背景
進む画面の大型化、複数化、コンテンツの複雑化
イベントやスポーツ、コンサートなど、様々なライブ演出を手掛けているヒビノ株式会社様。イベントでのシステム構築を統括するヒビノビジュアル Div. ブランチ統括 Visual 大阪ブランチ 係長 林憲治様は次のように語ります。「近年、イベントでLEDビジョンを使うことは当たり前になっています。また、年々画面のサイズは大きくなり、数は増えていき、コンテンツの内容も複雑化する傾向にあります。その結果、トータルの表示面積が増えることになります。この変化に対して映像の品質を落とすことなく、できるかぎり操作を一元化できるシステムを検討していました」
導入した理由
映像の切り替えの円滑化と将来を見据えたIPシステム
年々進化するイベントの演出要望に対応するための手段として、KAIROSが採用されました。「見せ方をはじめ、イベントの度に新しいチャレンジをしたいと考えています。先進機材の導入もその手段のひとつです。KAIROSは1台で様々な作業に対応。遊び心にあふれています。例えば画面数が多く、それらをまとめたマスターデータが巨大であっても、切り出した複数の画面を1回のスイッチングで替えられるため、ライブ中に細部まで美しい映像出力にこだわることができます。また将来を見据えたIPによるシステム構築もできることも採用理由のひとつでした」と林様は語ります。
導入後の効果
複数のLEDビジョンの一括制御と調整作業の効率化をKAIROS1台で
イベントなどのライブ会場で複数の画面を扱う際の演出では、全ての画面が時差なく同期した制御が求められます「KANSAI COLLECTION2025SS」(京セラドーム大阪/2025年3月2日開催)でメインスイッチャーを担当した株式会社BRIDGE 代表取締役藤林典之様は、「KAIROSでは、複数の画面を扱う際、複数の映像をひとつのシーンとしてまとめて使うことができます。今回は、13,440pixel ×2,160pixel の巨大なシーンの中に複数の画面を配置し、1回の操作で同時に画面が切り替わるようにしました。また、機能的にKAIROS1台で多くの機材をまかなえるほどのスペックがあることが今回KAIROSを使ってみて分かりました。例えばKAIROSに搭載されているカラーコレクション機能。既設設備と持ち込んだLEDビジョンのように複数社の機材が混在している場合、それぞれの色味が違うケースがありますが、KAIROSのカラーコレクション機能で同じ色味に合わせられるので、調整作業の負担を減らせます。しかも、事前検証で調整した”設定”を入れられるので、現場で一から作業を行う必要がなく、非常に効率的です」と話します。
▲ 大型LEDビジョン9面に映し出された映像。
▲9面のLEDビジョン全てを一括でKAIROSから制御。
▲ LEDビジョンを活用したランウェイステージ。
イベント全体の演出を損なわない、シームレスで直感的な操作
KANSAI COLLECTION2025SSでは、ステージの床面にLEDビジョンを敷き詰めた演出が行われました。その制御を担当した、ヒビノビジュアル Div. ブランチ統括 Visual 大阪ブランチ 吉井秀樹様は、「直感的な操作感で、何のストレスもなくオペレートすることができました。また、KAIROSのTバーは、ゆっくりと切り替えると自分の感覚その通りに切り替わりますし、これまでのプリセットができるスイッチャーは、呼び出してからテイクするという2つの操作が必要でしたが、KAIROSはボタンを押した瞬間にプログラムに表示できるため、リズムに合わせてロゴで煽るなどKAIROSならではの演出もできました」と評価します。
大型イベントの準備を効率的にする可能性を秘めたシステムのIP化
イベントやコンサートなどにおいては、まだIP化が浸透していない実情があります。林様は「ケーブルの数が大幅に減ると大型イベントの際は特に助かると思います。細かな部分ではありますが、配線はマンパワーが必要で、準備などの際に業務のスリム化に繋がるのではないでしょうか。また、ケーブル1本で全てやり取りができることでミスも少なくなると思います。これも利点のひとつです」と話します。
▲ 十字型のLEDステージの演出もKAIROSで制御。
▲ 場所が限られる仮設の現場でもコンパクトタイプのパネルで省スペース運用。
▲ 床面に表示する映像のシーン設定を行っているKairos Creator。
▲メインフレームKairos Core 2000を2台使用。
