ジャパンパイル株式会社様
課題
杭基礎の施工において、ICTを導入した、施工結果の記録及びその内容を確認・報告するためのシステム構築や、生産性の向上が求められた。
解決策
施工結果の記録と、そのデータを保管・管理していくため、過酷な環境下でも不具合を起こすことなく操作でき、駆動時間が長くバッテリーの交換も可能な、頑丈7型タブレット「タフパッド FZ-M1」を導入した。
FZ-M1を用いて工事管理を行うことを、標準仕様としていきたいです。全面導入が実現すれば、各工事現場からのデータがリアルタイムで本部に上がってくるシステムを構築することができるようになります。
背景
業界全体でICTの活用が求められるようになった
ビルディングやマンションの建設では、建物の荷重を支えるために、地中に杭を打つ工事が行われます。ジャパンパイル株式会社様(以下、ジャパンパイル様)は、この杭基礎の構築(杭製造・設計・施工)を専業とする、基礎建設業界大手の企業です。
その基礎建設業界において、2016年に衝撃的な出来事がありました。首都圏にあるマンション建設において、偽装データを用いて杭基礎工事を行っていたことが明らかになったのです。
事態を重く見た国土交通省は、「基礎ぐい工事の適正な施工を確保するために講ずべき措置」(国土交通省告示第四百六十八号)を告示。これにより杭基礎の施工会社には、杭1本ごとの施工結果を記録した「杭施工管理チェックシート」を作成して元請の建設会社に提出するとともに、施工記録の適切な保管・管理が求められるようになりました。また告示の中には、「情報技術を活用した施工記録の確認方法及び報告方法を導入することにより、施工の合理化を図るよう努めるものとする」という記述もありました。
「当社が施工現場において、ICTを用いた作業工程の記録や管理・検査に本格的に取り組むようになったのは、このときからです。また告示とは別に、国土交通省では今、i-Construction(アイ・コンストラクション)という構想を推し進めています。このなかには、ICTを活用することで、建設現場の生産性を2025年までに2割向上させるという方針が示されています。当社に限らず、広く建設業界全体にとってICTの導入は避けては通れない状況になりつつあります」
こう語るのは、同社取締役 施工担当 兼 施工品質担当 兼 施工企画室長の細田光美様です。
導入した理由
過酷な現場で不具合なく長時間操作できる端末が必要だった
これまでジャパンパイル様では、現場で杭基礎工事の監督にあたる杭工事管理者が、防水加工が施された「野帳」と呼ばれるフィールドノートを使い、地盤の状況や作業工程の記録を手書きで行っていました。そして 1日の工事が終わり事務所に戻ったあとに、野帳の記録をもとにパソコンで報告書を作成。しかしこれでは時間的に手間がかかるだけでなく、万が一野帳を紛失してしまったら、データ自体が消失してしまうことになります。また施工推進部長 兼 施工技術部長の小松吾郎様は、「野帳を用いた場合、記録の取り方や内容にはどうしても管理者ごとに差が出ます。また必要事項の記入漏れなども起こりやすくなります」と語ります。
そこでジャパンパイル様が他社と共同で開発したのが、杭工事記録システム「現場検査マイスター®」というアプリケーションでした。このアプリがインストールされた端末を用いて、施工現場で直接データを入力することが可能となり、業務の効率化を実現。また、記録が義務づけられている管理項目が一覧で表示されるため記入漏れの不安もなくなり、入力したデータはクラウド上で管理されているので紛失の恐れもありません。
実用化にあたっては、もう1つ大きな課題がありました。現場でデータを入力する際に使うICT端末の選定です。杭基礎工事は、まだ建物が建っていない屋外の更地で行われます。天候の悪い日には、雨や風が容赦なく吹き付けてきます。そんな環境の中でも、不具合を起こすことなく長時間アプリケーションを操作できる、タフで使い勝手の良い端末が求められました。
導入後の効果
バッテリーの駆動時間が長く、交換も可能であることが最大の魅力
当初ジャパンパイル様では、タフパッドFZ-M1とは別の端末を試験的に導入していましたが、現場からの評価は、必ずしも芳しいものではありませんでした。理由はバッテリーの駆動時間が標準8時間と短かったこと。特に真夏の直射日光の強い時期には、消耗が激しかったといいます。
