のみで行っていた報道サブは、マニュアル運用とOTC運用のハイブリッドシステムを構築することで、ショートニュースはもちろん長尺のニュース番組にも対応できるようにしました。
導入理由
どこまでも使いやすさを追求しシステムを選定
報道サブのライブスイッチャーは、従来から制作サブで使用しほぼトラブルがなかった安定性が評価されAV-HS7300を採用。また、高機能ながら省スペースで設置可能なコンパクトOTCも導入しました。さらに今回はテレビ新広島様で初となるファイルベースシステムを導入。テープでの素材管理からサーバーでの一括管理に移行しました。導入を担当した映像技術部の吉田恭祐様は、「OTCやファイルベースは4社ほどにデモを実施していただき、GUIの分かりやすさや使い勝手の良さを見て満場一致で“パナソニックさん以外考えられない”と決定しました」と語ります。
導入後の効果
報道サブはマニュアルとOTCの一括切り替えで円滑に運用
旧社屋では、長尺のニュース番組は情報番組と同じメインのスタジオ・サブで制作していましたが、新社屋では、常時報道用に用意されたスタジオから素早い情報発信ができるよう「報道番組は全て報道スタジオ・サブで運行する」という新たなコンセプトを掲げました。従来OTC運用を行っていたショートニュースは変わらずOTCで行い、夕方の長尺ニュース「TSSライク!」はライブスイッチャーAV-HS7300でマニュアル運用を行います。スイッチャーとOTCは「MANUAL」/「OTC」と書かれた卓上の運用切り替えボタンを押すだけでシステムを一括で切り替えることができ、突然の特番の際も混乱なく運行することが可能です。また、「MANUAL」選択時はOTC関連機器を強制的に無効にする機能を持たせ、スイッチャー使用時に万が一誤ってOTCのボタンやタッチパネルを押してしまった場合でも番組進行を止めないよう安全性に配慮しました。
OTCの自動収録機能を使ってスムーズに天気予報を制作
OTCには自動収録機能が備わっており、テレビ新広島様では毎日の夜間の天気予報に活用しています。吉田様は、「夜間の天気予報は事前にサブで収録してマスターに渡しており、番組開始3秒前から捨てカットを入れたり、クレジットを7秒間挿入したりと固定のフォーマットがあります。以前までは時計の針を見ながら手動でTAKEしていたため、どうしても何フレームかのズレが生まれていましたが、パナソニックさんのOTCはタイムコードに沿って自動で切り替えて収録してくれるので、ズレもなく、毎日のスタッフの業務が効率化されました」と語ります。
報道サブは音声システムもマニュアルとOTCのハイブリッド体制を構築
報道サブの音声システムはショートニュース用のOTCミキサー(花岡無線電機株式会社製)と、夕方のニュースや特番用のマニュアルミキサー(CALREC製)を配備。その設計や施工工事をパナソニックがサポートしました。音声システムを担当した株式会社TSSプロダクションの田町浩一様にお話を伺いました。「報道サブではマニュアルオペレート時もワンマンオペレートの機会が多いため、パッチ替えの際はラック室に行かずともコンソール付近で行えるようAoIPを活用し、OUT MTRXの設計を行いました。AoIPを活用することで物理的なI/Oを削減し、コンパクトで自由度の高い操作が可能になっています。また、ANNカフやアナ指令、送り返しがマニュアルとOTCどちらの運用時でも同じように使用できるよう設計しています。他室間とのリダンダントを考慮したことも重要なポイントでした。難しい調整が度々行われましたが、こちらの要望に柔軟に応えていただき、使いやすい音声システムが完成しました」
ファイルベースシステムにより、日々の業務フローを一新
これまでは、取材した素材をディスクからノンリニア編集機に入れ、さらにアーカイブのインジェスト端末へ入れ、編集が済むとテープを持って階段を上がったりしながら遠くのサブまで走って持っていくという流れが行われていました。しかし今回、収録・編集・送出・アーカイブをトータルで管理できるファイルベースシステムを導入したことで、この一連の作業がすべてネットワークで対応できるようになりました。吉田様は、「ファイルベースのおかげで日々の業務フローが大幅に変化しました。編集の際も、これまではローカルのハードディスクにEDIUSのプロジェクトや素材を入れて行っていたため、例えば2日間にわたり作業が発生した場合、前日に使用した編集機と同じ編集機で翌日も作業しなければならず、編集機の確保やスケジューリングが負担になっていました。ファイルベースシステムに移行してからはどの編集機からもすぐにデータを取り出すことができ、万が一その編集機に不具合が生じてもすぐに隣の編集機を使用できるため非常に効率的になりました」と語ります。
アーカイブシステムとの連携で過去素材の利用頻度も向上
テレビ新広島様では2014年からパナソニックのアーカイブシステムを導入しており、今回ファイルベースシステムと連携したことで使いやすさが向上したと、株式会社TSSソフトウェアの三浦慎一様は語ります。「2014年のアーカイブシステム導入時には、TSS独自の映像素材検索システム『ビデオサーチシステム』と連携していただき、使いやすいシステムを実現しました。今回のファイルベース導入にあたっては、これまでの機能はそのままに、さらに便利に使用できるようパナソニックさんと何度も打ち合わせしながらシステムを構築しました。ファイルベースとの連携により、素材の読み込みやメタ情報の入力に掛かっていた時間を大幅に削減し、半自動でアーカイブできるようになりました。アーカイブ作業が簡単になったことで過去映像を再利用する頻度も増え、今まで以上に活用されるようになりました」
報道サブと制作サブを同一規模にすることで代替えサブとしても運用可能に
制作サブでは、旧社屋で使用していたライブスイッチャーAV-HS7300とルーティングスイッチャーAV-WM7300の入出力を72×72に拡張して移設。さらに、報道サブも制作サブと同様のシステム規模で構築し、室間端子盤で切り替えることで制作スタジオ/報道スタジオをどちらのサブからもドライブできるようにしました。これにより、片方のサブの更新時なども問題なく番組制作が続行できる体制を実現しました。
制作サブ/報道サブ映像システム
OTCシステム(左)とファイルベースシステム(右)
納入機器
- ライブスイッチャー AV-HS7300
- ルーティングスイッチャー(72×72) AV-WM7300
- ペリフェラル AV-PF3000シリーズ
- SDAユニット AV-PF30M1
- 2ch SDAユニット AV-PF30M2
- AVDL/FSユニット AV-PF30M3
- MUXユニット AV-PF30M4
- DMUXユニット AV-PF30M5
- 他映像システム 一式
- OTCシステム
- OTCサーバー 一式
- OPT 一式
- 残時間表示端末 一式
- OTC制御装置 AV-SA3000
- 音声システム 一式
- ファイルベースシステム 一式
お客様の声
これからもタッグを組んで使いやすいシステムを構築していきたい
システムの精度はもちろんですが、熱心な対応も含めて、パナソニックさんにお願いして良かったと思っています。恐らくコロナ禍での対応は通常時とは勝手が異なることも多かっただろうと思いますが、パナソニックさんのスムーズな対応のおかげで我々は全く不便を感じることなく導入作業を進めることができました。次のシステム更新の際も、ぜひ一緒にタッグを組んで進めていきたいですね。
お客様紹介
地域の人々に希望を与え、愛され続けるテレビ局
株式会社テレビ新広島(略称:TSS)様は、FNN・FNS系列の中国地方における基幹局として1975年に開局しました。2021年には平和の象徴「折り鶴」をイメージした外観の新本社ビルを建設。「ここからっ!TSS」のコーポレート・スローガンの通り、新社屋から地域の人々へ沢山の情報を発信しています。