背景
警固公園クリスマス装飾の課題と新たな演出の模索
福岡市警固公園にて毎年イルミネーションなどにより実施されている「天神クリスマス装飾」。周辺エリアでも同様の演出やクリスマスマーケットが盛んに行われており、限られた予算の中で新たな切り口を見つける必要がありました。一方、警固公園は立体物が少なく、平面的で広い空間であることも課題でした。昨年はリボンのオブジェを設置しましたが、「公園全体としてより華やかにしたい」という声があったため、今年は面で広く展開できる手法を検討。プロジェクションマッピングといえば壁面への投写が一般的ですが、今回は、歩行者の多い場所で目線が向きやすい床面を活用するアイデアを具現化しました。
導入した理由
体験型プロジェクションで魅せる新しいクリスマス
例年とは異なる新しい演出を求めるクライアント様に対し、特にお子様やご家族連れが楽しめる「体験型」のコンテンツを提供することを狙いとしました。インタラクティブ要素として、単なる映像投写ではなく、人の動きに反応する仕掛け(センサー)と、株式会社ランハンシャとして初めて「音」を同期させた演出を企画。警固公園の広大な床面に、12台の短焦点プロジェクターを同期させて投写しました。今回は、複数の候補のうち「投映距離」、「明るさ」、「重さ」の要件を満たすプロジェクターを検討。さらにトラス本数などの制約を考慮し、軽量なモデルが望ましかったため、パナソニック製短焦点プロジェクター(PT-CMZ50J)を採用しました。本機種は2025年夏のイベントでも運用実績があり、想定以上の明るさや安定した稼働が確認できていたことから、今回も安心して使用できました。
導入後の効果
夜の公園が“物語の舞台”に変わる、歩いて楽しむプロジェクション
夜の公園に広がるのは、床一面に映し出された光と音の世界。来場者の動きに合わせて映像や効果音が反応し、子どもから大人まで思わず足を止め、夢中になって遊ぶ体験型コンテンツが生まれました。歩くと床面に水の波紋が現れ、走ると波紋があとをついてくる、また別のシーンでは、歩くと床面の色が変わるなど、床面を主役にした演出は、夜の公園を“歩いて楽しむ物語空間”へと変えています。エントランスでは、昨年同様にリボン型オブジェが来場者を迎え、公園中央には新たなシンボルとなる大型オブジェを設置。写真を撮りたくなるフォトスポットとしても機能し、SNSでの投稿も多く見られました。光・音・アートが融合した空間が、人を引き寄せ、滞在を生み、クリスマスシーズンの夜に特別な空間を創出しました。
投写映像と公園の石畳の目地をできるだけ合わせており、映像が床面に自然に広がって見える。
カラフルな映像も、石畳の目地ときれいに揃っている。
歩くと色が変化するので、何度も踏んで楽しむことができる。
隣接する施設のLED電飾にも負けず、床面に投写された映像はきれいな発色。
水の波紋にあわせて、魚のモチーフを採用。色とりどりの魚の群れが自由に泳いでいるよう。
カラフルな魚の群れの上を悠々と泳ぐ大きなクジラ。
規格を超えて挑んだ、12台同期による床面へのマッピング
この演出を支えているのが、12台の短焦点プロジェクターを同期させた床面へのプロジェクションマッピングです。今回の床面投映では規格外の大きさでしたが、重さ、明るさ、投映面積など全体を考慮し、使用できると判断しての挑戦。コンテンツ制作からインタラクティブ演出、設置・制御・調整までを一貫して行い、屋外設置に対応したオリジナル筐体も制作しました。石畳の目地に映像を合わせる高難度の調整や、配線・同期・フォーカスの限界調整など、現場では多くの工夫が重ねられています。また、床を踏むと音が鳴る仕掛けを導入したことで、演出への気づきや楽しさがさらに向上。多くの人が足を止め、滞在時間の延長や回遊性の向上につながるなど、公共空間ならではの大きな効果を生み出しました。
プロジェクターの排熱を考慮して、吸排気ファンを装備。ポリカーボネート製の屋根も備えている。
公園の規定や工期の都合で、大きな足場を組めず、高さ2.5mのトラスを設計。短焦点プロジェクターを複数台使用することで広い投映面を確保した。
センサー(他社製)で、広範囲なインタラクティブ性を実現。
納入機器
- 液晶超短焦点モデル
PT-CMZ50J×12台
お客様の声
同期プロジェクターで描く、新しい体験の空間
機材選定では、営業担当者が現場同行して確認してくれて安心感がありました。スペック外サイズの調整や公共空間設置のノウハウも得られ、今後に活かせます。また、『体験できる』演出へと視点を変え、12台のプロジェクター同期による広大な床面投映を成功させ、独自の価値を生み出せたことも大きな成果だと考えています。クライアント様も「限られた予算の中で、新しい体験型コンテンツを作っていただきました。来場者が喜んでいる様子を実際に見ることができ、非常に良いものを作っていただけたと感じています。」と好評を得ています。
Director 平原 友眞様
※所属は納入時のものです。
お客様紹介
天神の冬を美しく彩る恒例の装飾
福岡市・天神の中心、西鉄「福岡(天神)駅」の真横にある警固公園で、2025年12月7日から同月25日まで開催されました。「天神クリスマス装飾」として毎年実施されているもので、通勤通学、ショッピングに来られた多くの人々を楽しませる、このエリアの風物詩です。
■ 所在地:福岡市中央区天神2-2
昼間の警固公園。「防犯と景観の両立」をコンセプトにデザインされている。