業務において欠かせないPCの調達方法には、「購入」や「レンタル」のほかに、「リース」という選択肢もあります。リースをうまく活用することで、PCの調達をより効率化できます。リースはレンタルや購入と比べてどのような特徴を持っているのでしょうか。
また、導入するにあたって、どのようなメリットや注意点があるのでしょうか。 本記事では、法人向けのPCリースについて、最新のPC環境構築の考え方にも触れながら解説します。
 



法人向けPCリースとは?

法人向けPCリースとは、企業がPCを購入せずに、一定期間利用できるようにする契約形態のことです。初期費用を抑えつつ、業務に必要なPCを導入できる手段として採用されています。
法人向けPCリースを利用する場合、契約期間中はリース会社が所有権を持ち、企業はそのPCの使用料を支払いながら利用することになります。
 


そもそもリースとは

リースとは、リース会社との契約に基づきリース料を支払うことで、必要な機器や備品などを購入せずとも一定期間利用できる仕組みのことです。

通常、物品を購入するためには対価として初期費用が必要ですが、リース契約では、契約期間に応じた月額などの分割払いで機器や備品を利用できます。これにより、費用を平準化し、不要となった初期費用で生まれた余剰資金を他の投資に振り分けられます。

加えて、契約期間中は資産の所有権があくまでもリース会社にあるため、企業側は記帳や減価償却などの仕訳処理や固定資産税の支払い、保険の契約などの管理が不要となる点も、リースの大きな特徴です。


法人向けPCリースとは

法人向けのPCリースの特徴は、企業のIT運用ニーズに応じたさまざまなサービスが組み込まれている点です。例えば、以下のようなサービスが用意されることがあります。

・故障対応を含む保守・メンテナンスサービス
・リース満了時のPC回収およびデータ消去、廃棄サービス
・利用中のサポートデスクによる技術支援

こうした付帯サービスにより、企業はPCの導入から運用・廃棄に至るまでの業務工数を最小限に抑えられます。とくに中小企業などIT部門のリソースが限られている企業においては、法人向けPCリースにより、IT機器の導入ハードルが下がり、運用負荷が軽減します。

リースとレンタルと購入の違い

PCなどのIT機器を導入する場合、「リース」「レンタル」「購入」といった選択肢から選択することになります。それぞれの方式には契約形態や所有権、コスト構造などに違いがあり、自社の利用目的や運用体制に応じて選択する必要があります。
各調達方法の比較は、右の表のとおりです。
 

画像:法人PC調達方法比較表

契約期間と所有権

リースは2年以上の長期契約が前提となり、IT機器の所有権はリース会社に残ります。なお、リース期間終了後については、リース契約の内容により取り扱いが変わります。主に「所有権移転ファイナンスリース(契約期間終了後に所有権が自社に移転し、減価償却は自社で行うもの)」と「所有権移転外ファイナンスリース(契約期間中も終了後も所有権がリース会社に残り、賃貸借取引とみなされるもの)」の大きく2つに分かれます。

一方、レンタルは数カ月~1年未満の短期間での利用が主であり、こちらも所有権はレンタル会社側にあります。


解約の柔軟性とコスト

リースは中途解約が原則不可であり、契約途中の利用台数の変更やキャンセルには制限があります。もし中途解約を行う場合は、残りのリース料相当の違約金を支払わなければならないこともあります。

対して、レンタルは比較的柔軟な対応が可能であり、必要な期間だけIT機器を利用できます。

購入には契約期間の概念はなく、導入時に費用を一括で支払うことになります。初期費用は高くなる傾向にありますが、ライフサイクルコストで見ると他の方法より費用を抑えられる場合もあります。


メンテナンスとキッティング対応

一般的にリース契約では、自社でキッティング対応やメンテナンス対応を行う必要があります。ただし、契約先によってはオプションでメンテナンスやキッティングサービスを提供しているケースもあります。

対して、レンタルでは、メンテナンスも料金に含まれていることが一般的であるため、自社でメンテナンスを行う必要がない場合もあります。

一方購入の場合、メンテナンスやキッティングなどは全て自社で対応する必要があるため、どうしてもIT部門の負荷は大きくなります。

法人向けPCリースを利用するメリット

コスト管理の最適化が図れる

PCリースのメリットの一つが、初期費用を抑えた調達が可能になる点です。購入と異なり、一括の支出が不要なため費用の平準化に役立ちます。

特に企業の立ち上げ期や新規事業の開始時など、大量のPCが必要となる場合にリースは効果的です。初期費用を抑えられるため、他の設備投資などにキャッシュを回せ、自社の運転資金の効率を高められます。


最新のPCを利用できる

法人PCリースでは、リース契約の更新タイミングに合わせて、定期的に最新機種への入れ替えが可能です。これにより、PCの動作が遅くなることによる作業効率の低下、セキュリティー面での不安を軽減できます。

また、レンタルでは基本的に中古のPCの利用になりますが、リースでは新品のPCも利用できる点がメリットです。

近年、デジタル従業員エクスペリエンス(DEX)という概念も注目されており、従業員に対して使いやすいツールやサポート体制等を提供することが重要視されています。最新の新型PCを利用できる点は、法人PCリースの大きなメリットです。


希望した機種を導入できる

リース会社が提供するサービスにもよりますが、リース契約では、比較的幅広いメーカーやスペックの中から、企業の用途に応じたPCを柔軟に選択できます。

レンタルではどうしてもサービス提供企業が保有しているPCから選ぶことになり、希望の機種を導入できないケースもあります。

エンジニアやグラフィックデザイナーなど、高性能な処理能力を必要とする職種についてはハイスペックなPCを採用し、事務処理が主な作業内容となる方はコストパフォーマンスに優れた小型で持ち運びやすいPCを採用するなど、ニーズに合わせた選択が可能です。

