写真:富士スピードウェイ
写真:富士スピードウェイ

株式会社ジェイ・スポーツ様

映像制作ソリューション「KAIROS クラウドサービス」
KAIROS クラウドサービスを用いて、24時間耐久レースのLIVE中継を実施。業務効率化によるコスト削減に寄与し、かつ視聴者が満足できるクオリティの放送・配信を実現した。

課題

「スーパー耐久シリーズ 富士SUPER TEC 24時間レース」の中継を手掛ける株式会社ジェイ・スポーツ様。長時間の中継はリソースや工数によりコストがかさむ点、自社での放送と他プラットフォームの配信を両立し、いかに高いクオリティで視聴者に届けるかという点に課題を感じていた。

解決策

スタッフ全員が現場に集まらなくても中継ができるクラウドサービスならではの強みを活かして、省コスト・省人化を実現。遠隔でも問題なく運用し、視聴者の方に満足いただける中継に。

テレビ放送と比べてそん色ないクオリティで中継ができたと手ごたえを感じています。スタッフを現場と別拠点のスタジオに分けられたことで、大きなコスト削減にもつながりました。

株式会社ジェイ・スポーツ 編成制作本部企画制作部 三原 弘様
KAIROSクラウド事例_Jsports様

背景

大規模なスポーツ中継ならではの高コストや、放送とオンライン配信の両立が課題

1991年から続く、アジアを代表する耐久レースである「スーパー耐久シリーズ」。全7戦あるシリーズの中でも最も大きな盛り上がりを見せるのが、今回KAIROS クラウドサービスを活用してLIVE中継した「富士24時間レース」です。国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局J SPORTSで例年放送されるこのレースですが、モータースポーツ中継ならではの課題がありました。それは、サーキットが広いため数キロメートルものケーブルをつなぐのに多くの準備工数とコストがかかり、かつケーブルにつながっているカメラの移動がしづらいことです。さらに放送だけではなく他プラットフォームでの配信、サーキット場内での放送と複数のチャネルを両立しつつ、視聴者が楽しめるクオリティで24時間レースの中継をすること自体、膨大なリソースと工数が必要になるためコスト増につながります。また、100名近くのスタッフが携わるため、その移動費も頭を悩ませるポイントでした。そこで、カメラ映像の無線伝送が可能で、遠隔からの運用もできるKAIROS クラウドサービスを実証実験として活用いただきました。


実証実験の概要

24時間レースの放送・配信をクラウドで。映像のスイッチングは遠隔から実施

今回、レースの約半分はJ SPORTSで放送され、レース前後も含めて実質約29時間がスーパー耐久シリーズの公式YouTubeチャンネル「S耐TV」にて配信されました。この放送・配信を、中継車を使わずKAIROS クラウドサービスで実施。スイッチングなどの編集は、主にKAIROS Connect Center TOKYO(別拠点の制作スタジオ。以下KCC。)にておこないました。コース周りに6台、ピットに1台、ドローン1台と計8台のカメラによる撮影データはLiveU Soloで伝送し、KCCでスイッチング。オンボードカメラ(競技車両)や定点カメラ、スタジオ周りのカメラの素材は現場でスイッチングした後、それらの映像をKCCで一本化しCG等を加えて配信しました。長時間の中継ながら、放送の中断などトラブルなく終えられました。

※LiveU社の無線環境で使用できる映像伝送機器です。LiveU は5G 4K HEVC対応のリモートプロダクション・ライブ映像伝送ソリューションを提供しています。企業・製品の詳細はホームページ(https://www.liveu.tv/ja/products/create/liveu-solo)をご参照下さい。


写真:レースの放送・配信
長丁場のレースの放送・配信を途切れることなく実施することに成功。
写真:無線ネットワーク
無線ネットワークによって、コスト減・カメラ移動が容易になるなどのメリットも。

実証実験の効果

現場での作業工数と移動時間削減によりコストを抑えつつ、十分なクオリティの中継を実現。削減されたリソースで新たな演出へのチャレンジも可能に。

今回、株式会社ジェイ・スポーツ様からは下記3点において価値を感じていただきました。放送・配信のクオリティは担保しつつコストを抑え、トラブルなく中継し続けられたことにご満足いただいています。
①業務効率化によりコストを抑制、放送・配信を両立しテレビ放送のクオリティを実現
②29時間という長時間の放送・配信を途切れることなく実施
③ケーブルが不要なことで、カメラ位置に制限がなく様々なアングルで撮影が可能

①業務効率化によりコストを抑制、放送・配信を両立しテレビ放送のクオリティを実現

24時間レースの中継でありながら、当日の現場スタッフは10名程度の3ローテーションで実施。ケーブルを引く準備・撤収の工数も削減できたことで、最小限のリソースでの運用が実現できました。また、現場とは別拠点のKCCでスイッチング等の運用を行ったことで、スタッフの移動にかかる時間とコストも抑えることができ、さらに移動の必要がない分落ち着いて準備ができたというスタッフの声も。現場の様々な工数の効率化により省力化を実現しつつも、放送と配信いずれも、いわゆるテレビの放送と同等のクオリティの中継ができたことにも満足いただきました。また、コストを抑えられたことで、新しいチャレンジに取り組む余裕が生まれたこともKAIROS クラウドサービスの提供できた価値です。「今大会では、ドローンのライブ配信などにも初チャレンジしています。私たちは、毎年ファンの皆様に新しい何かをお届けしたいと考えています。そのためには、コストを少しでも抑えていきたいという思いがありました。」(スーパー耐久機構 事務局長 桑山晴美様)