「杭基礎工事では、現在、既製コンクリート杭を用いたプレボーリング工法が主流です。プレボーリング工法では、穴を掘ったところにセメントと水を混ぜたセメントミルクを注入するという工程があります。この作業は一度始めると、何かトラブルが起きて時間が長引いたとしても、途中で終わらせるわけにはいきません。ですから長時間の作業になったときに備えて、端末のバッテリーも持ちが良いことが求められます」(小松様)
システム部主任の岡田浩一様には、こうした現場からの要求に応えられる端末を探し出すことが課されていました。そんな折に岡田様は、現場検査マイスター®の共同開発をしている会社の担当者が、タフパッドを使っている姿を目にしました。
「さっそくタフパッドのことをウェブサイトで調べてみると、バッテリーの駆動時間が約10時間と長く、またバッテリーの交換も可能なことがわかりました。まずは試験的にFZ-M1を数台導入してみることにしたのです。FZ-M1については、現場からのバッテリーに関する不安の声はありません」
レスポンスが速いので、ストレスを感じたことがない
実際に現場で杭工事管理者を務める機会が多い施工企画室主任の藤江雄大様は、駆動時間の長さだけでなく、起動やレスポンスの速さについても高く評価しています。
「杭工事管理者には、工事が適切な工程を踏みながら安全に行われているかどうか、安全面や品質面などさまざまなところに意識を向けながら工事を管理する責任があります。考えなくてはいけないことが多い分、端末を使ってデータの入力や施工状況の撮影をする際に、立ち上がりや反応が少しでも遅いと、ストレスが大きくなります。でもFZ-M1を使い始めてからは、ストレスを感じる場面はなくなりました」
杭基礎工事は、雨の中で行われることもあります。そんな日には「水滴モード」に切り替えれば、画面に水滴がかかった状態や濡れた手でも問題なく操作できます。
「あとは耐衝撃・耐振動性能もタフパッドの大きな魅力です。私たちの現場では、FZ-M1をショルダーケースに入れて肩からかけ、腰には安全帯や道具を入れたベルトを巻いて動き回っています。激しく動いたときには、FZ-M1と道具がよくガチンとぶつかりますが、画面が割れるようなことはありません。ですから安心して作業に集中できます」(藤江様)
ジャパンパイル様ではFZ-M1を試験的に導入したところ、現場での評価が高かったことから、2019年秋から本格導入に踏み切りました。
納入機器
頑丈7型タブレット タフパッド FZ-M1
※本製品の耐衝撃・耐振動・防塵・防滴・耐環境性能は、無破損・無故障を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。
今後の展望
FZ-M1を用いて工事管理を行うことを標準仕様にしたい
ジャパンパイル様では、近い将来には現場検査マイスター®がインストールされたFZ-M1を用いて工事管理を行うことを、標準仕様としたい考えです。
細田様は「全面導入が実現すれば、各工事現場からのデータがリアルタイムで本部に上がってくるシステムを構築することができるようになります。工事の工程やデータの取り方に不備が見つかったときに、本部から現場にいる杭工事管理者に対して直接指示をするといったことが可能になります」と話します。
FZ-M1と現場検査マイスター®の組み合わせが、杭工事管理のあり方に革新をもたらすことが期待されています。
※本製品の耐衝撃・耐振動・防塵・防滴・耐環境性能は、無破損・無故障を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。
お客様紹介
頑丈7型タブレット タフパッド FZ-M1
- 150cm落下試験実施※、IP65準拠※の防塵・防滴性能を備えた小型ボディに、高性能CPUを搭載。
- 第7世代インテル® Core™ i5搭載。Windows 10 Proで社内システムと連携が容易。
- 様々な現場に応じて、内蔵オプションを追加可能。
※本製品の耐衝撃・耐振動・防塵・防滴・耐環境性能は、無破損・無故障を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。