株式会社毎日放送様
課題
複数メディアでのゴルフ中継を行うにあたり、各拠点から遠隔でライブプロダクションを行いたい。
解決策
IT/IPプラットフォーム“KAIROS”(ケイロス)とリモートカメラシステムを活用し、離れた3拠点からのスムーズなリモートプロダクションを実現。
会場に設置したKAIROS本体にカメラ映像を集約し、遠隔でスイッチングする手法により、非常にスムーズなリモートプロダクションを行うことができました。
実証実験の概要
“KAIROS”とリモートカメラを活用し、遠隔でのライブプロダクションを実験
株式会社毎日放送様(以下、MBS様)は、2021年9月に開催されたゴルフトーナメント「パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ」の中継を行うにあたり、次世代ライブ映像制作システム“KAIROS”とリモートカメラを活用した実証実験を実施しました。KAIROSはSDIだけでなく、SMPTE ST2110やNDI®※1、SRT※2など最新のIPストリーミング方式に対応し、コントロールパネルもしくはGUIソフトウェアからメインフレーム内の映像をリモートでスイッチングすることが可能です。今回は京都の会場内に特設した放送センターにKAIROS本体(メインフレーム)を含めた一式を設置し、大阪のMBS様本社にある配信用サブとCS スポーツチャンネル「GAORA」のサブにコントロールパネルとGUIソフトウェアを設置。計3拠点からの遠隔スイッチングを実施しました。また、1番ホールの全組スタートを生配信した「配信チャンネル②」の撮影には、屋外対応リモートカメラAW-HR140を活用し、3拠点に用意したリモートカメラコントローラーから遠隔でパン・チルト・ズームなどのカメラ制御を行いました。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため無観客試合となった本大会において、カメラマンやオペレーターも現地に足を運ぶことなくクオリティの高いライブ配信を行えるとともに、MBS様の将来のライブプロダクション事業に有益な実証実験となりました。
実証実験の効果
地上波、CS、インターネット配信を3か所で同時制作
今回の実証実験の成果について、株式会社毎日放送 総合技術局の桜井康行様は、「従来であれば、本社からリモートプロダクションを行う場合、現場にある映像素材を全て本社へ伝送しなければならず、素材数分の回線確保が必要となります。それに伴いコストもかなり高くなってしまうのでなかなか実施できませんでした。しかしKAIROSは、現場に本体を1台設置すれば本社からのリモートスイッチが可能となり、スイッチング映像とマルチビュー映像だけを伝送すれば済むので回線の負荷が最小限となります。さらに今回のパナソニックオープンでは、地上波放送、GAORAのCS放送、そして複数チャンネルのインターネット配信を同時に行いましたが、地上波・CS・配信のそれぞれのサブへ別の映像をスイッチングできた点は非常に有効でした」と語ります。
KAIROSとリモートカメラの組み合わせで円滑にリモート撮影
1番ホールに設置したリモートカメラAW-HR140の映像は、SDI出力で会場内放送センターのKAIROS本体に送られ、KAIROSからGAORAサブと配信用サブへ送信されたマルチビュー映像を確認しながらカメラ操作を行いました。マルチビュー映像の送信には安定した伝送が可能なSRT※2プロトコルを使用。遅延が少なく、リモートカメラの遠隔操作がスムーズに行えたと高く評価されました。
システム概要
活用機器
- IT/IPプラットフォーム “KAIROS” ×1式
- 屋外対応HDインテグレーテッドカメラ AW-HR140 ×3台
- 4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE100K ×1台
- リモートカメラコントローラー AW-RP60GJ ×3台
お客様の声
リモートプロダクションの高度化でライブ配信に新たな価値を
今回の実証実験のように本体を会場に置いてそこへ集約した映像をリモートでスイッチングする手法はトラブルのリスクも少なく、リモートプロダクションに踏み出す1つのきっかけになると思いました。KAIROSを活用すれば、今回の1番ホール配信のように地上波とはまた違った、ライブ配信ならではのコンテンツづくりにも貢献できると思います。実際に運用してみてリモートライブ制作のハードルが以前より低くなったと感じていますので、ぜひ今後も遠隔地からの様々なスポーツ中継に挑戦していきたいです。
※1:NDI®とは、NewTek, Inc.によって開発されたIP利用における新しいライブ映像制作ワークフロー支援プロトコルです。NDI®はNewTek, Inc.の米国における登録商標です。ここでのNDI®は、High bandwidth NDI®を意味します。
※2:SRTはSecure Reliable Transportの略です。
※本件は実証実験事例のため、ご提供できない内容が含まれている可能性があります。
IT/IPプラットフォームKAIROS
パナソニック独⾃の⾰新的なソフトウェア開発によりCPUおよびGPUの能⼒で映像処理を⾏う、新しいコンセプトとアーキテクチャーを備えたライブ映像制作プラットフォーム。 新たな技術を用いた臨場感の高い映像演出や、IP化によるリモート制作など、ライブ映像制作に求められる進化に応えます。
メインフレーム Kairos Core 1000 AT-KC1000T
CPU及びGPUで映像処理を行い、ME数やKEY数に制約されないマルチレイヤー構成を実現。映像入出力はベースバンド信号に加え、SMPTE ST2110、NDI®※1、SRT※2ストリーミングなど用途に応じたIPテクノロジーをサポート。豊富な入出力を装備し、4Kで8入力 、5出力、HDで32入力、20出力に対応します。
※1:NDI®とは、NewTek, Inc.によって開発されたIP利用における新しいライブ映像制作ワークフロー支援プロトコルです。NDI®はNewTek, Inc.の米国における登録商標です。ここでのNDI®は、High bandwidth NDI®を意味します。
※2:SRTはSecure Reliable Transportの略です。
コントロールパネル Kairos Control AT-KC10C1G
2つのフェーダーを装備し、24クロスポイントスタイルのレイアウトは機能を⾃由にアサインすることが可能。GUIソフトウェアによるキーレイアウトのカスタマイズが可能です。
Kairos Creator(GUIソフトウェア、ソフトウェアキー) AT-SFC10G
直感的で使いやすいGUIで、入出力やシーン・レイヤーなどの設定が可能。GUIコントロールパネル表⽰もでき、省スペースでの運⽤に対応します。
4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE100W/K
NDI®※1、SRT※2、FreeD※3をはじめとした様々なIP伝送プロトコルに対応した4Kインテグレーテッドカメラ。
※1:NDI®とは、NewTek, Inc.によって開発されたIP利用における新しいライブ映像制作ワークフロー支援プロトコルです。NDI®はNewTek, Inc.の米国における登録商標です。ここでのNDI®は、High bandwidth NDI®を意味します。
※2:SRTはSecure Reliable Transportの略です。
※3:FreeDとは、主にバーチャルスタジオシステムにおいてカメラのトラッキング情報伝達用に広く採用されているプロトコルです。
リモートカメラコントローラー AW-RP60GJ
視認性の高いGUIメニュー画面や、直感的な操作が可能なジョイスティックを搭載。PoE※対応でワンケーブル接続が可能な小型リモートカメラコントローラー。
※Power over Ethernet の略。