学校法人大手前学園 大手前大学様
専門力を高める、大手前大学ならではの学び
学校法人大手前学園 大手前大学様は “STUDY FOR LIFE(生涯にわたる人生のための学び)”を建学の精神に、様々な年代・キャリアの人々へ向けて学びの場を提供しています。2010年からは独自のeラーニングシステムを開発し、通信教育部を設置。オリジナルの映像コンテンツを用いたeラーニングは、第8回日本e-Learning大賞奨励賞を受賞するなど、高い評価を得ています。
導入の経緯
高品位なeラーニングコンテンツ制作に、多数の映像システムを採用
大手前大学様は、2008年よりeラーニング事業を担う子会社を設立し、通信教育への本格的な取り組みをスタートしました。 さくら夙川キャンパスでは大小様々な教室でeラーニングのコンテンツ制作が行われ、クロマキー撮影に対応した専用スタジオも設置。 撮影用機材には、初期導入時からパナソニックのカメラシステムも使われていましたが、記録メディアがテープだったことによる運用面での課題があり2012年より順次リプレイスを開始しました。 新たな取り組みであるライブ配信への対応も目指す中、2018年3月、使いやすさと映像品質が評価されパナソニックのカメラシステムが多数導入されました。 放送局でも定評のある4K対応のハイエンドカメラAG-DVX200や、リモートコントロールで臨場感ある画づくりを可能にする4K/HDインテグレーテッドカメラ、コンパクトなメモリーカード・ポータブルレコーダーなど、多彩なカメラを導入。 機器選定を担当した情報メディアセンターの西尾信大様は、「導入後、高品質な映像を以前より簡単に撮れるようになりました。 実際にプロの現場で使われているシステムに触れられるので、現在では本学のメディア・芸術学部で映像を専攻する学生たちにもコンテンツ制作を手伝ってもらい、制作現場の経験に繋げています」と語ります。
システムの紹介
プリセット登録で簡単カメラコントロールが可能な、リモートカメラシステム
4KインテグレーテッドカメラAW-UE70Wは、滑らかなパン・チルト・ズーム動作に加え、リモートカメラコントローラーAW-RP50との組み合わせによるプリセット機能が高く評価されています。 eラーニングのコンテンツ制作は、専属スタッフに加えて映像制作を専攻する学生たちも参加しますが、事前に記憶させたパン・チルト・ズームプリセットを呼び出すことで、初めて操作する学生スタッフでも十分な品質を保った撮影ができています。 また、AW-UE70Wはプリセット切り替え時に静止画を表示させるFreeze During Preset機能に対応しており、たとえ左右にカメラを振った場合でも、乱れた状態を表示させずに自然な映像をおさえることが可能です。
さらに今回は、リモートカメラ本体に装着して2つのレンズで撮影するコントロールアシストカメラAW-HEA10Wも導入しました。AW-HEA10Wで講義室全体をおさえ、iPadで引きの映像を見ながらリモートカメラ本体をコントロール。 教員へのズームアップや板書時の黒板へのパンなど、まるでスマートフォンを操作するようにタッチパネルから簡単に操作することが可能です。 学生スタッフは指導員や先輩と一緒にiPad画面を見ながら画づくりを教わることができ、ハンディカメラに触れる前の段階として“自分が視聴者だったらどこを見るか”を想定したカメラ位置選択を学ぶことができています。
西尾様は導入後の効果についてこう語ります。 「授業課題は、自分で決めた題材を撮る、いわば『自主制作』ですが、多くの現場はクライアントからの依頼によるもの。 そういう点でeラーニング教材の制作は学生たちの将来に繋がる実践的な学びです」。
イベント撮影に活躍するメモリーカード・カメラレコーダーAG-DVX200
UHD/60pの高解像度・高速フルフレーム収録が可能なメモリーカード・カメラレコーダーAG-DVX200は、オープンキャンパスなどのイベント撮影にも使用されています。 大型のホールや体育館などでのイベントでは、ドリーに乗せたAG-DVX200でステージまわりを撮影し、ステージ上のスクリーンにライブで映し出しています。
