京都大学医学部附属病院様
課題
既存の搬送機が老朽化。新しい装置には、個人情報の保護と効率化が可能で温度の影響をうけず、トラブル時にメンテナンスの時間がかからないことが条件。
解決策
HOSPIはセキュリティ機能を有し、保管庫内温度の変化も少なく、メンテナンスフリーで、搬送業務が効率化できる。
今は採血室と検査室の往復ですが、導入後すぐに各部署から「欲しい!」と声が上がりました。病棟の検体を夜中に運ぶ、輸血部から手術室へ輸血製剤を運ぶなど必要性はどこも高いですね。
背景
使っていた検体搬送機が老朽化し、メンテナンスのコストも時間もかかる
京都大学医学部附属病院様(以下、京大病院様)では、使っていた検体搬送機が老朽化し、メンテナンスコストもかなり掛かっていました。搬送機は天井裏や柱の中を通っていたため、検体の搬送中に機械が止まると、検体を取り出すのに業者を呼ばなくてはならず、大きな時間のロスになっていました。その後、院内のリノベーション工事により老朽化した搬送機に代わる手段が必要となり、搬送ロボットの調査を始めました。ロボットなら廊下で万一止まっても、誰かが検体を取り出せます。国内外の搬送ロボットは大きさや機能・スピード・搬送能力もさまざまで、何社かの性能を比較することになりました。
導入理由
搬送できる容量が多く、搬送中の保管庫温度が上がらない点を評価
「HOSPIは、患者さんの安全と患者情報を守り、一度に搬送できる容量が当院が求めていたサイズに合っていました。搬送時に保管庫内の温度も上がらず、搬送中の患者検体も守れます。これらが大きな決め手になりました。また、搬送履歴をIC認証で管理できるのも良いです。当院は安全で良質な医療サービス提供のため、国際標準を満たした品質(医療の質)マネジメントシステムを構築しISO9001の認証を取得しました。検体の搬送管理の記録を自動でミスなく蓄積できることはメリットです。また30か所まで搬送先を広げられる拡張性も評価ポイントでした」(検査部 辻様)
導入後の効果
2台のHOSPIを群制御で効率よく運用
京大病院様ではHOSPIを、採血室から検査室への検体搬送に活用。2台を群制御することでバランス良く搬送を効率化させています。走行ガイド無しで運用できますが、患者さんの安全を考えてHOSPIの通行路に注意を促すステッカーを貼っています。「HOSPIは人や物とぶつかりそうになると回避行動をするのですが、その表情が可愛らしいと患者さん達にも評判です。顔があるとどこへ向かうのかがよくわかり、ロボットだけど“よけてあげよう”との気持ちが湧くのかもしれません」(検査部 辻様)
運んでほしい場所まで細かく設定でき、搬送してくれる
HOSPIはどこまで搬送するかを細かく設定できます。京大病院様では検査室の中か外か、どこまで運ぶかで論議がありました。「これまで使っていた搬送機の受取口は検査室から少し離れた所にあって、私たちが取りに行っていました。HOSPIは検査室に入って、検体を取り出しやすいように狭い場所でくるっと回ってくれます。わずか10mほどの違いですが、ストレスなく使えて助かっています」(検査部 辻様)
自動的に搬送記録が辿れるのは管理上で大きなメリット
「誰がいつ検体を送って誰がいつ受け取ったか、それらを管理用PCで簡単に履歴が追えるのは便利です。ISO9001認証という面からみても、患者検体の搬送管理を徹底できるのは良いことです。HOSPIは本体搭載のカメラからもドライブレコーダーのように搬送中の動画を記録しているので、万一の送り忘れやトラブルにも対処できそうで心強いです」(検査部 辻様)
搬送に特化していることが効率を良くしている
「“運びながら掃除もさせたらどう?”などと院内でも話が出ますが、それでは運ぶ時間にロスが出ます。今100mくらいの距離を約5分で脇目もふらずに運んでくれますが、これを人間が運ぶと“ついでにあそこも寄るか”などとなって、搬送時間にロスやバラツキが出ます。それが2、3分の遅れでも患者さんの結果に影響がないとは言い切れません。一定の条件で搬送に特化しているからこそ却って安全で効率的なんだと思います」(検査部 辻様)
納入機器
- 自律搬送ロボット HOSPI本体×2台(検体搬送)
- 自動充電ユニット ×2台
- 統括サーバ ×1式
- ネットワークディスクレコーダー ×1式
- 管理PC ×1台
- 呼出PC ×1台
- 自動ドア制御装置 ×2式
- パイロットランプ ×2台
お客様の声
導入後すぐに病院内の各部署から“ウチも欲しい!”の大合唱
今は採血室と検査室だけで使っていますが、導入後すぐに病院の各部署から“ウチも欲しい!”と声が上がりました。例えば病棟の検体を夜中でも運んでもらうとか、輸血部から手術室へ輸血製剤を運ぶなど汎用性は広く、必要性はどこも高いと思います。(検査部 辻様)
今後の展望
人とロボットをどう使うか、上手に活用する道を模索中
土日はHOSPIを使っていません。充電器につないでいるだけでもったいない。また、夜中も検体などの搬送需要は高く、今は委託の業者さんが動いてくれています。そうした人が少ない時間帯に、スタッフがどうしても手が離せない時ということがあります。人とロボットをどう使うか、30か所まで搬送先を指定できるHOSPIを上手に活用する道を模索中です。(検査部 辻様)
お客様紹介
患者中心の開かれた病院として安全安心な医療を提供
京都大学医学部附属病院は1899年(明治32年)に設立され、2019年に創立120周年を迎えました。「患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する」「新しい医療の開発と実践を通して、社会に貢献する」「専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成する」の基本理念を元に、安全安心な医療の提供に取り組んでいます。