写真:KAIROS Connect Center TOKYO
KAIROS Connect Center TOKYOにてスイッチング。
写真:ドローンでの撮影
初の試みとしてドローンでの撮影もおこなわれた。

②29時間という長時間の放送・配信を途切れることなく実施

通常の耐久レースは2~3時間ほどですが、今回は日本で唯一(2022年時点)の24時間レースということもあり、レース中途切れなく放送・配信すること自体が大きなミッションでした。結果としては、最後までシステムトラブルもなく、しっかりとした映像を届けられました。「車もずっと走っているとブレーキやタイヤの交換などが必要で、耐久性が求められます。KAIROS クラウドサービスも車と同じく、ずっと使っているとどこかがだめになったりするのではと心配でしたが、そんなトラブルがなかったので、大変驚きました。KAIROS クラウドサービスで中継をやってみて、素直によかったと思いました。」(株式会社ジェイ・スポーツ 企画制作部三原弘様)


写真:制作スタッフ
制作スタッフからも「不安はあったが杞憂でした」との声をいただいた。
写真:レース以外の映像も問題なく中継に乗せられた
レース以外の映像も問題なく中継に乗せられた。

③ケーブルが不要なことで、カメラ位置に制限がなく様々なアングルで撮影が可能に

従来の中継では、カメラにSDIケーブルを接続し映像伝送を行っていました。その際に問題となるのが、カメラ位置が制限されること、またそれを容易に変更できないことです。しかし、今回は無線のネットワークだったため、ケーブルを引くことが困難な環境にもカメラを置くことができ、またカメラ位置の変更も柔軟にできたため、中継の途中でもカメラを動かしてアングルのバリエーションを増やすことが可能になりました。ケーブルが不要なことで、準備・撤収時間の短縮というメリットだけではなく、映像クオリティの向上にも寄与したといえます。


写真:カメラを自由に移動
カメラを自由に移動し、撮りたい映像を押さえられた。
写真:配信画像
配信中、視聴者からのメッセージも多数届いた。

お客様の声(実証実験を終えて)

昨年から、未来の車開発に関して注目度が上がっていることもあり、今年の「富士24時間レース」は昨年比で2~3倍の方にご覧いただきました。29時間にも渡る中継が中断することなく、視聴者の方にずっと楽しんでいただけたことに満足しています。今回はクラウドという今までとは違うやり方で、しかも24時間のレースという長丁場。すごくチャレンジングなことでしたが、Panasonicさんとならできると思いました。自動車産業も放送も、今まさに次のステージに行く段階だと思っているので、一緒に可能性を広げていきたいです。

写真:三原様
株式会社ジェイ・スポーツ
編成制作本部企画制作部
三原 弘様
※所属は納入時のものです。

「富士24時間レース」はキャンプや花火、バーベキューなど、お祭りのような楽しさにあふれています。この魅力はもちろん現地で体感していただくのが一番ですが、足を運んでいただけない方に楽しんでいただくことも大事だと考えています。臨場感あふれる現地の様子を「今」お届けすること、そして24時間配信し続けることが私たちの大きなこだわりです。今回、KAIROS クラウドサービスでの中継をたくさんの方に見ていただき、SNSやチャットでも盛り上がりを見せていたことを大変嬉しく思っています。
写真:桑山様
スーパー耐久機構 事務局長
桑山 晴美様
※所属は納入時のものです。

ケーブルを引くことが困難な環境でも比較的容易にカメラ位置を決められることが、KAIROS クラウドサービスの大きなメリットだと感じました。カメラ位置の自由度が高まることで、スポーツ中継の作業工数減少に期待できます。また想定よりも、それぞれ別拠点のスタジオと現場の時差を感じないオペレーションができた点も良かったです。距離が離れていることでカメラマン、スイッチャー、実況が見る映像に生ずる「ずれ」が制作にどのように影響するか心配していましたが、想定より影響は少なく驚きました。KAIROS クラウドサービスのようにリモートの映像制作に特化したサービスが、今後どんどん現場で活用され鍛えられていくことで、よりコスト削減が実現されることに期待しています。
写真: 宮崎様
株式会社ヴィッツ
宮崎 浩司様
※所属は納入時のものです。

関連機器・サービス

KAIROS クラウドサービス概念図

映像制作ソリューション KAIROS クラウドサービス

映像制作現場の「撮る・創る・映す」ワークフロー全体をクラウドでシームレスにつなぎ、いつでも、どこでも、手軽に、より良い映像制作を実現するサブスクリプション型サービス。