西尾様は、「AG-DVX200は放送局でも使われているプロ用カメラということもあり、今回導入したカメラの中でも学生たちに一番人気です。 リングを使ったズームやフォーカスの画づくりなど、マニュアル撮影の練習にも貢献しています」と話します。
講義収録に高い運用性を発揮するPOVCAM
(メモリーカード・ポータブルレコーダー+コンパクト・カメラヘッド)
eラーニングのコンテンツは、スタジオで教員がカメラに向かって話す構成のものから、スクーリング(通信教育の学生が登校して受ける授業)を映したものなど様々あります。 スクーリングの場合は、講義室全体をおさえるカメラに加えて、教員の表情をアップで撮影する演台設置のカメラを用意しており、POVCAMのコンパクト・カメラヘッドAG-UCK20GJが活躍しています。 POVCAMのカメラは小型のため、演台に置いても邪魔にならず、カメラマンでは撮ることができない位置からの撮影も可能です。
また、SDメモリーカードに大容量記録が可能なPOVCAMのレコーダーAG-UMR20 は、スイッチャーや配信用PCの横に置いてライブ配信映像の記録に活用されています。 小型・軽量のため、学外での撮影時も気軽に持ち出せると好評です。
教員を自動で追尾して撮影時の省力化を実現する自動追尾ソフトウェア
カメラ複数台での撮影時はスタッフの動きが慌ただしくなりがちですが、自動追尾ソフトウェアを使えばリモートカメラが自動で教員を追尾するため、省力化を図ることが可能です。
西尾様は、システム選定時のことをこう振り返ります。 「導入以前、様々な追尾システムを比較検討しましたが、パナソニックさんの自動追尾ソフトは動き出しに迷いがなく、動作がスムーズでした。熟練のカメラマンのような動きはさすがに難しいだろうと思っていましたが、使ってみてこれならカメラマンの代わりになると実感しました。 カメラ1台でも自動追尾ソフトに任せることができれば他の作業に集中できますし、カメラを天吊りにすれば人間が撮れない位置からも撮影できるのでとても有効です」。
カメラ4台による運用例(フルHD運用の例)
導入を終えて
eラーニングコンテンツ制作もイベント時のスクリーン投影も、そしてライブ配信も。
このシステムを導入して「できること」が増えました
eラーニングのコンテンツは、撮影した講義をそのまま配信するだけでは成立しません。 インストラクショナルデザインという、専門家による綿密な設計のもとに構築され、完成までに多くの時間が必要となります。 例えば全15回の講義を1つのコンテンツとして制作するためには、短くて半年、長くて2年を要します。昔ながらのこの制作フローは教育効果を上げるために重要ではありますが、講義の内容によっては、社会の動きに合わせて今習得すべき学びをタイムリーに届けることも必要だと考えています。 今回、撮影システムを導入してライブ配信授業の環境を整えたことは本学の大きな変化となりました。
高品質な撮影が簡単に行えるカメラシステムを使うことで、学生スタッフが参加しやすくなったことも大きな成果です。“何がこの現場の要点で、何を撮らなければならないのか”という瞬間的な判断力は、理屈で教えてできるものではありません。プロの機材を知り、それを緊張した現場の中で実際に使用することで技術が蓄積され鍛えられていくものだと考えています。 今回リモートカメラやハンディカメラなど豊富なシステムを取り揃えることができましたので、今後さらに多くの学生に使用してもらい、大手前大学ならではの経験として普及させていけたらと考えています。
Pick up!
パナソニックのカメラシステムで卒業式を撮影し、ライブ配信テストを実施
2018年3月に行われた卒業式で、パナソニックのカメラシステムが多数活用されました。 今回導入した2台のAG-DVX200をメインに、司会進行役の表情や、式典の引きの映像を写す固定カメラとしてPOVCAMのコンパクト・カメラヘッドを使用。 また、以前から使われていたメモリーカード・カメラレコーダーを組み合わせて合計6台で撮影しました。 映像はその場でスイッチングしてライブ配信サーバーへ転送。 関係者のみの限定公開で配信テストを行いました。 視聴参加した学校関係者からは、「卒業生の表情や式典の雰囲気をしっかりと映すことができ、卒業式を配信する価値を感じた。 今後は卒業生やその家族へ向けての配信を前向きに検討したい」という感想が上がっています。