小田急電鉄株式会社様
課題
お客さまの転落に対して迅速に列車の停止手配を行うことが可能となり、接触事故を未然に防ぎ、安全対策を向上したい。既設のカメラを利用して、システム運用を行いたい。
解決策
画像解析サーバー/ソフトウェアによる、画像解析とディープラーニング技術を使った転落検知システムを導入。
ホームから線路への人の侵入や転落を自動で検知することによって、列車の緊急停止など安全処置を迅速に講じることができるとともに、小田急線の安全安心な運行にもつながります。
背景
既設設備を活用した新しい安全施設
小田急線は70もの駅があり、1日に約210万人が利用する首都圏が誇る巨大な鉄道網です。現在国土交通省は、利用者が1日10万人以上の鉄道駅を対象として、原則2020年までにホームドアを設置する指針を示しています。小田急線の経堂駅と祖師ヶ谷大蔵駅は指針の対象駅ではありませんが、小田急線の複々線化により重点的に安全策を打ちたい駅となっていました。そのため、ホームの補強工事などが必要なホームドア設置に代わる、既設セキュリティカメラを活用できる安全施策を探していました。
導入理由
既設カメラの活用、ホームドア設置不要などが決め手
小田急電鉄様が重要視したのは、既設のカメラを活用したシステム運用でした。そのため、本システムの既設のセキュリティカメラをそのまま画像処理対象ネットワークカメラとして活用するすることができる点が導入の大きな決め手となりました。また、パナソニックが手掛ける、他の鉄道会社の駅での転落検知システムの導入実績や信頼性を評価いただき、今回のシステム導入が決定しました。
導入後の効果
システム運用開始直後に転倒事故を未然に防止
2020年4月から運用を開始した転落検知システムは、安全安心な列車運行に貢献しています。運用開始直後の4月3日には、経堂駅にてホーム端をふらついていたお客さまを検知し、通知を受けた駅係員により迅速に安全処置が行われたという事象が発生しており、事故を未然に防ぎました。また、転落のおそれのあるお客さまをシステムが検知し、駅係員に通知するシステムの採用により、駅係員の安心感が高まったという声もいただいています。
導入システム
●経堂駅
(以前より画像処理対象ネットワークカメラ8台納入済み)
- 画像解析サーバー×2式
- その他周辺機器
●祖師ヶ谷大蔵駅
(以前より画像処理対象ネットワークカメラ4台納入済み)
- 画像解析サーバー×1式
- その他周辺機器
※画像解析サーバーは1サーバーあたり5台のネットワークカメラの取り込みが可能
今後の展望
ネットワークカメラの映像を解析する技術なので、太陽光等の外的要因によって検知のミスが発生してしまいます。それをディープラーニング技術を用いた精度の向上・改善を通して減らしていき、より安全なシステムを作り上げていくことを期待しております。また、安全安心な列車運行を継続するための取り組みとして、導入駅の運用状況等に鑑みながら、小田急線の他の駅への展開も検討していきます。
小田急電鉄株式会社 旅客営業部 駅務システム担当
奈良橋 正浩様
お客様紹介
首都圏から郊外までカバーする巨大鉄道網
全長120.5kmからなる小田急線は首都圏でも有数の巨大鉄道網です。国内最大のターミナル駅・新宿を起点に小田原まで結ぶ「小田原線」、湘南エリアを走る「江ノ島線」、多摩ニュータウンにいたる「多摩線」など幅広いエリアで利用されています。1日当たりの利用者は経堂駅が約8万人、祖師ヶ谷大蔵駅が約5万人となっています。
経堂駅
パナソニックの「現場センシングソリューション」
こちらの事例は、センシング技術で現場課題・社会課題を解決するパナソニックの「現場センシングソリューション」をご活用いただいています。