神戸市消防局様
納入先プロフィール
納入先
神戸市消防局様
所在地
神戸市中央区加納町6丁目5-1
納入窓口
株式会社日立製作所 ソリューション推進本部
火災や災害・事故から神戸市民の命を守る使命
六甲の山並みと穏やかな瀬戸内海に囲まれた国際貿易都市・神戸。神戸市消防局様は、この街に暮らす154万人余の市民を災害や事故から守るため、日夜奮闘しておられます。
「神戸市における1日当たりの出動回数は、平均で救急が200件前後、消防が2~3件となっています」とご説明いただいたのは、消防局総務部施設課通信係長の表原靖史様。
神戸市様では、1995年の阪神・淡路大震災の経験から、災害に強い都市づくりに取り組まれ、2012年4月には、危機対応を一体的に行う中枢拠点「神戸市危機管理センター」を完成。災害発生時に迅速な初動態勢を取り、危機情報を共有するべく、各部局間の連携を図り、地域防災力の強化に努めておられます。
狭い車内にも設置でき、振動に強いSSD搭載タブレットを選択
1995年から運用していた古い消防管制システムに代わり、2007年度から新システム導入の検討が始まりました。
神戸市内からの119番通報を、すべて危機管理センター内の「消防管制室」で受信し、通報地点を把握するとともに、現場に近い緊急車両を選択し、出動させるシステムです。
「新システムでは、そういった基本機能に加えて、現場活動をより効率化するため、従来は紙によっていた地図情報や様々な支援情報を、電子化により、管制室はもちろん消防車・救急車に搭載したパソコンでも、リアルタイムに参照できるようにしたいと考えました」(表原様)
この新システムの車載用パソコンとして選ばれたのが、TOUGHBOOK CF-D1でした。選定の理由は、どこにあったのでしょうか。
「緊急車両の車内は狭く、隊員が背負った空気ボンベなどの重量物がガツガツぶつかる環境ですので、相当衝撃に強いマシンでなくてはなりません」(表原様)
そして、ボディの薄さも選択条件の1つだったとおっしゃいます。
以前、車載していたパソコンは、TOUGHBOOK同様の堅牢仕様とはいえ厚みが約5cmもありました。これを車の振動からHDDを保護するバネ入り車載用フレームにセットすると、厚さは10cm近くに達していました」(表原様)
これでは狭くなるだけでなく、物がパソコンにぶつかる原因にもなっていたそうです。
そこで、車載用フレームが簡素な構造で済むよう、振動に強く、しかもコンパクトなモデルを探されました。具体的には、(1)SSD搭載で、(2)薄いタブレット型であること。当初は、ハンドル付きのTOUGHBOOK CF-H2も念頭にありましたが、最終的にはCF-D1が最適という結論に至りました。
「CF-H2のアスペクト比4:3に対し、CF-D1なら16:9のワイド画面で、地図等の情報を見やすく表示できます。将来性も考慮し、今後主流になるであろうワイド画面を採用しました」(表原様)
走行中の車両も含めリアルタイムで位置を把握
2012年2月から「消防新管制システム」が運用を開始。その後4月の末までに、緊急車両 約120台(消防車約90台、救急車約30台)にCF-D1を導入されました。
システム全体の流れは次の通りです。
車両のエンジンを始動すると、CF-D1にインストールされている「クイックブートマネージャー」によりシステムが高速起動。続いて、通信カード経由でauの3G回線に接続し、消防管制室とのデータ交信が可能になります。
タッチパネルに表示される「確受」※ボタンを押すと、地図画面に遷移。「出動」ボタンを押下し、現場へ急行します。現場へのルート案内は、カーナビ機能によりスムーズです。
現場に到着すると「現着」ボタンを押し、消防車は消火活動を実施。救急車の場合は、「搬送」ボタンを押して患者さんを病院へ搬送します。
病院に着いたら「病着」ボタンを押下。鎮火または病院から帰還する際は「引揚げ」ボタンを、消防署に戻れば「帰署」ボタンを押して、任務終了となります。
このような一連の車両動態管理(AVM)によって、管制室からも、各車両からも、他の消防車や救急車の位置や状態を、走行中車両も含めて随時参照することができます。
また、地理情報システム(GIS)により、消火栓等の場所、危険物施設、スプリンクラーなど防火設備の情報や、救急現場では救急病院の一覧が表示されるなど、リアルタイムでの隊員への情報提供が可能になりました。
※確受:「指令を確実に受信した」という意味。
大画面に多くの情報量を表示 タッチパネルの操作も軽快
XGA液晶の約1.3倍の広さを持つHD液晶(1366×768ドット)の13.3型大画面は、多くの情報量を見やすく表示できます。
「ワイド画面を活かして、画面の左右にボタン類を大きめのサイズで配置することができました」と表原様。
消防2係消防司令の佐藤茂樹様は、「以前は紙の地図を広げて、指令書の住所地と逐一照らし合わせて調べていましたが、今はディスプレイに地図と発災点が表示され、ナビで誘導してくれます。格段の進歩だと思います」とご評価をいただいています。
また、救急2係消防司令補の井上登彦様も、「従来は、出動前に署のパソコンで印刷した病院情報を持ち運んでいたため、患者さんの搬送時とタイムラグがありました。それが、リアルタイムで参照できるメリットは大きいですね。CF-D1のタッチパネルは、手袋をしたままでもダイレクトに反応してくれます」と、操作性の良さにも感心しておられました。
システム稼働から1年半になりますが、「メーカー修理が必要となるようなハードウェアの故障はありません」(表原様)。
消防・救急の現場の過酷な環境においても、CF-D1の頑丈さが改めて証明されています。
消防隊員がモバイル端末を携行する時代がもうすぐ
大規模災害時は、一度に多くの車両が現場に出動するため、無線だけで全体の情報を集約することは困難になります。CF-D1を用いてそれを補完するシステムの構築を進めておられるところです。
「訓練等を通じ、さらに効率的な活用ができるよう細部の調整を続けていきたい」と、表原様は抱負を語られます。
現在、CF-D1は各車両に固定して使用されていますが、隊員の間からは持ち歩いて使える端末も欲しいという声も多くあがっているとのこと。将来は、隊員が携行するタブレット機の導入も視野に入れられています。
「現場の映像を撮影して送信したり、山で遭難している人を救助する際に地図を参照したりという活用方法は、近い将来実現されていくことでしょう」(表原様)
安心安全な社会を構築していく上で、今後、TOUGHBOOKシリーズの貢献すべき役割はますます高まっています。