神戸市様/楽天ヴィッセル神戸株式会社様 ノエビアスタジアム神戸
“一体感”のある演出で様々なスポーツイベントを開催
神戸市様が所有し、楽天ヴィッセル神戸株式会社様が運営管理を行うノエビアスタジアム神戸は、スタンドからピッチまでの距離が近く、大迫力のスポーツを間近で観戦できる体感型スタジアムです。日本プロサッカーリーグ「ヴィッセル神戸」のホームゲームのほか、2019年秋にはラグビーの国際的な大会を控えるなど、数々のスポーツイベントが行われています。
導入の経緯
HDR撮影やハイスピード撮影に対応したスタジオカメラと、使いやすさを追求したライブスイッチャーを採用
ノエビアスタジアム神戸様では、開催されるスポーツイベントを撮影し、2台の大型映像表示装置にライブで映し出す会場演出を行っています。以前はSD画質のアナログカメラとアナログスイッチャーを使用していましたが、2019年秋に大規模なラグビーの国際大会開催が決定し、システムの全面HD化を実施されました。カメラには、HDR撮影に対応した4KスタジオカメラAK-UC4000を2台とAK-UC3000を1台導入。AK-UC4000はハイスピード出力にも対応しているため、今後ダイジェストでスロー映像を表示することも考慮し採用いただきました。また、スタンド席の上部には、高度な揺れ補正機能と光学20倍/デジタル10倍ズームを備えた屋外対応HDインテグレーテッドカメラAW-HR140を導入されました。
それらの映像を制御するスイッチャーには、2MEライブスイッチャーAV-HS6000を導入。ルーティングスイッチャーはAV-WM7400シリーズを72入力×72出力で採用されました。ライブに適した素早い操作が可能なコントロールパネルや、慌ただしいスポーツの現場でも瞬時に必要な機能が呼び出せるタッチパネル式のメニューパネルが、実際に作業するオペレーターの方々から高い評価をいただいています。ノエビアスタジアム神戸様では、基本的にプロのオペレーターが映像演出を行いますが、イベントによっては専門職でない方もスイッチャーを操作することがあるため、誰にでも分かりやすい操作性は非常に重要な採用のポイントでした。
システムの紹介
明暗差の大きいスタジアムでも白飛び・黒つぶれを防いで高画質に撮影するスタジオカメラ
可動式の屋根を採用しているノエビアスタジアム神戸様では、屋根を開けると時間帯によって半分日向/半分日陰という厳しい撮影環境になります。スタジオカメラAK-UC4000/UC3000はHDR撮影に対応しているため、明暗差の激しいシーンでも白飛びや黒つぶれを防ぎ、リアリティのある映像を撮影することが可能です。以前は、プレー中の選手を撮影していると、日の当たるスタンド席は白飛びして何も撮影できていないというお困りごとがありました。HDR機能の導入により、プレーを撮影していても観客席のお客様の表情まではっきりと撮影でき、会場との一体感が出せるようになりました。ノエビアスタジアム神戸様が掲げる『ピッチとスタンドの一体感』というテーマが表現できるようになったと、喜びの声をいただいています。
優れたスキュー低減機能で、スポーツ撮影ならではの課題を解消
サッカーの試合は選手の動きが速いため、ローリングシャッター現象(高速に移動している被写体を撮影すると出る映像の歪み)が起きやすくなります。AK-UC4000/UC3000はスキュー低減機能を搭載しているため、歪みを抑えた自然な映像を撮影することが可能です。映像演出を担当する有限会社タイムリーの前地様は、「以前抱えていたローリングシャッターに対する課題がかなり解消されました。このカメラを使用し始めてから肉眼で観戦している感覚に近い映像表現ができるようになりました」と語ります。
被写体が高速移動するスポーツ撮影に最適なビューファインダー
