国立文化財機構 文化財活用センター様 なりきり日本美術館リターンズ
課題
堅いイメージを持たれがちな文化財を、現代の人々に広く伝えていきたい。
解決策
高精細なプロジェクターを活用して、文化財を知らない人でも楽しめるダイナミックなプロジェクションマッピングを実現。
この企画を楽しみに来てくださるお客様のために、以前から高い信頼を寄せていたパナソニックさんのプロジェクターを選びました。
背景
新感覚体験型展覧会「なりきり日本美術館リターンズ」を開催
2020年10月27日(火)~12月6日(日)、東京国立博物館で開催されている「なりきり日本美術館リターンズ」。この企画は、アーティスト井上涼さんの歌とアニメで世界の美術を紹介するテレビ番組「びじゅチューン!」(NHK・Eテレ)と東京国立博物館のコラボレーションにより実現した、全く新しい体験型美術展です。2018年に約10万人を集めた「なりきり日本美術館」の第2弾となる今回は、国宝や重要文化財をテーマにした3つのコーナーで展覧会を構成。パナソニックのプロジェクター10台を使用し、ダイナミックなプロジェクションマッピングの展示を実現しました。
導入理由
前回の「なりきり日本美術館」で使いやすさと信頼性の高さを実感
今回の企画は映像演出に最も力を入れたと、本展覧会を主催する文化財活用センターの高木様は語ります。精度の高い映像演出を実現するためにプロジェクターに求められたのは、高性能で使いやすく、展示期間の1日でもトラブルを起こすことのない安定性でした。「前回パナソニックさんのプロジェクターを使用して、細部まで鮮明で緻密なピント合わせができる点や、電源を切った後の冷却時間が必要ないなど運用面での便利さに感動しました。また、連日長時間使用しても常に安定した演出ができるため、心の底から信頼できるプロジェクターだと実感しました」
導入後の効果
風神雷神図屏風・夏秋草図屏風 表と裏でダブルデート
インタラクティブな映像演出を実現
1つ目の展示「風神雷神図屏風・夏秋草図屏風 表と裏でダブルデート」では右に風神、左に雷神が描かれた2曲1双の複製屏風が部屋の中央に設置されています。尾形光琳が風神雷神図屏風を描いた約100年後、酒井抱一がその裏側に描いた夏秋草図屏風。本来は両面で1つの作品ですが、現在は保存のために表と裏を別々に保管しています。今回の「なりきり日本美術館リターンズ」では、制作された当時と同じように表と裏が一体となった複製品に対して、パナソニックの1チップDLP®プロジェクターPT-RZ870Jで両面が連動する様々なプロジェクションマッピングが行われました。屏風の手前の足元にはセンサースイッチが用意され、そこに乗ると風神の屏風に風が吹き、雷神の屏風に雷が落ちます。同時に、裏側の夏秋草図屏風にも風や雷が起こり草花が激しく揺れ動きます。また、屏風の後ろには横幅約10メートルの巨大な壁が設置され、壁全体を使ったダイナミックな映像を投写。壁面を飛び回る風神と雷神が屏風に飛び込んできたり、雷や風を起こしたりと、文化財を楽しみながら鑑賞できる映像演出を実現しました。
様々な環境に対応する優れた設置性能
展示エリアに立てられた高い壁の上部には、風神雷神図屏風用のプロジェクターと夏秋草図屏風用のプロジェクターを向かい合わせで設置。壁面への投写用にはPT-RZ870Jを両サイドに2台、壁に這わせる形で設置しました。「PT-RZ870Jは角度や傾きへの制限がなく、置く場所を選ばずに柔軟に設計できるため非常に助かった」と好評です。また、本企画は東京国立博物館での会期が終了した後は大分県立美術館に巡回して開催される予定です。部屋のサイズが異なる別空間でもレンズを交換するだけで様々な投写距離に対応可能なため、適したレンズとプロジェクターを現地に送れば、同じクオリティで開催できる点が高く評価されました。
「風神雷神図屏風・夏秋草図屏風 表と裏でダブルデート」投写イメージ
