テレビ大阪株式会社様
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IPスタジオサブシステム・IP回線設備・ファイルベースシステム
KAIROSを活用したIPスタジオサブを軸に、新社屋の放送システムをフルIPでサポート。

課題

新社屋建設にあたり、放送システム全体をIP化したい。

解決策

回線室をIP化し、全2つのスタジオサブのメインスイッチャーにIT/IPプラットフォーム「KAIROS」を採用。ファイルベースともスムーズに連携し、高い運用性を備えたフルIPの新社屋を構築。

KAIROSを使った番組制作では、パッチ作業がなくなるなど作業時間をかなり短縮できました。今はもう、ベースバンドには戻れないと感じています。

テレビ大阪株式会社 技術局 制作技術部 齊藤 智丈様 川村 真也様

背景

新社屋への移転を機に放送設備をオールIP化

2024年5月、テレビ大阪株式会社様が1982年の開局以降初めての社屋移転を行いました。移転プロジェクトの立ち上げにあたっては、まずは従来通りのベースバンドシステムを採用するか、今後を見据えてIP化するかについて検討する必要がありました。そんな折、TXN系列局全体でマスターのIP化プロジェクトが始動。「マスターをIP化するのであれば放送システム全てをIP化しよう」と、次世代のフルIP局へ向けた挑戦に乗り出しました。


導入した理由

新しいものをつくるために、共に戦えるパートナーを

技術局 制作技術部の齊藤様と川村様はシステム選定時をこう振り返ります。「様々なご提案がある中、今回は私たちにとって全く新しいサブをつくる挑戦になりますので、型にはまった考えを捨て共に創造していけるパートナーが欲しいと考えていました。するとパナソニックさんから“ベースバンド時代の使いやすさを損なうことなく運用性を向上させる”という言葉をもらい、パナソニックさんのIPに対する大きな意志を感じました。KAIROSについても、ME列やキーヤー数といった制限から解放されるとともに、サブ間のクロス運用にも柔軟に対応することができ、従来の番組制作に留まらない多様な使い方ができると感じたため採用を決めました」


導入後の効果

リソースシェアで2つのスタジオ・サブを効率的にクロス運用

新社屋は、旧社屋からスタジオ・サブを1つずつ減らして2つのスタジオと2つのサブにて構成。IP化により、リソースシェアを実現したことが、2サブ体制での大きなメリットになっていると齊藤様は語ります。

「スタジオ・サブ間のクロス運用ができるようになり、局内スペースの有効活用と、サブの空き時間をつくらない効率的な稼働を実現しました。今回私たちは1スタにニュース番組用と収録番組用の2つのセットを用意しました。これにより、通常は1スタのニュースセットを使って1サブでニュース番組を運行しますが、1スタで収録がある時には2サブで番組収録、別のスタジオを使って1サブでニュース番組を運行する、というクロス運用が可能になりました。もし同じことをベースバンドシステムで実施しようとすると、ルーターを用意して各サブとスタジオに大量のケーブルを引かないといけなかったところですが、ボタン1つで切り替わる設計のおかげで本当に助かっています。実際に以前よりもサブの稼働率が向上しました」

大規模な特番も、準備時間を短縮してスムーズに運用

テレビ大阪様では野球中継はもちろんのこと、「なにわ淀川花火大会」や日本三大祭りの1つである「天神祭」といった大規模なイベントの生中継を毎年行っています。川村様は、「IPサブなら、大規模用途に合わせて普段は使わないような過剰なシステムを導入する必要がありません。これまでは、大規模特番の前日に丸1日かけて特設のシステムを構築していたのですが、現在はPCの画面上で簡単に特番用に変更することができ、かなりの時間短縮になりました。タリーもシーンを覚えさせてしまえばワンボタンで切り替え可能で、2回目以降はシーンを呼び出すだけなのでさらに楽になりますね」と語ります。

キーヤーの制限から解放され、現代の番組制作に柔軟に対応

KAIROSの使用感について、川村様は語ります。

「これまでは、スイッチャーの制限の中でつくれるものをつくるという発想だったのですが、KAIROSにはME列やキーヤーの制限がないため、どういうものをつくりたいかという基準で自由に番組づくりができるようになりました。特に、PC上で合成や効果の作成ができるKairos Creatorは、まるでPowerPoint※のような簡単さでレイヤーを重ねていくことができ、とても使いやすいです」

また、齊藤様は、「コロナ禍以降はゲストのリモート出演も増え、ワイプを切ることが多くなりましたが、以前のサブでは“これ以上切れないよ”ということが多々ありました。キーヤー数に制限がないKAIROSは8面ワイプの番組でも全く問題ないため、当時叶えられなかった制作側の要望に応えられるようになりました」と語ります。

