IT資産管理とは?IT資産管理ツールの機能や選定ポイントを解説
近年、テレワークの活用やBYOD(Bring Your Own Device:私物端末の業務利用)の一般化等使用するデバイスの多様化により、「誰が」「何を」「どのように」利用しているのかが、把握しにくい状況となり、セキュリティ対策と共にIT機器の管理が課題になりつつあります。
そのため、年々IT資産管理の重要性は高まっています。そこで、今回は、IT資産管理の必要性や主な対象、IT資産管理ツールの機能や選定ポイントまで詳しく解説します。
IT資産管理とは?
IT資産管理とは、企業や組織が保有する情報システムやハードウェア、ソフトウェア、ライセンス、ネットワーク機器などの情報技術に関するすべての資産を一元的に把握・管理・最適化することを指します。
IT資産管理にはセキュリティ対策やコンプライアンス遵守、リスク低減などのさまざまなメリットがあります。
近年では、テレワークの一般化やBYODの普及により、従来のセキュリティ体制ではカバーしきれないリスクが増大しています。こうした背景からも、IT資産を統合的に管理する必要性と重要性が高まっています。
IT資産管理の対象
IT資産管理では、組織内に存在する多様なIT資産を網羅的に管理することが重要です。具体的には、ハードウェアやソフトウェア、データ、クラウドサービス、ネットワークが主な管理対象となります。
ハードウェア
社内で使用されるPC、サーバー、ルーター、スイッチ、スマートフォンやタブレットなど、物理的なハードウェアはIT資産管理の対象です。これらのIT資産については、実物確認による定期的な棚卸や、利用場所・利用率などのチェックによる稼働状況の把握など、調達から運用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体の管理が求められます。
ソフトウェア
社内で使用されているソフトウェアについては、ライセンス情報の正確な管理と更新状況の把握が不可欠です。これにより、不要なソフトウェアのライセンス費用を削減できるだけでなく、契約違反や監査リスクを回避するためのコンプライアンス対応にもつながります。
また、サポート期限が終了したソフトウェアを継続利用すると、セキュリティリスクを招く可能性もあるため、システムに利用されているソフトウェア情報の確認も必要です。ソフトウェアベンダーでは、各ソフトウェアのサポート期間の情報が公開されています。例えば、Windows 10のサポートは 2025 年 10 月 14 日にて終了しています。
データ
近年では、データガバナンスやデータマネジメントの考え方が広まりつつあり、データの適正管理に取り組む企業も増えています。
データ資産には、顧客情報や社内文書、知的財産などの機密性の高い情報も含まれるため、アクセス管理や保管場所の検討など、適切な管理が求められます。
また、管理外のデータは情報漏えいのリスクがあるため、バックアップの定期実施や、不要となったデータの削除が有効です。
クラウドサービス
クラウド環境の利用が拡大する中、SaaSやIaaS、PaaSなどの利用状況やユーザー管理もIT資産管理における重要な要素です。
従量課金契約が多いクラウドサービスは、適切な管理を怠ると膨大なコストが発生します。そのため、クラウドサービスの契約プランや契約ユーザー数と利用実態を把握することが大切です。適切な管理をするためには、無駄なコストが発生していないか、不要な権限が付与されていないかなどを定期的にチェックする必要があります。
ネットワーク
ネットワーク資産として、ドメイン名やIPアドレス、サブネットの割り当て、DNS設定などの情報が挙げられます。
例えば、自社がどのようなドメインを保有しており、どのように利用しているかを把握しなければ、更新漏れによるドメイン失効の恐れもあります。また、企業が利用していたドメインを第三者に取得されると、フィッシング詐欺へ利用されてしまうリスクもあるため、注意が必要です。
IT資産管理が必要とされている理由
IT資産管理に取り組むべき理由として、IT資産の可視化による管理負担の軽減や、サイバー攻撃などに対するセキュリティの強化、ライセンスの適正利用によるコンプライアンスの順守といった観点が挙げられます。
IT資産を可視化し管理を効率化するため
IT資産管理組織が、所有するPCやサーバーなどのハードウェア、業務用ソフトウェアやそのライセンス、さらには SaaS などのクラウドサービスといった多様なIT資産を一元的に管理することで、各資産の利用状況や更新サイクルの把握が容易になります。
IT資産の一元管理により、機器の更新時期を見極めたり、不要・重複した資産を特定して最適化を図れるようになるため、全体のITコスト削減をできます。
セキュリティ面のリスクを低減させるため
自社で導入しているIT製品の一覧やどのシステムにどのようなハードウェア・ソフトウェアが利用されているかといったシステム構成を正確に把握しておくことは、セキュリティ対策の基本です。
