株式会社ジャパネットブロードキャスティング様
課題
演出力の高い番組制作を少人数で効率的に行えるスタジオサブを構築したい。
解決策
ME数の制約に縛られず柔軟にレイヤーが重ねられるKAIROS(ケイロス)により、自由度の高いスイッチャーオペレートを実現。さらに、KAIROSとリモートカメラシステムを組み合わせた新しいスタジオ撮影手法を確立。
KAIROSを初めて見た時、“これまでにない新しいことができるスイッチャーだ”と感じました。
背景
ジャパネットグループからBS放送局「BSJapanext」が誕生
2022年3月、株式会社ジャパネットブロードキャスティング様が「BSJapanext(ビーエスジャパネクスト)」を開局しました。従来の通販番組だけでなく、バラエティや情報番組など様々なジャンルの番組を制作・放送する同局では、放送開始まで約1年にわたり新本社のスタジオサブシステムを構築してきました。コンセプトに掲げたのは、大規模スタジオと同等の機能を持ちながらコンパクトで運用性の高いスタジオサブであること。そして、長時間勤務になりがちな制作現場の慣習を払拭し、少人数での番組づくりに対応した新たな発想のシステムを構築することでした。
導入理由
誰でも簡単に操作でき、効率的な番組制作が可能
システム検討にあたり様々な製品と比較した結果、3つのスタジオサブにIT/IPプラットフォームKAIROSとリモートカメラシステムを導入しました。株式会社ジャパネットブロードキャスティング 技術部の常田茂雄様は「これまでのスイッチャーは熟練者でないと扱えない難易度の高いものでしたが、KAIROSはME列という概念がなく、専任でなくても簡単に習得できます。また、リモートカメラと組み合わせることでカメラマン不在での撮影を実現し、1人が同時にできることの幅を大きく広げることが可能です。何より、これまでにない新しいことができるスイッチャーだと感じたことは採用の大きな決め手となりました」と語ります。
導入後の効果
作業時間を削減し、自由度の高いクリエイティブを実現
KAIROSはGPUのリソースが許す限り無限にレイヤーを重ねられるため、ME型スイッチャーのように列ごとに効果をつくって次のME列、また次のME列へと下ろしていく必要はありません。オペレートを行っている株式会社ジャパネットブロードキャスティング 技術部 制作技術課の當房尚子様は語ります。
「これまでのスイッチャーは与えられた列に対してできることを考えるという発想でしたが、KAIROSはME列の縛りがないので考え方が180度変わり、驚くほど自由になりました。静止画や動画の取り込みも速く、ファイル形式に縛りもないので制作さんの業務効率も上がったと思います。映像効果をつくるKairos CreatorはPCのソフトなので直感的で分かりやすく、失敗を恐れずに何でも試すことができます。従来のように設定やメニュー操作が何階層も潜ってしまい後で不安になることもありません。Kairos Creatorを使えば収録の段階から様々な画づくりが可能なため、後の編集作業を簡素化することにも貢献できると感じています」
KAIROSとリモートカメラの連携による新たな番組制作手法を確立
各スタジオには4台のリモートカメラを導入し、KAIROSのマクロ機能に画角やズーム位置を記録してスイッチャー卓でカメラコントロールができるようにしています。また、1台のカメラには出演者の動きを自動で追いかける追尾ソフトも紐づけました。當房様は、「BSJapanextはカメラマンとスイッチャーを兼任するスタッフが多いのですが、KAIROSとリモートカメラの組み合わせにより、スタジオにカメラマンがいなくても思い描く画を撮影することができるようになりました。これから自動追尾撮影にも挑戦していくので、さらなる効率化が図れると思います」と語ります。
納入機器
- メインフレーム Kairos Core 100 AT-KC100T ×3台
- コントロールパネル Kairos Control AT-KC10C1G ×3台
- Kairos Creator AT-SFC10G ×3台
- 4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE100K ×12台