※PowerPointは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。


写真:中二階のある1サブでは、1階中央にKAIROS、中二階に送出サーバーのOA端末を設置
中二階のある1サブでは、1階中央にKAIROS、中二階に送出サーバーのOA端末を設置。
写真:KAIROSのコントロールパネル(中央)とGUIソフトウェアKairos Creator(右手奥)
KAIROSのコントロールパネル(中央)とGUIソフトウェアKairos Creator(右手奥)。
写真:収録サブや受けサブとして使用される2サブ。1サブと同様にKAIROS(AT-KC1000T)を導入
サブ・回線室にはブロードキャストコントローラーの管理アプリPSM(Panasonic System Manager)を設置。
写真:GUIソフトウェアKairos Creatorはシーンやレイヤーを簡単に制作できると好評
GUIソフトウェアKairos Creatorはシーンやレイヤーを簡単に制作できると好評。
写真:1・2スタジオ、報道フロアに合計4台のリモートカメラAW-UE160Kを導入
1・2スタジオ、報道フロアに合計4台のリモートカメラAW-UE160Kを導入。
写真:2サブのラック架。IP化でルーターも不要になり、VIDEO架が2本に収まる省スペースを実現
2サブのラック架。IP化でルーターも不要になり、VIDEO架が2本に収まる省スペースを実現。
写真:ネットワークを構成するLeafスイッチ
ネットワークを構成するLeafスイッチ。

ファイルベースシステムで、フロアスタッフの業務も効率化

ファイルベースシステムは2017年から使用していたテレビ大阪様ですが、今回のリプレイス後、さらに使いやすさを実感していると川村様は語ります。

「USBメモリーやSDカードから解放され、ネットワーク上で素材のやり取りが可能になったことはもちろんですが、特に勉強をしなくても皆が使えるほど簡単に操作できる点はありがたいと思いました。それから、VTRを送出する際に画面上にVTRの項目名や残時間を出せる機能はとても便利です。アナウンサーのコメントまで何秒、といった伝達も、アナウンサーの目の前のモニターに自動で表示されるのでわざわざフロアのADから伝える必要がありません。作業が1つ減ったことにより、フロアのスタッフは別の業務に専念できますし、フロアに出ているスタッフの人数も少なくできると思います」

リモート編集に対応し、記者クラブでの待ち時間を有効活用

「記者クラブに詰めていると現地で編集作業ができず、本社から送られてくる仕上がりを動画で見てから修正依頼をして、直して確認するという編集効率の悪い状態でした。そこで今回はファイルベースシステムを活用し、出先から本社の編集機にアクセスするリモート編集の機能を用意しました。撮影した素材も全てリモートで確認できるので、“こういう編集にして欲しい”といった他のスタッフへの要望も記者クラブにいながら正確に出すことができます。編集の経過をリアルタイムで確認できるようになったので修正の手間がなくなり、確認しながら一緒につくることで品質面の向上も可能となりました」と齊藤様は語ります。

マスターとのスムーズな連携で安定した回線室を構築

回線室の構築を担当した技術局 放送技術部の大森様と山口様は、構築時から現在の運用までをこう語ります。

「これまで20年近くパナソニックさんの回線システムを使用してきた経験から、安定性や保守サポートの対応力には信頼を寄せており、本当に長く、問題なく使えてきたという安心感はありました。ただ、今回IP化することになり、マスターが他社メーカーなのでパナソニックさんの機器との接続がスムーズにできるかという不安は少なからずありました。しかし、実際に構築し始めてみるとその心配は不要でした。構築時には、測定機器を駆使して懸念点を隅々まで洗い出し、トラブルなく進められるようにしていただいたからです。ブロードキャストコントローラーも使いやすく、良い意味で大きな変化を意識することなく運用できている点はパナソニックさんのソリューションの力だと思っています」


写真:1サブの中二階につくられた送出サーバーのOA端末
1サブの中二階につくられた送出サーバーのOA端末。
写真:OA端末用のタッチパネル画面。
OA端末用のタッチパネル画面。
写真:編集フロアのメディアインジェスト端末
編集フロアのメディアインジェスト端末。
写真:ファイルベースシステムのラック架
ファイルベースシステムのラック架。
写真:編集機はEDIUSを採用
編集機はEDIUSを採用。
写真:回線室の様子。中央右手にはブロードキャストコントローラーの監視端末「PSS」を配備
回線室の様子。中央右手にはブロードキャストコントローラーの監視端末「PSS」を配備。
写真:IP機器とベースバンド機器の統合管理・監視が可能なPSS(Panasonic System Surveillance)の画面
IP機器とベースバンド機器の統合管理・監視が可能なPSS(Panasonic System Surveillance)の画面。
写真:ラック室に設置された回線ラック
ラック室に設置された回線ラック。
写真:報道フロアにはニュース番組用のセットを配備
報道フロアにはニュース番組用のセットを配備。