資産の所在や使用状況を常に把握できていれば、情報漏えいやマルウェア感染などの被害リスクを最小限に抑えられます。例えば、使用中のソフトウェアやOSに脆弱性(セキュリティホール)が発見された場合には、該当する資産に対する迅速なアップデートやパッチ適用が可能になります。
コンプライアンス違反を防ぐため
個人のUSBメモリや私物端末を業務に使用(BYOD)してしまうと、情報漏えいやソフトウェアの不正利用といったコンプライアンス上の問題を引き起こす心配があります。また、ライセンス管理を行わずにソフトウェアを利用すると、ライセンス契約違反を犯し、ソフトウェアの差し止め請求、損害賠償請求、刑事罰の対象となる可能性もあります。
このように、IT資産管理を通じて許可されていない端末の利用を制限し、契約に応じたアプリケーションの適正利用を実現できる体制の整備は、不正防止にも効果的です。
IT資産管理の進め方
IT資産管理は目的や対象を明確化した上で、ステップに沿って進めていくことが大切です。ツールの活用に加え、ガイドライン等によるルールメイクにより実効性を高められます。
目的と管理対象の明確化
まずは、IT資産管理を行う目的を明確にし、文書化しましょう。例えば、「資産の棚卸作業の効率化」や「情報セキュリティの強化」など、目的を具体化することで、管理方針に一貫性が生まれます。
あわせて、管理対象となるスコープを定義します。PCやサーバーなどのハードウェア、業務用ソフトウェアとそのライセンス、ネットワーク構成、さらにはSaaSなどのクラウドサービスを含め、どの範囲を管理対象とするのか明確化することで、抜け漏れのないIT資産管理につながります。
IT資産管理ツールの選定と導入
手作業によるIT資産管理には限界があるため、一定規模以上の企業においては、IT資産管理ツールの導入を検討するべきでしょう。
自社の課題や目的に応じて、「セキュリティ対策を重視したい」「個人所有端末の接続を制限したい」といったニーズに対応できる機能が備わっているかを確認しながら、最適なツールを選定しましょう。
近年では、クラウド型のIT資産管理ツールも複数登場しており、IT資産管理を実現するための環境構築に有効な選択肢です。
各種台帳・シールなどによるIT資産管理の実施
IT資産の可視化と追跡のためには、IT資産管理台帳やリース管理台帳を作成し、台帳で情報を管理しましょう。多くのIT資産管理ツールは、機器情報や利用状況を自動で記録・更新できる機能が備わっており、台帳管理の負担を軽減します。
また、PCやプリンターなどの物理資産には、資産番号やバーコード付きの管理シールを貼付することで、棚卸やメンテナンス時の識別性を高められます。
IT資産管理ルールの設定
IT資産管理の体制を実効性高く機能させるには、ルール整備も不可欠です。例えば、新規資産の登録手順や廃棄プロセス、ライセンス利用に関する方針の明文化、社外への機器持ち出しに関するガイドラインの策定などを行います。
ガイドラインを社内に広く公開することで、セキュリティリスクやコンプライアンス違反の可能性を減少させることができます。
IT資産管理ツールの機能
IT資産の台帳管理
IT資産管理ツールの基本的な機能の一つは、IT資産の台帳管理です。企業は保有するすべてのIT資産を一元的に管理し、資産の状態や使用状況をリアルタイムで把握できます。具体的には、資産の種類(PC、サーバー、ネットワーク機器など)、購入日や導入日、使用者、設置場所、メンテナンス履歴、故障履歴、ライセンス情報(ソフトウェアのライセンス数や有効期限)などの詳細情報が台帳に記録されます。
このようにして、IT資産の所在が明確化されるので、紛失やセキュリティ事故の早期対策や、不要な資産の特定等が可能になります。
リース、レンタルなどの契約管理
IT資産管理ツールは、リースやレンタルなどの契約情報を管理することも可能です。
企業は契約の開始日や終了日、契約条件を把握し、更新や解約のタイミングを逃さずに対応できます。また、契約の期限が近づくと自動的にリマインダーが送信される機能などを有する場合も多いので、管理の手間を大幅に削減できます。
セキュリティ管理
セキュリティ管理はIT資産管理ツールにおいても重要な機能の一つです。この機能により、資産の脆弱性を把握し、適切な対策を講じることができます。
具体的には、脆弱性スキャン機能を利用してソフトウェアの脆弱性を自動で検出し、セキュリティパッチの適用状況を管理することが可能です。また、不正アクセスの監視やアラート機能を活用することで、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスク低減につながります。
ドライバー、アプリケーション配信
ドライバー、アプリケーション配信の機能によって、ソフトウェアの自動インストールやアップデート、特定のユーザーグループへの配信設定、配信状況のトラッキング(インストール成功率など)なども実施することが可能です。
情報システム部門の負担を軽減し、業務の効率化を図ることにつながります。特に、リモートワークが普及する中で、迅速なアプリケーション配信は重要な要素となっています。
ワークフロー機能
