YOSS クラウドサービス
日本の教育環境の課題について
昨今、不登校の児童生徒は約19万6千人※1と8年連続で増加しており、いじめによる事件、居所不明児童生徒、少年事件等、子どもを取り巻く様々な問題が深刻さを増しています。特にコロナ禍以降の不安定な社会情勢により、貧困・孤独・虐待など子どもの環境は、一層厳しいものとなってきています。一方、初等中等教育の現場で働く教員は多くの業務を抱え、子どもの日常生活の変化の伝達・共有・課題支援決定を行う仕組みが組織として十分に整っていない場合が多いため、個々の教員に課題の抱え込みが生じやすく、相談機関との連携体制へと動いていくことにも課題があり、子どもの適切な支援につながりにくい現状があります。
※1 文部科学省初等中等教育局 令和5年度概算要求 主要事項
サービス概要・YOSS クラウドサービスで解決できること
1.児童生徒への効果:潜在的なSOSの早期発見と適切な支援の実施
支援が必要な児童生徒を抽出し、自動判定された支援の方向性の提案から適切な支援につなげることで、改善をサポートします。
また、データが自動的にクラウドに蓄積されることで、大阪公立大学はそのデータを活用して、深化させた研究結果を教育現場に提供できるため、児童生徒のさらなる適切な支援を実現します。
2.教員への効果:一人での抱え込み防止による負担軽減
クラウドにすることで、教員やスクールソーシャルワーカー(SSW)、スクールカウンセラー(SC)などとの情報共有が容易になり、客観的なデータに基づいてチームで議論することで、教員が一人で抱え込むことを防止します。また、ベテラン教員の知見等の継承によりチームの強化につながります。
YOSS クラウドサービスは、児童生徒一人ひとりの欠席日数・行動・身だしなみ・家庭環境などの情報を、教員がスクリーニングシートに点数式で記入し、客観的なデータに基づいて支援を決定できるサービスです。教員が一人で抱え込むことを解消し、チームで対応の方針を決めることができ、早期の特定・支援につなげます。
YOSS クラウドサービス活用のメリット
教員の場合
児童生徒への理解が深まり、支援が必要な児童生徒への対応がスムーズに行えます。
スクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)の場合
支援が必要な児童生徒の発見や支援が迅速に行えることで重大事案の予防につながります。また、新たにヤングケアラーのご家庭の可能性を検知できるようになりました。児童生徒への効果的な支援につなげるためにご活用頂けます。
児童生徒にとって
自ら声をあげることが困難であっても手を差し伸べてもらいやすくなります。
「YOSS」の実績
具体的な効果として、不登校の児童生徒の減少、遅刻早退や、諸費滞納が改善したという学校も生まれています。また組織として、支援内容が向上し、教員の負担が軽減され、教育現場における諸問題の改善効果が表れています。
スクリーニング 取組みの効果1
※「スクリーニング活用ガイド」大阪府立大学 山野則子研究室発行より
スクリーニング 取組みの効果2
※「つなぎびと」大阪府立大学スクールソーシャルワーク評価支援研究所 2019年2月18日 早春号より
YOSS®(Yamano Osaka Screening System)研究について
「YOSS®(Yamano Osaka Screening System、ヨース)」は、子どもたちの隠れたSOSに気付き、潜在的に支援が必要な子どもや家庭への適切な支援をおこなうことを目的に2018年に大阪公立大学の山野則子教授らが開発しました。
児童生徒一人ひとりの欠席日数・行動・身だしなみ・家庭環境などの情報を教員がスクリーニングシートに点数式で記入し、客観的なデータに基づいて支援を決定することができるため、早期発見・支援につながっています。また、チームで対応の方針を決めることができるため、教員が一人で抱え込むことを解消します。既に33自治体211校に導入実績があり、具体的な効果として、不登校の児童生徒数が1/3に減少、遅刻早退などが7割改善、諸費滞納が8割改善という自治体が生まれています。また組織として、支援内容の決定スピードが10倍近くも向上し、教員の負担が軽減される傾向がみられ、教育現場における諸問題の改善効果が表れています。
研究者紹介:
大阪公立大学 現代システム科学研究科 教授
山野 則子(やまの のりこ)
博士(人間福祉)
協創研究センター:スクールソーシャルワーク評価支援研究所所長
大阪府教育委員会スクールソーシャルワーク事業スーパーバイザー
日本学術会議特任連携会員
日本学術振興会・学術システム研究センター専門研究員(PO)
(公)世界人権問題センター・プロジェクトチームリーダー
専門分野はこども家庭福祉(児童福祉) スクールソーシャルワーク。現在、文科省や自治体とともに、人工知能を専門とする研究者とともに、AIを活用した子供の貧困、いじめ、児童虐待、ヤングケアラーなど見えにくい状況の早期発見と対応、未然防止のための学校におけるシステム開発、仕組み作りに取り組んでいる。2016年大阪府10万件の子どもの貧困調査、2017年から内閣府委託沖縄県子供の貧困対策事業評価受託。ほか多数自治体からの委託を受けシンクタンクとして実践に繋がる研究に着手している。主な著書に「子どもの貧困調査」(編著 明石書店 2019)、「学校プラットフォーム」(単著 有斐閣 2018)など多数。
入力例⑥:学校対応・問題行動 (服装・みだしなみ)
・季節にそぐわない服装をしている
・衣服が汚れていたり破れたりしている
・衣服や頭髪から臭いがする
入力例⑯:家庭状況 (家庭での様子)
・複雑な家庭関係(一人親で祖父母などの支援がない)
・親の心身の健康状態が悪い
出力例:チーム会議に上げる、ヤングケアラーの可能性示唆
出力例:支援の方向性(ABC判定)
A:教職員の関与 (1:担任 2:生徒指導や支援 3:養護教諭等)
B:地域資源の活用 (1:家庭教育支援 2:学習支援 3:子ども食堂等)
C:専門機関の活用 (1:家庭児童相談室・児相 2:少年サポートC等)
「YOSS」導入自治体教員の声
- スクリーニングチェックを行うことで目立たない子どもの特徴や家庭状況、課題などが浮き出てくるので、一人ひとりを改めてみることができた。
- 前回のチェックとの数値比較をすることで、子どもの変化を客観的につかむことができてよかった。
- 担任ひとりでは解決できない問題点や子どもの課題を共有でき、支援方法などのアドバイスもいただけてよかった。また他の学年や担任以外の児童生徒のことも把握することができ、校内で共有しながら課題に取り組むことができるようになった。
- 校内チーム会議にあげるかどうかに迷った際、スクリーニング結果の示唆は役に立った