写真：“日本テニスのメッカ”と呼ばれ、国際大会など数々の大規模テニストーナメントが行われてきた有明コロシアム内のテニスコートと観客席。

有明テニスの森公園様

RAMSAスタジアム音響システム・大型映像表示装置・カメラシステム

明瞭度の高いスピーチ拡声と高画質なライブ映像表示でスタジアム音響・映像をワンストップソリューション。

課題

スピーチ拡声の明瞭性を確保するとともに、ライブ映像演出で観客を盛り上げたい。

解決策

音響シミュレーションソフト「PASD」を使用して、シミュレーションから現場調整までスムーズな音場づくりを実現するとともに、既設の電光掲示板から高画質LEDの迫力のある大型映像表示装置に変更。

中高域が明瞭で音が前に出てくる、RAMSAスピーカーの音質はなかなか良いと思いました。
浪花千葉音響計画有限会社
代表取締役　浪花克治様
※所属は納入時のものです。

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背景

約1万人収容可能な全天候型スタジアムの音響・映像設備を全面更新

2019年8月、有明テニスの森公園敷地内にある「有明コロシアム」の設備改修が完了しました。開閉式屋根を備えた有明コロシアムの音響システムは、これまでは天井中央に設置されたセンタークラスターにより、多数のポイントソーススピーカーで構成されていましたが、今回はRAMSAラインアレイスピーカーを採用。既設の部材に36台のWS-LA500AWPを8連アレイ×2式、4連アレイ×5式で取り付けました。また、映像機器関連も全面更新。2式の大型映像表示装置を導入し、撮影にはリモートカメラやショルダー型カメラを配備しました。さらに、座席数約3000席の屋外型テニス競技場「ショーコート」を新たに建設し、ここへも大型映像表示装置やリモートカメラを導入。パナソニックの専門領域をフルに生かしたワンストップソリューションでサポートしました。

写真：有明コロシアム天井部分に設置されたラインアレイスピーカーと大型ビジョン — 有明コロシアムの開閉式屋根に設置されたラインアレイスピーカー。リギングプレートにクイックリリースピンを挿すだけで簡単に固定できるため、施工時は1キャビネットずつ運び上げてからアレイを組んだ。

導入した理由

スピーチ拡声にふさわしい明瞭な音質が決め手に

システムの選定や設計・施工は株式会社アセント様が行い、計画立案と基本的なシミュレーションならびに現場でのスピーカー配置や向きの調整、音質ときめ細かな調整は浪花千葉音響計画様が実施。それぞれのプロフェッショナルが力を合わせ、約2年かけて計画が進められました。アセント様は機器選定時のことをこう振り返ります。「実際に音を聴いてRAMSAはアナウンス拡声の明瞭度が高いと感じました。それからパナソニックさんは大型映像表示装置やカメラシステムなどの技術もお持ちで、音響と映像の相談と仕入れを一本化できる点は大きなポイントでした」。また、浪花千葉音響計画様は「中高域が明瞭で音が前に出てくる、RAMSAスピーカーの音質はなかなか良いと思いました」と語ります。

写真：天井に設置されたラインアレイスピーカーは36台とサブウーハー2台。 — ラインアレイスピーカーWS-LA500AWPを8連アレイ×2式、4連アレイ×5式で配置。写真中央下に吊られているのがサブウーハーWS-LA550AWP。サブウーハーは計2台設置している。

導入後の効果

スタジアム音響づくりでスピーカーに求められることへしっかりと対応

スタジアムにおける音場づくりではアナウンスが明瞭に聞き取れることが重要であると浪花千葉音響計画様は話します。「例えば500Hzの領域を場内で3㏈下げたいと思い調整量を設定しても1dBしか下がらず苦労することが現場ではよくあります。言い換えれば、所望の設定値以上の数値を入れないと反応してくれないということがあります。その点、今回導入したRAMSAスピーカーWS-LA500AWPは反応が良く、3dB下げたいと考えて調整すると素直に3dB下がり、繊細な調整にしっかりと付いてきてくれます」。

写真：有明コロシアム屋根を開放し、雲一つない青空が見える。 — 屋根開放時の様子。開閉に関わらず最適な音圧となるようプリセットで設定変更が可能。急な雨で屋根を閉めても音質を保てると大会主催者からも好評。

写真：有明コロシアム内の映像調整室内の様子。 — 有明コロシアムの映像調整室。右側にHDインテグレーテッドカメラ用のコントローラーを2台、中央にはライブスイッチャーを配置。

写真：有明コロシアムの映像調整室内に設置されたライブスイッチャーAV-HS450N。 — 大型映像表示装置への出力素材をスイッチングするライブスイッチャーAV-HS450N。

シミュレーションソフト「PASD」を使って音響調整

スピーカー設置時は、細かな音響調整の前にシミュレーションソフト「PASD」を使ってまずは原音に近いフラットな状態をつくり上げました。浪花千葉音響計画様は「PASD」について“細部まで良く考え抜かれたシミュレーター”と評価します。実際に「PASD」を使用した感想をアセント様に聞きました。「最初に空間の形状を入力してスピーカー構成や配置の検討を行いました。シミュレーションと実際の調整をそれぞれ別のソフトウェアで行うことが多いですが、『PASD』はその後に現場調整用のパラメーターが出てアンプに直接転送することができます。さらに、現場で音を鳴らし、マイクを使って測定を行えるので非常にスムーズに調整ができました」。