- 自動追尾ソフトウェアキー AW-SF100G ×1式
システム構成図
今後の展望
IPを活用してスタジオ間のリソースシェアや、遠隔地とつないだリモートプロダクションに挑戦したい
KAIROSはスイッチャーとしての使いやすさだけでなく、未来が楽しみになるような拡張性をもたらしてくれました。たとえば、今回KAIROSを導入した3つのサブをIPでつないで、複数のスタジオを1つのサブから稼働させるリソースシェアを行えば、今後さらにスタジオとサブの効率的な運用が可能になると思います。また、ジャパネットグループでは2024年に長崎にスタジアムを開業する予定なので、スタジアムと本社スタジオをつないだスポーツ中継のリモートプロダクションもできるのではないかと考えています。他にも、KAIROSは触れば触るほど想像力が刺激され、新たな発想が生まれるスイッチャーなので、今はまだ想像していないような数々の挑戦ができるだろうと思っています。これからの運用が本当に楽しみです。(常田茂雄様)
お客様紹介
BS無料放送の“つながる”テレビ局
BSJapanextは、“世の中に埋もれた素晴らしいモノ、サービス、考え方などを視聴者につなぎ、日本中に「ワクワク」を広げていく”をテーマに、地域創生・スポーツ・エンタメ・アニメ・健康・趣味・教養など多彩な番組を放送するチャンネルです。テレビはもちろん、無料公式アプリでも視聴でき、視聴者と番組の双方向コミュニケーションや、紹介中の商品の購入なども可能となっています。
IT/IPプラットフォーム KAIROS
パナソニック独⾃の⾰新的なソフトウェア開発によりCPUおよびGPUの能⼒で映像処理を⾏う、新しいコンセプトとアーキテクチャーを備えたライブ映像制作プラットフォーム。 新たな技術を用いた臨場感の高い映像演出や、IP化によるリモート制作など、ライブ映像制作に求められる進化に応えます。
メインフレーム Kairos Core 100 AT-KC100T
CPU及びGPUで映像処理を行い、ME数やKEY数に制約されないマルチレイヤー構成を実現。映像入出力はベースバンド信号に加え、SMPTE ST2110、NDI®※1、SRT※2ストリーミングなど用途に応じたIPテクノロジーをサポートします。
※1:NDI®とは、NewTek, Inc.によって開発されたIP利用における新しいライブ映像制作ワークフロー支援プロトコルです。NDI®はNewTek, Inc.の米国およびその他の国における登録商標です。ここでのNDI®は、High bandwidth NDI®を意味します。
※2:SRTはSecure Reliable Transportの略です。
コントロールパネル Kairos Control AT-KC10C1G
2つのフェーダーを装備し、24クロスポイントスタイルのレイアウトは機能を⾃由にアサインすることが可能。GUIソフトウェアによるキーレイアウトのカスタマイズが可能です。
Kairos Creator(GUIソフトウェア、ソフトウェアキー) AT-SFC10G
直感的で使いやすいGUIで、入出力やシーン・レイヤーなどの設定が可能。GUIコントロールパネル表⽰もでき、省スペースでの運⽤に対応します。
4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE100W/K
NDI®※1、SRT※2、FreeD※3をはじめとした様々なIP伝送プロトコルに対応した4Kインテグレーテッドカメラ。4K/60p※4の高画質映像を用いた柔軟な映像制作を実現します。
※1:NDI®とは、米国NewTek社によって開発されたIP利用における新しいライブ映像制作ワークフロー支援プロトコルです。ここでのNDI®は、High bandwidth NDI®、NDI®|HXはHigh efficiency low bandwidth NDI®|HXを意味します。NDI®はNewTek, Inc. の米国およびその他の国における登録商標です。
※2:Secure Reliable Transport の略。
※3:FreeDとは、AR/VRシステム用のカメラトラッキングデータを出力するプロトコルです。
※4:実際の出力フォーマットはUHD(3840×2160)59.94p。