一般財団法人熊本県スポーツ振興事業団様 えがお健康スタジアム
導入の背景
1999年、くまもと未来国体(第54回国民体育大会)にあわせて開場した「えがお健康スタジアム(熊本県民総合運動公園陸上競技場)」は、熊本の陸上の聖地として、またサッカープロリーグのホームスタジアムとして、様々なスポーツの発信拠点となっている県下最大の多目的競技場です。2019年10月には大規模なラグビーの国際大会開催を控えており、それに伴いこの度スタジアムの全面改修を実施しました。改修前は、メインとバックスタンドの2 方向からスタジアム全体へ拡声しており、客席内における拡声音量レベル差や音の反響により聞こえづらいエリアがあるなどの課題がありました。さらに、サイドスタンドに向けたスピーカーの音がスタジアム外の近隣住宅地まで音漏れしてしまい、住環境への配慮も必要なことから、サイドスタンドに音漏れを防ぐ壁の設置も検討していました。このような課題を解決するため、優れた指向性制御とクリアな音質が評価され、RAMSAラインアレイスピーカーが採用されました。
概要と特長
スタジアム音響設備改修に向けた3つの改善ポイント。
①明瞭度の高いアナウンス拡声から豊かな音質の音楽再生までを両立
②スタンド客席内における均一な音圧レベル分布
③近隣騒音への配慮
スピーカー配置計画や、各スピーカーの設定値(パラメーター)を含めRAMSA音響シミュレーターを活用し以下の検証を実施しました。
- 事前音場予測
- 音場解析
- 最適音場の実現
音響シミュレーターの解析から、メインスピーカー(WS-LA500AWP)の構成は6連結のアレイスピーカーを 4か所に配置し、メインスタンド席およびフィールドに向けてカバーエリアを確保しました。サブスピーカーには、メイン・バックスタンド席に向けて40本の全天候型小型アレイスピーカー(WS-LB311)を分散配置しました。また、課題の1つであった音漏れ対策として、同じくWS-LB311をサイドスタンド席に向けて新設することで、確実な集中・分散スピーカー配置を展開しました。これにより、客席内における音量レベルの均一化と明瞭な拡声を得ることができ、スタジアム外への音漏れも低減しました。導入後は、様々な試合の主催者から「どこにいても聞こえやすい」、「音量ボリュームを上げても反響しない」など高い評価をいただいています。
誰にでも使いやすいデジタルミキサーでスムーズに音響操作。
えがお健康スタジアムではサッカープロリーグや陸上競技大会など様々なイベントが開催されます。サッカープロリーグの試合では専門の音響スタッフがオペレーションを行いますが、陸上の大会などは指導員の先生が行うことがあります。デジタルミキサーWR-DX400 [販売完了] は操作が分かりやすく、事前に登録したメモリー機能を活用することで誰でも簡単に使用できると好評です。また、DSP内蔵デジタルパワーアンプ(WP-DM900 Series)は、専用アプリ機能の1つであるオペレータービューの活用により、スタジアム利用の設定パターンをグラフィック化することで高い操作性と視認性を確保しました。 さらに、本システムのもう1つの特長であるデジタルミキサー(WR-DX400 [販売完了] )のネットワーク機能を活用した遠隔操作を実現。小規模のイベントであれば音響調整室に行かなくてもグラウンドからネットワーク経由でPCやiPadを使用して操作することも可能になりました。
お客様の声
県民のスポーツの聖地として、熊本に希望をもたらすスタジアムに。
最初にRAMSAの音を聞いたとき、こんなにもクリアな音を大音量で流せるのかと驚き、感動したのを覚えています。スタジアム内を1周歩いてみると、どこにいても同じように良い音が届き、観客席の端から端までちょうど良い音量で耳に入ってきました。メインとなる4式のラインアレイスピーカーと、40本の分散スピーカーを組み合わせていますが、全ての音が鳴ったとき、これまでとは比べものにならないほどスタジアム全体に一体感が生まれたように感じました。スタジアムを器にして丸味を帯びたような、立体感のある音です。
実はこれまでサッカープロリーグの試合など大きなイベントでは音響業者の方々が沢山のスピーカーを持ち込み、会場を一周するように設置してから試合を開催していました。今回のリニューアル後、RAMSAの音を聞いた業者の方々から「これならもう持ち込まなくて良いね」と言われ、音に対して抱えていた不安がなくなりました。パナソニックさんに何度も足を運んでいただき、親身に話を聞いてもらえたおかげで様々な問題が解決でき、大規模なラグビーの国際大会を控えた今、自信を持って皆さまに楽しんでいただけるスタジアムになったと言えます。良い音響設備が整いましたので、これからも熊本県民のスポーツの発信拠点として、皆さまに元気と希望をもたらすような、そんなスタジアムになっていけたらと思っています。