写真:宴会場音響システム
写真:宴会場音響システム

株式会社イタリア軒様 ホテルイタリア軒 大宴会場「サンマルコ」

宴会場音響システム
ハイブリッド会議に適した明瞭な拡声と臨場感ある音響を構築した宴会場音響システム。

課題

宴会と会議の両方に適した音響空間をつくるとともに、ハイブリッド会議で運用しやすい音響システムを導入したい。

解決策

高い操作性と各種調整機能を備えたデジタルミキサーを採用し、RAMSAスピーカーでステレオ仕様の音響システムを構築。

以前のシステムでの聞きづらさを解消するとともに、“ハイブリッド会議に適した宴会場”という新たな強みを付加することができました。

株式会社イタリア軒 取締役総支配人 髙野 潤様

背景

新潟随一の老舗ホテルの宴会場音響システムをリニューアル

新潟有数の老舗ホテルであるホテルイタリア軒は2024年の創業150周年に向け、現在館内のリニューアルに取り組まれています。その一環としてこの度、ホテル内で最大の大宴会場「サンマルコ」の音響システムが更新されました。近年、サンマルコは結婚式の披露宴や企業の記念式典などの従来の用途に加え、大規模なハイブリッド会議にも利用されています。このようなニーズへよりきめ細やかに対応するため、今回の改修では、会場全体の高音質化とともに、ハイブリッド会議会場としての使いやすさも備えた宴会場音響システムを構築しました。


導入理由

ハイブリッド会議に対応でき、運用しやすい音響システム

今回の改修では、RAMSAシリーズのスピーカー、デジタルミキサーを中心に、音の入口から出口までを支えるパナソニックのトータルシステムが導入されました。取締役総支配人の髙野潤様は「昨今、ハイブリッド会議に対応できる設備の有無は、お客様が催し物の会場を検討する際の大きな決め手のひとつです。今回の設備改修を経て、会場側の音声がリモート側で聞き取りづらいといった以前の課題を解消するとともに、“ハイブリッド会議に適した宴会場”という新たな強みを付加することができました」と語ります。


導入後の効果

高い運用性と調整機能を備えたRAMSAのデジタルミキサーにより、様々なシーンで活用しやすい音響システムを構築

サンマルコは会場全体の使用だけでなく、部屋を2分割して使用することが可能なため、運用に合わせて音響調整が行えるよう、デジタルミキサーWR-DX200とWR-DX350が導入されました。
フロアにはフェーダーによって簡単に操作でき、会議用途に適した設定機能を備えたWR-DX200を2台配置。それぞれに分割使用時の左の部屋用/右の部屋用の設定を施し、フェーダーユニットのWR-PU200と組み合わせてAV操作卓に格納しています。ホテルイタリア軒では基本的に、催しの各種オペレートをホテルの従業員が担当するため、分かりやすく操作しやすいものであることが重要でした。そこで今回、WR-DX200の豊富なイコライザーや調整機能を活用。各音声入力に対する入力感度の調整や、ハウリングしやすい帯域を減衰させる設定を行いました。これにより、運用時はWR-PU200のフェーダーで音量を調節するだけで、聞きやすく明瞭な拡声が可能になりました。

加えて、ハイブリッド会議会場としての運用に適した調整も実施。接続先の音声をWR-PU200の所定のフェーダーに割り当て、簡単に会場側に拡声できる仕組みを構築しました。さらに、拡声された音声が接続先と会場間でループすることを抑え、以前のシステムで指摘が多かった音のひずみやハウリングを抑制する設定も行っています。
また、AV操作卓にはLAN端子も搭載。WEB会議サービスと接続する入出力用として利用できることはもちろん、放送室のシステムとつないでフロアにいながら音響調整を行うことも可能です。

上階の放送室には、大規模なイベント実施時にプロのオペレーターが使用することも想定しWR-DX350を設置。全室使用時だけではなく、分割使用時に左右どちらの部屋でも使えるよう設定されています。また、今回構築したシステムは、デジタルマトリクスコントローラーを介して全て連携しているため、WR-DX350をWR-DX200の入力へ接続するだけでフロアでも使用可能です。