法人向けPCリースを利用する際の注意点

総コストが高くなる可能性がある

初期費用を抑え、費用を平準化できるリース契約ですが、トータルコストでは購入費用よりも数パーセント程度コストが割高になることがあります。特にリース期間を超えて延長利用する場合は、購入するよりもコストが高くなりがちです。

そのため、自社に十分なキャッシュがある場合、購入によるPC調達もひとつの選択肢となります。


中途解約すると違約金が発生する

リース契約では原則として中途解約が認められにくく、途中で契約を打ち切る場合でも契約残存期間分の費用が請求されることがあります。また、場合によっては、違約金が発生する可能性もあります。

このように、リース契約は基本的に契約満了までの継続が前提となるため、事業縮小・事業撤退などでPCの利用数が減少した場合に柔軟な動きが取りにくくなります。


契約や問い合わせ窓口が煩雑化する可能性がある

リース契約では、契約先のリース会社と製造販売を行うPCメーカーが別の会社となります。結果として、契約関連はリース会社、故障対応はPCメーカーといったように複数の窓口とやり取りする必要が生じ、コミュニケーションの手間が発生します。

さらに、OSやセキュリティーソフトウエア、周辺サービスなども個別に契約・管理していると、原因を切り分けた上で対応する窓口に連絡をする必要があり、管理負荷はさらに高まります。

情報システム部門の負担を削減するPC調達方法とは?

従来、PCの導入方法としてはリースやレンタル、購入が一般的でした。しかしながら、近年ではVDIやDaaS、サブスクリプション型のサービスなど、PCの集中管理がしやすく、情報システム部門の負担を削減するさまざまな調達方法が登場しています。

画像:情報システム部門の負担を削減するPC調達方法

VDIの利用

VDIとは「Virtual Desktop Infrastructure」の略称であり、仮想でPCのデスクトップ環境を構築できる仕組みです。

VDIは、オンプレミスのサーバー上に仮想デスクトップ環境を用意し、各端末からリモートで利用する方法でPC環境を提供します。これにより利用者は、ノートPC・タブレット・シンクライアントなど端末の種類に関係なく、同じ業務環境でどこからでも利用が可能になります。

VDIでは端末にデータを保存せず、全てサーバー側でデータが管理されるため、セキュリティーリスクの低減や、一元管理による運用効率の向上が期待できます。また、管理者が一括で環境のメンテナンスやアップデートを行える点も大きな利点です。


DaaSの利用

DaaSとは「Desktop as a Service」の略称であり、クラウドベースで提供される仮想デスクトップサービスのことです。VDIのクラウド版と捉えると分かりやすいでしょう。

仮想デスクトップを提供するためのインフラの構築・運用は全てDaaSベンダーが担うため、企業は仮想デスクトップを素早くかつ負荷なく導入・利用できます。DaaSではクラウド上にあるデスクトップ環境にアクセスできる仕組みが提供されるため、リモート環境からアクセスしやすいという特徴もあります。リモートワークの拡大やBCP対策としても効果的です。

DaaSはこれまでVDIをオンプレミス環境で構築し、運用してきた企業における移行先としても注目されるサービスといえます。


サブスクリプション型サービスの利用

近年、サブスクリプション型でPCを利用できるサービスも登場しています。サブスクリプション型サービスでは、PC本体だけでなく、キッティング作業や、ヘルプデスクの提供、故障時のサポートなどトータルで支援してもらえます。いわゆる「PCLCM(PCライフサイクルマネジメント)サービス」として、調達から廃棄まで、PCのライフサイクル全体がサポートされる点が特徴です。

費用は月額料金として請求されるため、リースやレンタルのメリットである初期費用の削減効果を得られるだけでなく、情報システム部門のPC管理に関する作業負荷も削減させられます。

まとめ

法人向けのPCリースサービスは、初期費用を抑えてPCを利用したい企業におすすめの選択肢です。メリットとして、コスト管理の効率化や、最新のPCが利用できる点などが挙げられます。

その一方で、近年ではVDIやDaaS、サブスクリプション型サービスなど、新しい方法も登場しています。多様な選択肢から、自社に合ったものを選ぶことがポイントとなります。

環境構築に一定の負荷がかかるVDIやDaaSと比較して、サブスクリプション型サービスは、手軽に素早くPC環境を用意でき、管理負荷を削減できるため、人手不足が課題となっている情報システム部門の方にはおすすめです。

パナソニック コネクトが提供するPCのサブスクリプション型サービス

パナソニック コネクトの法人向けPCサブスクサービス「スリムワークサポート」はパナソニック コネクトが製造する法人PCとPCLCM(PCライフサイクルマネジメント)がセットになったサブスクリプション型サービスです。

「スリムワークサポート」には、以下の特徴があり、 情報システム部門の運用業務を削減し、PCを使用するユーザーの満足度を向上させます。

・ビジネスモバイルPCとして高評価の「レッツノート」を提供しています。また、多彩なラインアップから新品のご希望機種を選択できます。

・「Webポータル」により、IT資産情報の登録や編集・閲覧、PC稼働状況、導入ソフト・OSバージョンなど、PC管理に必要な情報を一元的に確認できます。

・調達・運用の窓口が一本化され、ワンストップで全てのサービスが提供されます。

PC管理の負荷にお悩みの方や、PCを月額制で調達されたい方は、ぜひ「スリムワークサポート」のご利用をご検討ください。

詳細はこちら
画像:スリムワークサポートサムネイル

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