▲ NDI®αチャンネルを使用したテロップ出しにAV-HSW10が活躍。
テロップにNDI®αチャンネル対応のAV-HSW10を活用
関西コレクションでは、KAIROSだけでなく、パナソニックの小型スイッチャーも活用。大型ビジョンへのテロップ表示には、NDI®αチャンネルに対応しているコンパクトライブスイッチャーAV-HSW10を使用。これまでのクロマキーを使用したテロップのやり方では、フェードをかけた際に、入るとき/消えるときの境目で若干ノイズが出ることがあり、緑成分が残っている部分でフェードのパーセンテージによって影が出るため、それがネックになっていました。今回のシステムでは、αで作成した素材をパソコンからNDI®に変換し、AV-HSW10でフィルキーの出力にアサインして2系統で出したことでノイズもなく、安定した運用が可能に。AV-HSW10でNDI®αチャンネルを使用するシステムに対し、藤林様は「僕たち的には一番今回の現場で言うと使い勝手というか、楽になった部分」、林様は「非常に良かったと思います。今後、これをベースにしたシステムのパターンも使っていこうと考えています」と評価されています。
スピーディなフィードバックで現場を真摯にサポート
KAIROSなどの機器自体はもちろん、パナソニックのサポート体制も大きな信頼を得ています。藤林様は語ります。「私達が要望したことに対する反応が、KAIROSは特にだと思いますが、早いです。少し前にこうならないですか、と言ったことが次の現場では解決していることもあり、その対応力の速さに驚かされています。実はKAIROSは、想像以上に余裕のある機材で、隠されている機能が多く、それをオンにするだけなのでは、と疑うほどのスピード感です。それによって要望を伝えることに躊躇もなく、安心してお話できる関係につながっています」
画面構成図
納入機器
- メインフレーム Kairos Core 2000 AT-KC2000TS1 x2式
- コントロールパネル Kairos Control AT-KC10C2G x2台
- GUIソフトウェア Kairos Creator AT-SFC10G x2式
- ライブスイッチャー AV-UHS500 x1台
- コンパクトライブスイッチャー AV-HSW10 x1台
お客様の声
大規模化・高解像度化が進むイベントで進化を続けるKAIROSを活用していきたい
KAIROSは出力数が多く、高解像度映像にも対応できるため、大規模なイベントでの活用が見込めます。これが採用に至った理由の一つです。GPU/ソフトウェアベースであるKAIROSのコンセプトは、まだ他にはない特長だと思います。売り切り商品が多い中で、ソフトウェアのアップデートによって、これからもできることが増え続けることも大きな魅力です。また今回のイベントでは一部でIPを使いました。IPにすると思っている以上に楽になるのかもしれないという感想です。1本のケーブルで接続できるため、画が出なかった際にはそのケーブルを確認するだけで済み、大きなリスクヘッジとなります。これもIP化の大きな利点なのではないでしょうか。
また、表示デバイスはもちろん、新たな見せ方を付加した機械が今後数多く出てくるでしょうから、それによって見せ方の幅が広がり、さらに楽しい演出ができるようになると考えています。イベントは決められた形がないため、その形も1から作りますし、何もないところから積み上げていく仕事です。そのため個人の技量やセンス、そして当然ながら機材の精度によって全く違うものになるはずです。今後もKAIROSのような新しいコンセプトの機材が出てくることを期待しています。
ヒビノ株式会社 ヒビノビジュアル Div.
ブランチ統括 Visual 大阪ブランチ
係長 林 憲治様(写真左)
ヒビノ株式会社 ヒビノビジュアル Div.
ブランチ統括 Visual 大阪ブランチ
吉井 秀樹様(写真中央)
株式会社BRIDGE
代表取締役 藤林 典之様(写真右)
※所属は納入時のものです。
お客様紹介
音と映像のプレゼンテーター
1964年に設立されたヒビノ株式会社様は、創造と革新を経営理念に掲げ、「音と映像のプレゼンテーター」というコンセプトのもと、プロ用 AV&ITを基軸としたトータル・ソリューション企業として、時代の先頭を走り続けています。
■ 本社所在地:東京都港区港南3-5-14
大阪事業所所在地:大阪府吹田市豊津町18-8
■ URL:https://www.hibino.co.jp/
▲ 大阪事業所の外観