今回、サンマルコの音響システムを設計したヨコセAVシステム株式会社の刀根正則様は「WR-DX200もWR-DX350も自然な良い音質のミキサーで、ソフトウェアも共通した部分が多いためアサインやイコライザーの設定がしやすかったです。特にWR-DX200は会議用途に適した機能が豊富で、今回の音響システムにぴったりだと思いました。既設の音響システムでは2部屋に分割した時のためにアナログミキサーを2台使用していましたが、それぞれが連携していませんでした。全室使用時にはその都度2台のミキサーをケーブルで接続する必要があり、片方のミキサーからしかオペレーションができなかったのです。そこで今回は、3台のデジタルミキサーを常時連携した状態にし、放送室の制御ボタンからパターンを選択するだけで、ミキサーの運用を変えずにオペレーションできるようにしました」と語ります。


写真:サンマルコの内観
サンマルコの内観。654㎡の広さを誇り、最大で900名以上を収容可能。
写真:AV操作卓
サンマルコのフロアに設置されたAV操作卓。分割使用のために同じシステムで2台導入された。
写真:WR-PU200
AV操作卓の天板に埋め込まれたフェーダーユニットWR-PU200。
写真:WR-DX200
AV操作卓に設置されたデジタルミキサーWR-DX200。
写真:放送室
サンマルコの上階に位置する放送室の様子。
写真:WR-DX350
放送室に設置されたデジタルミキサーWR-DX350。

ホールのような臨場感と、発話の明瞭さを兼ね備えた音場を実現

会場内への拡声用には15インチ2ウェイスピーカーWS-HM5104と30cm 2ウェイスピーカーWS-AR200-Kを採用。長方形をした室内の四隅にWS-HM5104を計4台配置し、中央にはWS-AR200-K計8台を分散して設置しました。

改修前のシステムでは可動式の4台のラインアレイスピーカーを用いて拡声を行っており、運用のたびに部屋の分割パターンに合わせスピーカーを移動させる必要がありました。セッティングの仕方によって音響が変わってしまう問題もあったことから、今回の改修では全てのスピーカーを常設化。運用の手間を減らし、常に安定したクオリティで拡声できるシステムを構築しました。合わせて、会場の音響をモノラルからステレオ仕様に変更。部屋の分割パターンごとに細かな調整を施し、どのパターンにおいても自然で臨場感のある拡声を実現しました。

刀根様はサンマルコのスピーカーシステムについてこのように語ります。
「WS-HM5104は長いホーンと、水平100°の広い指向角度による広がりのある生音のようなサウンドが魅力的なスピーカーです。今回、音響をステレオ化したことと相まって、臨場感や空間の奥行きが感じられる、ホールのような音響に仕上げることができました。CDなどのステレオ音源は位相を崩さず、もとのニュアンスや迫力をそのままに再生でき、モノラル入力のマイク音声は明瞭な音で中央に集まるため、非常に定位感の良い音場になっています。サンマルコは披露宴などのパーティーだけでなく、講演会や各種会議でも使用されます。品位や高級感が大切な披露宴では、音質の良さはもちろんドラマチックな音響演出が求められる一方、会議ではどこに座ってもしっかり聞き取れる明瞭さが重要です。用途によって必要とされる音質が異なる空間ですが、RAMSAのシステムによりこれらが両立した空間をつくることができました。これまで大規模なイベントを行う際は、イベント会社が音響機器を持ち込むことがほとんどでした。しかし今回の改修で音質が非常に向上したため、これからはスピーカーもミキサーもサンマルコのものを使っていただけるのではと期待しています」


写真:WS-HM5104
サンマルコに設置されたWS-HM5104。部屋の内装に合わせアイボリーに塗装されている。
写真:WS-HM5104
WS-HM5104はホーンローテーションをして横向きに設置。
写真:WS-AR200-K
WS-AR200-Kはエキスパンドネットの裏に設置された。

部屋の分割状態ごとに設定された音響パターン
部屋の分け方や正面の位置ごとに9種類の音響パターンを設定。ディレイタイムなども考慮した細かな音響調整が行われた。音響パターンは放送室のラックに格納された制御ボタンで簡単に切り替え可能。

1.9 GHz帯デジタルワイヤレスマイクシステムで混信のない高音質な拡声を実現

今回の改修では室内のマイクシステムも更新。1.9 GHz帯デジタルワイヤレスマイクシステムWX-SR200Aシリーズが導入されました。

WX-SR200Aシリーズは1.9 GHz帯を使用しているため、800 MHz帯のワイヤレスシステムと混信しません。またDECT準拠方式の自動干渉回避機能を搭載し、様々な無線機器が混在しているホテルのような利用環境でも安定した拡声が可能です。

