飯塚地区消防本部 / 直方・鞍手広域市町村圏事務組合消防本部様

救急業務総合支援システム
傷病者情報をペン入力して現場から医療機関へ送信。現場での活動時間を1分12秒短縮でき、報告書作成時間も半減しました。

傷病者情報をペン入力して現場から医療機関へ送信。
救急の現場を変えたタブレット端末『TOUGHPAD FZ-G1』。

福岡県筑豊地域に位置する飯塚地区において、管内約18万6千人の住民に対する救急活動を展開する飯塚地区消防本部様。救急車6台、救急隊6隊で構成される同本部の救急部門では、6隊すべてに、Windows搭載の10.1型頑丈タブレット端末TOUGHPAD FZ-G1が配備され、「救急業務総合支援システム」(ATAS)を用いたICT時代の救急活動が展開されています。傷病者の情報をタブレット端末で入力して医療機関に送信できるATASが、救急の現場を大きく変えています。

写真:飯塚地区消防本部 警防課 救急係長 救急救命士 消防司令補 松岡 修司 様
飯塚地区消防本部
警防課 救急係長 救急救命士 消防司令補
松岡 修司 様
写真:飯塚地区消防組合 飯塚消防署 救急係長 救急救命士 消防司令補 渡辺 康 様
飯塚地区消防組合
飯塚消防署 救急係長 救急救命士 消防司令補
渡辺 康 様
写真:直方・鞍手広域市町村圏事務組合消防本部 宮田消防署 警防課 救急消防係長 救急救命士 消防司令補 秋吉 行信 様
直方・鞍手広域市町村圏事務組合消防本部
宮田消防署 警防課 救急消防係長 救急救命士 消防司令補
秋吉 行信 様
写真:傷病者の情報はタッチペンで簡単入力。
傷病者の情報はタッチペンで簡単入力。
写真:現場で撮影した画像にはペンで書き込みも可能。
現場で撮影した画像にはペンで書き込みも可能。

導入の背景

昨今、高齢化などの影響もあり、全国的な傾向として救急出動件数がうなぎのぼりに増加しています。飯塚地区消防本部においても、2010年に救急出動件数があわや1万件に届く勢いとなり、6台6隊体制では対応が難しい状態となりました。そこで何か対策を講じなければと、住民に対して救急車の適正利用を呼びかける一方で、1件あたりの救急時間短縮と医療機関への確実な情報伝達を目指したICT化を検討しました。ポイントは医療連携。従来、電話による口頭で現場からドクターに伝えていた傷病者情報を、タブレット端末を介した通信によって伝達できないかと考えたのです。時間短縮のためには、簡単に入力できて速やかに送信できることが大前提でしたが、一番の問題は端末の堅牢性でした。交通事故や大災害の現場に持ち込むケースを想定すると、防塵・防滴であることはもちろん、多少乱暴に扱ってもびくともしないタフな端末でなければなりません。そこで、さまざまな端末を比較検討した結果、120cmの高さから落下しても大丈夫という耐衝撃性能を備えた10.1型のTOUGHPAD FZ-G1を採用するに至りました。


導入のポイント

  • 現場で多少乱暴に扱っても大丈夫な高い堅牢性。
  • 雨の日や、ほこりの舞う現場でも使用できる防塵・防滴性能。
  • 簡単に入力できる高性能なタッチパネル。

導入のメリット

  1. 傷病者情報を、迅速かつ正確に医療機関側と共有可能。
  2. 導入前と比べて、現場での平均活動時間を1分12秒短縮。
  3. 救急活動終了後の報告書作成時間は約半分に短縮。

「救急業務総合支援システム」(ATAS)とは、傷病者の情報をタブレット端末で入力し、現場から医療機関に速やかに送信できるシステムです。119番を受信する消防本部の指令室と連携しており、出動指令を出す時点で出動先住所などの指令内容が、救急隊員が携帯するTOUGHPAD FZ-G1に自動的に送信されます。現場においては、傷病者の意識レベルや体温、脈拍、血圧、心電図の画像といったバイタル情報に加え、TOUGHPAD FZ-G1の内蔵カメラで撮影した現場や傷病者の様子、身分確認用の保険証などの写真を、そのまま速やかに医療機関の救命救急センターに送信できます。同時に、それらの傷病者情報は循環器医師のスマートフォンにも送信される仕組みです。ATAS導入前は、こうした情報をすべて電話でドクターに伝えていたため、伝達に時間を要したり、聞き間違いが発生したりといった問題を抱えていましたが、今では、受け入れ可能かどうかを尋ねるファーストコール時に「先生、情報を送ったので画面を見てください」と伝えるだけで、医療機関側と情報が迅速かつ正確に共有できます。こうした効率化により、ATAS導入前と比較し、現場での平均活動時間を1分12秒短縮することができました。また、救急活動を終えた後に作成する報告書についても、TOUGHPAD FZ-G1に入力した内容がそのまま消防署のシステムに反映されるため、作成時間は約半分になりました。

このように効率化において大きなメリットを生み出したATAS導入ですが、これはやはりTOUGHPAD FZ-G1という端末の優れた特性と信頼性があってこそのものだと考えています。当然のことながら、私たちの仕事は救急活動です。傷病者のいる現場では、命を救うことが最優先。いくら効率的だからといっても、端末の操作や扱いに神経を使うようなら本末転倒になってしまいます。その点、TOUGHPAD FZ-G1なら落下を恐れず持ち歩けるし、活動中に手を空けたければそのあたりにポンと無造作に置くこともできます。雨天時でも、時には事故車両の内部に端末を持ち込んで写真を撮影するような局面でも、タフに対応してくれます。バッテリーについても、たとえ3~4件出動が続いてもまったく問題なく稼働し続けてくれるので安心です。また、50歳を超える隊員もいる中で、10.1型という大きさの、それも高輝度のモニタは現場でも見やすく、ストレスなく使用することができます。あとは、しばしば緊張感の漂う現場において、この無骨でいかにも業務用という見た目が、明らかに「遊びで使っているわけではない」感を漂わすので、ご家族や付近住民からのクレームもなく、助かっています。

写真:心電図のキャプチャ画像を医療機関へ随時伝送する「心電図モニター連携」機能。
心電図のキャプチャ画像を医療機関へ随時伝送する「心電図モニター連携」機能。
写真:活動中、場所を選ばず無造作に置けるタフな扱いやすさ。
活動中、場所を選ばず無造作に置けるタフな扱いやすさ。

TOUGHPADを活用したこれからの展望

飯塚地区消防本部でのATAS導入が成果を上げたことから、近隣の消防本部でも導入が広がっています。2014年には直方・鞍手広域市町村圏事務組合消防本部においても、事故現場・傷病者写真及び心電図画像の伝送システムとしてATASを導入しました。これまではデジタルカメラで撮影していましたが、TOUGHPADなら撮影と同時に現場から画像送信できるので、救急車到着時には医療機関が状況を把握できている状態にあり、医療機関側での確定診断につながると、メリットを感じているようです。ICTの活用については、現状で満足しているわけではありません。AEDとTOUGHPADの連携はすでに実現に向けて開発を進めているほか、動画送信なども今後ぜひ実現したいところです。ICTをうまく活用することによって、これからも住民にメリットをもたらす救急現場の革新を目指していきたいですね。

システムご担当
株式会社麻生情報システム
ソリューション事業本部 ビジネス・ソリューション部
TEL.0948-26-5083


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