国宝「松林図」ライブ
1チップDLP®方式ならではの映像美
実際の国宝 松林図屏風は、靄に包まれて見え隠れする松林を墨で描いた静かな印象の作品ですが、本企画ではライブステージに松の木が登場する「びじゅチューン!」の「松林ズ」に合わせて屏風の中で松たちのダンスが繰り広げられます。横幅約8メートルのステージに置かれた屏風に向けて2台のPT-RZ870Jで投写。交互に山折り・谷折りされた屏風をスクリーンにして、動く松の様子を高コントラストなDLP®方式ならではの美しさで再現しました。また、天井から床面に向けて設置された2台のPT-RZ870Jは、演出の途中で降り始める雪のシーンに合わせて、会場内の床一面にだんだんと降り積もる雪を投写。優れたホワイトバランスと発色により、静と動を併せ持つ繊細な美術展示を実現しました。
「国宝『松林図』ライブ」投写イメージ
おじゃまします八橋蒔絵硯箱
リアルな動きで泳ぐ魚を表現
国宝 八橋蒔絵螺鈿硯箱をテーマにしたこのコーナーでは高さ約2メートルの巨大な硯箱が設置され、その周囲には橋や池が描かれています。池の中には数匹の魚が投写されており、人が近づくと寄ってきて、人がしゃがむとクルリと回転します。雨が降る様子や蛍が飛び回る様子も池に向けて設置された2台のPT-RZ870Jにより、池の中の魚やうつろいを情緒あふれる雰囲気とともに映し出すインタラクティブな演出を実現しています。
「おじゃまします八橋蒔絵硯箱」投写イメージ
お客様の声
実物ではできないデジタルコンテンツならではの鑑賞体験
今回の企画では実際の文化財展示ではできないような様々な映像演出を実現しました。日本の美術作品、特に国宝や重要文化財は、年間で展示できる日数に制限があり、また100ルクス以下の暗い照明下に置いて温湿度も一定に保つようケースに入れた展示が一般的です。今回、文化財の高精細複製品にプロジェクションマッピングをして動きを付けたことで、お子様や文化財を知らない方々に興味を持っていただけるような楽しい演出ができたと思います。今後も沢山のお客様に楽しんでいただき、現在巡回を予定している大分県立美術館「なりきり美術館」(2021年2月~5月)だけでなく、他の美術館や博物館からもお声が掛かって文化財活用センターの企画が各地で開催できたら嬉しいです。そして、この美しい映像演出を体験した後は日本美術に興味を持っていただき、多くの方々に文化財に親しんでいただけたら幸いです。
アーティスト井上涼さんのナビゲートで記者内覧会を開催
NHK・Eテレ「びじゅチューン!」でおなじみの井上涼さんが「なりきり日本美術館リターンズ」を案内する記者内覧会が開催されました。「びじゅチューン!」の作詞・作曲・アニメ・歌すべてを手がけるアーティストの井上涼さんは、独自の視点で描かれるポップでユニークなアニメーションと、忘れられないメロディーによってたくさんの子どもたちの心をつかんでいます。
風神雷神図屏風・夏秋草図屏風 表と裏でダブルデート
足元のセンサースイッチに乗って表と裏で連動する屏風の様子を紹介。
国宝「松林図」ライブ
井上涼さんの歌とともに流れる「松林ズ」のライブを解説。
おじゃまします八橋蒔絵硯箱
池の周囲を歩くと寄ってくる魚の動きを紹介。
納入機器
1チップDLP®プロジェクター
- PT-RZ870JLW(ホワイトモデル)×8台
- PT-RZ870JLB(ブラックモデル)×4台
ズームレンズ
- ET-DLE150×4本
ズームレンズ
- ET-DLE060×6本
ズームレンズ
- ET-DLE085×2本
ズームレンズ(標準レンズ)
- ET-DLE170×2本
お客様紹介
文化財の魅力をたくさんの人に届け、未来へ伝えていく
2018年7月に国立文化財機構に設置された文化財活用センター様は、日本の文化財を広く伝えていくため、国宝や重要文化財などを楽しみながら鑑賞できる新しいコンテンツ・プログラムの企画開発を行っています。