サッカーやラグビーの試合では、ボールを持つ選手が次から次へと替わります。試合の臨場感を伝えるために、カメラマンは常にその選手を捉え続ける必要がありますが、撮影時は一度ビューファインダーから目を離し、目視で選手の位置を確認してから再びビューファインダーを覗く動作を繰り返します。1.5型HDビューファインダーAJ-CVF50Gは目を離しても像の変化が少なく、瞬時に全体像を確認することが可能です。前地様からは、「一瞬で隅々まで確認できるため非常に助かっています。まさに、サッカーの撮影に最適なビューファインダーです」と高い評価をいただきました。
滑らかで揺れの少ないパン・チルト・ズームにより、狙い通りの画づくりを実現するリモートカメラ
スタンド席の天井に取り付けられた屋外対応HDインテグレーテッドカメラAW-HR140は、パン±175°、チルト-30°~210°の回転台性能により、1台でスタジアムの端から端まで網羅し、主に会場全体の俯瞰映像や選手を上からズームで撮影することに活用されています。以前の天井カメラでは、コントローラーに軽く触れただけで激しく動いてしまう課題がありましたが、AW-HR140は細かなカメラワークが可能なため、ストレスなく撮影することが可能になりました。最も大きなポイントとなったのは、選手のリアクションを撮影する際、高倍率ズーム時でもブレが少なく、操作する手の感覚に合わせて思い通りに動作したことでした。選手の良い表情が出た時などリアルな映像演出が可能になったと高評を得ています。
スポーツのライブ演出に、スムーズで素早いオペレーションが可能なライブスイッチャー
映像操作室に設置された2MEライブスイッチャーAV-HS6000は、フィールドで撮影する2台のスタジオカメラAK-UC4000と、映像操作室に置かれたAK-UC3000の映像、そして天井に設置したHDインテグレーテッドカメラの映像を制御しています。 また、中継車用として8系統の入出力を用意し、以前は共聴回線が別制御となっていたところを今回からAV-HS6000で一元化できるシステムとなりました。操作性の面では、タッチパネル式のメニューパネルがカテゴリーごとに項目分けされており、直感的で使いやすいと好評をいただいています。また、外部機器ともスムーズに接続することができ、高い拡張性が評価されています。
マルチビューアー機能でオペレーション時の効率化に貢献
AV-HS6000は4系統のマルチビューアー出力に対応し、画面レイアウトは9パターンから選択することが可能です。「以前は9インチのモニターを壁面にバラバラと設置しており見づらかったのですが、今回導入した50インチのモニターでAV-HS6000のマルチビューアー機能を使ってみると、自分の見やすい位置に好きなように画面配置ができ、オペレーションがとても楽になりました」と前地様は話します。
導入を終えて
お客様に良質な体験を届けるために
今回、スタジオカメラAK-UC4000のシステム導入を担当しました。SDカメラからの更新を検討している折、映像演出を担当する有限会社タイムリーのスタッフからパナソニックさんのスタジオカメラが高機能だという情報を得て、私たちのニーズと合致したため導入を決定しました。現在、ノエビアスタジアム神戸では「ヴィッセル神戸」の試合やラグビーの大会などスポーツイベントが主に行われていますが、今後は音楽イベントなど様々なエンターテインメントを開催していけたらと考えています。このカメラでたくさんのイベントを撮影し、来場されるお客様に良質な体験をお届けしていけたらと思います。
アジアナンバーワンの映像演出を目指して
スイッチャーのオペレートなど、ノエビアスタジアム神戸での映像演出を担当しています。今回のシステム更新によって使いやすさが大きく向上し、演出の幅を広げることができるようになりました。まだ導入して間もないですが、これからさらにカメラとスイッチャーの様々な機能を試していき、これまでにない新しい演出を行っていけたらと考えています。アジアナンバーワンを目指す「ヴィッセル神戸」さんのように、私たち制作チームもアジアナンバーワンの映像演出を目指して、より一層お客様に感動と興奮の時間を過ごしていただくことができたら嬉しいです。