ワークフロー機能を持つIT資産管理も少なくありません。この機能は、資産の購入申請や廃棄申請のプロセスを自動化し、承認フローを設定することに役立ちます。具体的には、誰が承認するか、どのような条件で承認されるかを事前に設定し、申請状況を可視化することが可能です。
これにより、業務の迅速化を実現し、承認プロセスの透明性を高めることができます。結果として、申請者や承認者の負担を軽減し、業務の流れをスムーズにします。
IT資産管理ツールを選ぶ際のポイント
IT資産管理ツールを選ぶポイントとして、大きく以下4点が挙げられます。
ユーザビリティ
IT資産管理ツールを選ぶ際に、使いやすさは重要な要素です。
直感的に操作できるインターフェースや、必要な情報にすぐアクセスできる設計がされているかを確認しましょう。
特にワークフロー機能など、PCを利用するユーザーがツールを使用する場合は、管理者だけではなくユーザー目線でも使いやすいユーザビリティのツールを選定することが、導入後の定着率の観点でも重要です。
具体的には、ダッシュボードのカスタマイズ性、検索機能の充実度、トレーニングやヘルプドキュメントの有無をチェックすることが推奨されます。これにより、ストレスなくツールを活用できる環境を整えることができます。
ツールの機能
IT資産管理ツールを選ぶ際には、機能を確認することも重要です。
自社のニーズに合った機能が備わっているか、また将来的な拡張性があるかを考慮しましょう。特に、資産台帳管理、契約管理、アプリケーション配信、セキュリティ管理など、必要な機能が揃っているかを確認することが大切です。これにより、導入後の満足度を高め、業務の効率化を実現することができます。
サービスの利用形態や提供形態
ツールの利用形態(オンプレミス型、クラウド型など)や提供形態(サブスクリプション、ライセンス購入など)も選定の重要なポイントです。
自社のIT環境や予算に応じて最適な形態を選びましょう。
例えば、クラウド型は初期投資が少なく、スケーラビリティが高い一方、オンプレミス型はデータの管理が自社内で行えるため、セキュリティ面での安心感があります。これらの要素を総合的に考慮することが重要です。
サポート体制
最後に、サポート体制も選定時の重要なポイントです。
導入後のトラブルや疑問に迅速に対応してくれるサポートがあるか、また、トレーニングやドキュメントが充実しているかを確認しましょう。
具体的には、電話やメールでのサポート、オンラインチャットサポート、定期的なウェビナーやトレーニングセッションの有無を確認することが重要です。これにより、導入後の運用がスムーズに進むことが期待できます。
社内におけるIT資産管理の課題
IT資産管理を進める上では、シャドーITと呼ばれるIT部門の管理下にない、従業員が個人で導入・利用しているIT機器やクラウドサービスへの対応や非効率な手作業、人手不足などが課題となりがちです。これらの課題を解決するためには、IT資産管理に関する社内規程などのルール整備や、IT資産管理ツールの活用、アウトソーシングの利用などが有効です。
シャドーITへの備えが不十分である
シャドーITは情報漏えいや内部不正など、重大なセキュリティリスクの原因となり得るため、注意が必要です。
IT資産管理のプロセスを整えたとしても、社内にIT資産管理の必要性が徹底されていなければ、個人や個別組織の判断でIT資産を購入し、利用してしまう可能性があります。
そうならないためにも、シャドーITを可視化・検出する仕組みの導入や、IT資産の調達に関するルールの徹底が求められます。
社内ツールのみでIT資産を管理しようとする
従業員が数十人程度の組織であればまだしも、組織の規模が大きくなるほどIT資産の種類や数量が増加し、Excelなどの手動管理では対応が難しくなります。Excelでは履歴も管理できず、また更新もれなどの危険性もあります。
IT資産管理を行う際には、IT資産管理の専用ツールの導入が効果的です。IT資産の自動検出機能やライフサイクル管理機能が備わっているIT資産管理ツールを利用すれば、資産の正確な把握と管理工数の削減も実現できます。
IT資産管理を実行する人手が足りない
多くの企業ではIT人材の人手不足が深刻な課題となっています。通常業務だけで手いっぱいで、IT資産管理まで十分に手が回らないというケースも少なくありません。
このようなIT人材が不足している際にも、IT資産管理ツールの導入により業務負荷を軽減するとともに、アウトソーシングによって必要な作業を補完する仕組みの構築が有効です。限られたリソースを有効活用するためにも、外部に出せる業務は外出しを検討するべきでしょう
まとめ
今回は、IT資産管理についてその必要性や主な対象、ツールの選定ポイントまで、網羅的に解説を行いました。
IT資産管理は、企業の効率的な運営に欠かせない要素です。適切なIT資産管理ツールを選ぶことで、資産の最適化やリスク管理を実現し、ビジネスの成長を支援することができます。また、近年では、AIの活用やクラウドサービスの利用など、IT資産管理にも変化の波が訪れています。これらの動向もチェックしながら、IT資産管理の取り組みを進めることをおすすめします。
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