ハンドマイクには、入力レベルの許容範囲が広く音割れが起きづらいことから、ダイナミック型のワイヤレスマイクロホンWX-ST250を8本採用。全室使用時は8本全て、2部屋に分割した際は4本ずつ使用できます。

また、室内の4カ所に設置されたワイヤレスアンテナWX-SA250Aの内、受信機のある放送室から遠い2台は、既設の同軸ケーブルを活用して接続。同軸変換ユニットWX-SA002を用いてLAN経由での長距離伝送を回避することで、ノイズが発生しづらいシステムを構築しました。


写真:WX-ST250
サンマルコでの拡声用に採用されたワイヤレスマイクロホン(ダイナミック型)WX-ST250。
写真:WX-SA002
放送室の音響機器収納架に格納されたワイヤレス受信機WX-SR204A(4ch)、増設ワイヤレス受信機WX-SE200A(4ch)、同軸変換ユニットWX-SA002。
写真:WX-SA250A
サンマルコに設置されたワイヤレスアンテナWX-SA250A。
写真:WU-LP067
音響機器収納架の電源制御には電源制御ユニットWU-LP067が採用された。

納入機器

  • RAMSAデジタルミキサー WR-DX350 ×1台
  • RAMSAデジタルミキサー WR-DX200 ×2台
  • RAMSAフェーダーユニット WR-PU200 ×2台
  • RAMSA 15インチ 2ウェイスピーカー WS-HM5104 ×4台
  • RAMSA 30cm 2ウェイスピーカー WS-AR200-K ×8台
  • ワイヤレスマイクロホン(ダイナミック型) WX-ST250 ×8本
  • ワイヤレスアンテナ WX-SA250A ×4台
  • ワイヤレス受信機 WX-SR204A ×1台
  • 増設ワイヤレス受信機 WX-SE200A ×1台
  • 同軸変換ユニット WX-SA002 ×2式
  • RAMSA 電源制御ユニット WU-LP067 ×2台

・・・他


お客様の声

非日常を感じながら、質の高いイベントを実施できる空間としてアピールしていきたい

今回、ハイブリッド会議に適した音響システムを導入したことで、サンマルコをより多くのお客様のニーズに応えられる宴会場にすることができました。もちろん、会場の音響も非常に良くなりましたので、従来の用途である宴会や式典の場としても一層活用いただけると思います。非日常を感じさせる華やかな内観と最新設備の融合により、ひと味違った会議やイベントを実施いただけるはずです。会議とパーティー、宿泊がシームレスにつながるホテルならではの利便性とともにアピールし、国際会議のような大規模なコンベンションも積極的に誘致していきたいと思います。様々な場面においてホテルイタリア軒を選択肢の一番に挙げていただけるよう、これからもお客様の求めるサービスの提供を続けてまいります。(髙野 潤様)

機器が持つ拡張性を活かし、より運用にマッチした音響システムに磨いていきたい

室内の設備を一新し、スピーカーの配置なども、いちから行ったことにより、コンサートホールを思わせるグレードの高い音響空間をつくることができました。
今回導入したパナソニックさんの機器は非常に拡張性に富んでいるため、今後はその点を活かし、サンマルコの音響システムをさらに運用にマッチしたものへ磨いていきたいと思います。(刀根 正則様)

写真:髙野様、野口様、刀根様
株式会社イタリア軒
取締役総支配人 髙野 潤様(写真中央)
経営企画部 マネージャー 野口 篤史様(写真右)
ヨコセAVシステム株式会社 ソリューション営業部 技師 刀根 正則様(写真左)
※所属は取材時のものです。

お客様紹介

「新潟の洋食誕生の地」として伝統を受け継ぐ老舗ホテル

明治7年にイタリア人コックのミオラにより西洋食品店として創業。明治14年には新潟初の本格西洋料理店である「イタリア軒」を開業し、ホテルとなった現在に至るまで新潟の洋食誕生の地として地域の人々に愛されています。ホテル内には伝統の味を引き継ぐレストランや、それぞれのコンセプトが際立つ宴会場、会議室を備えており、様々なシーンで最上のおもてなしをご提供しています。


写真:ホテルイタリア軒外観
ホテルイタリア軒。
地図

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