パナソニック コネクト株式会社 加賀工場
課題
特別なスキルが必要な溶接工程で、品質確保のために当該人材を有する外部の専門工場へ委託が必要だった。
解決策
レーザ溶接ロボット”LAPRISS”を自社工場に導入して内製化することで、仕上げ処理の少ない高品質な溶接を実現。約4割のコストダウンにも成功。
『人の技能に頼らない溶接工程』をレーザ溶接ロボットで実現、労働力不足といった社会課題とも向き合った取り組みです。
背景
人が入れ替わる委託工場、高技能・人に依存しない生産プロセスを確立するため
溶接用の消耗部品、トーチなどの周辺機器を生産する加賀工場は機械加工や板金加工、溶接、塗装といった工程も有する工場です。工場を運営するうえで特別な技能が必要な工程は外部に委託せざるをえず、薄板の溶接工程も例外ではありませんでした。しかし外部の委託工場でも人員が入れ替わることも多く、高いスキルをもつ溶接作業者を継続して確保することは容易ではありません。そこで加賀工場は、人・スキルに依存せずに高品質な溶接を実現するべく、LAPRISSを導入しました。(工場長 角野さん)
導入理由
外部委託工場の人的リスクを避け、誰もが良品を作る生産プロセスを保つため
薄板の溶接というのは熱歪み・溶落ちも考慮した熟練の技術を必要とする溶接工程です。外部委託工場でもこのような熟練の技術をもつ作業者を確保することは難しく、また作業者も高齢であったり同じ職場で継続して働き続けるとは限りません。安定的に高品質な溶接品質を確保するため、加賀工場にLAPRISSを導入することを決断しました。(製造課 山田さん)
お客様へ販売する自社製品を社内で活用し、お客様へ訴求するため
加賀工場は溶接工程も有する工場なので、私たちのお客様と同じく溶接現場で課題を抱えています。
今回LAPRISSを導入したもう一つの理由は「同じような悩みを抱えるお客様の課題解決につなげて欲しい」という思いもあったからです。加賀工場内には自社のアーク溶接機・溶接ロボットも導入しており、レーザ溶接ロボットLAPRISSも導入してそのメリットをお客様へ知っていただきたいと考えて導入を決めました。(工場長 角野さん)
導入後の効果
「ワークをセットしてボタンを押すだけ」 高品質な生産プロセスの確立
外部の委託工場では仮付け→溶接→仕上げ作業→熱歪みを取るという一連の工程を経て完成でしたが、ワークをセットしてボタンを押すだけで完成、という『高技能に頼らない生産プロセスを確立』できたことが最大の効果です。モノづくりというものは人の高技能・ノウハウに依存する部分も多いのですが、事業の継続・労働力不足といった社会課題も考えると、最新の設備に置き換えるこの取り組みは非常に大きな意義がありました。(製造課 山田さん)
レーザ溶接ならではの美しいビード外観
また溶接品質もレーザ溶接ならではの美しい仕上がりを実現、塗装後は曲げたのか溶接したのか判別できないほどの感動的な仕上がりとなりました。(製造課 山田さん)
コストに加えてリードタイムも圧縮
内製化に取り組むことで約4割のコストダウンを実現できました。
加えて、従来は委託工場で長いリードタイムを要する工程だったため在庫も保有していましたが、内製化することでリードタイムも3~4日に短縮。加えて在庫の量も圧縮することができました。(製造課 山田さん)
納入機器
今後の展望
溶接品質向上に加えて「つながる」ことで管理も向上
現時点、LAPRISSは私たちの見える化ソフトであるiWNB(統合溶接管理システム)の接続対象外ですが、今後つながることで溶接工程トータルとしての管理ができるようになればと思っています。
また溶接品質を向上させることで施工の幅を広げ、部品取りを改善することで廃材を減らすこともできるかもしれません。そういったことにもこれから取り組んでいければと考えております。
ボタンを押すだけで誰もが同じ製品を作る
立ち上げには苦労しましたが、今では部材をセットすればボタンを押すだけで高品質な同じ製品を生産することができるようになりました。今後はもっと幅広い機種などに展開して、LAPRISSにはもっともっと貢献してもらいたいと思います。
お客様紹介
プロセスオートメーション事業部 加賀工場
加賀工場は1974年に設立、溶接用の消耗部品、トーチなどの周辺機器を生産しています。私たちのお客様と同じく板金工程から溶接、塗装、組み立てなどの工程があり、お客様と同じ目線で私たちの製品を使い、改善を提案する活動を進めています。
リモートレーザ溶接ロボットシステム LAPRISS
高いエネルギー密度で低入熱溶接と低歪み&高速溶接を実現するダイレクトダイオードレーザ溶接ロボットシステム LAPRISS。
ティーチングペンダントもパナソニックの溶接ロボットと共用で操作も簡単。独自のスパイラル工法やスピン工法でギャップ裕度、狙いズレ裕度も拡大し、使いやすい仕様に。