写真:ニュース番組用セットの天井には原稿カメラとしてリモートカメラAW-HE20Kを設置。
ニュース番組用セットの天井には原稿カメラとしてリモートカメラAW-HE20Kを設置。
写真:プロンプターには4KリモートカメラAW-UE160Kを活用。
プロンプターには4KリモートカメラAW-UE160Kを活用。

システム構成図

■1・2サブ

【IPスイッチャー】 1サブ 2サブ
IT/IPプラットフォームKAIROS 
・メインフレーム Kairos Core 1000  AT-KC1000T  1 1
・コントロールパネル Kairos Control  AT-KC10C1G  1 1
・GUIソフトウェア Kairos Creator  AT-SFC10G  1 1
EMG&MV
・メインフレーム Kairos Core 100  AT-KC100T  1 1
・GUIソフトウェア Kairos Creator  AT-SFC10G  1 1
MV&CC
・メインフレーム Kairos Core 100  AT-KC100T  1 1
・GUIソフトウェア Kairos Creator  AT-SFC10G  1 1
IPペリフェラル
・棚板(ペリフェラルフレーム) AV-PF80U2  3 3
・IP/SDIゲートウェイユニット  AV-PF80GW1  20 17
2Kペリフェラル棚
・棚板(ペリフェラルフレーム)  AV-PF30U2  1 1
・SDAユニット  AV-PF30M1  11 7
・2CH SDAユニット  AV-PF30M2  5 5
Leafスイッチ
・ネットワークスイッチ(他社製) 2 2
リモートカメラ
・4Kインテグレーテッドカメラ  AW-UE160K  2 2
・HDインテグレーテッドカメラ  AW-HE20K  2

※うち、1台は報道フロアに設置

■回線センター

ネットワーク監視(ブロードキャストコントローラー)

・PSS/PSMライセンス x 1
・PSSサーバー x 1

Spineスイッチ

・ネットワークスイッチ(他社製)x 2

Leafスイッチ

・ネットワークスイッチ(他社製)x 2

■ファイルベースシステム

・ファイルベースシステム x 1


お客様の声

効率化で生まれた時間を新たな番組制作に

今回の新社屋建設を機に、番組制作を効率化する素晴らしい設備ができあがりましたので、今後は番組数を増やしたり、より高度な演出を行ったり、減った分の労力を番組づくりの方に使っていけたらと思っています。IP化によって自由度も高まりましたので、リモートプロダクションにも挑戦していきたいですね。局内オールIP化に挑戦したからこそ実現する運用を、これから楽しみにしています。

写真:齊藤 智丈様
テレビ大阪株式会社
技術局 制作技術部長
齊藤 智丈様
※所属は納入時のものです。

新しい技術を使って今までにない番組をつくる

サブ・回線・ファイルベースと、トータルでパナソニックさんにお願いしたことで、情報を皆さんで共有しながら一気通貫で進めてくださり、非常にスムーズに構築することができました。今回のIP化ではスタジオとサブの垣根を越えることができ、今までにないものづくりができる可能性が広がりました。これからさらに新システムをフル活用し、新しい番組制作に挑戦していけたらと思います。

写真:川村 真也様
テレビ大阪株式会社
技術局 制作技術部
川村 真也様
※所属は納入時のものです。

レスポンスの早さや熱心な対応に感謝しています

2021年の秋ごろからスタートして2024年5月の放送開始まで、とても熱心に対応していただき感謝しています。特にパナソニックさんはレスポンスが早く、設計段階でもこちらの要望に対して素早く明確な回答をいただけたおかげで、分からない部分を解決しながらスムーズに進めていくことができました。

写真:大森 雅文様
テレビ大阪株式会社
技術局 放送技術部
大森 雅文様
※所属は納入時のものです。

本音で話し合い、共につくることができました

今回は初めてのIP化ということで、我々も実績やノウハウがないことによる不安はありましたが、放送技術に深く精通されているパナソニックさんならではのアドバイスをいただき、とても心強く感じました。正直に、何でも本音でお話させていただける空気感をつくってくださったことにも感謝しています。

写真:山口 恭平様
テレビ大阪株式会社
技術局 放送技術部
山口 恭平様
※所属は納入時のものです。

お客様紹介

大阪を元気にする多彩なコンテンツを発信

テレビ東京系列局(TXN)として1982年に開局したテレビ大阪株式会社様。新社屋では、3階に2つのスタジオ・サブを含む放送設備を集約。5階のテラスからは「天神祭」の舞台となる大川が見渡せ、“天神祭に最も近い放送局”ならではの臨場感ある中継が行われます。生まれ変わった新社屋から、地域の人々を元気にする数々のコンテンツが発信されています。

所在地:大阪市中央区大手前1-1-7
URL:https://www.tv-osaka.co.jp/


写真:テレビ大阪様の新社屋
テレビ大阪様の新社屋
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