獨協医科大学病院様 教育医療棟
ご導入の背景
ロボットの手も借りたい
獨協医科大学病院様では大学創立40周年記念事業として、教育と診療の更なる充実を図るために新しく「教育医療棟」の建築を進められ、完成とともに外来と病棟機能の一部を移転されました。
そこで課題になったのが、本館の薬剤部で処方する薬剤の搬送です。今まではエアシューター等を利用していましたが、既存棟から細い連絡通路を通じ、180を越える病床数をかかえる新棟の隅々まで現搬送システムを拡張するとなれば、莫大なコストがかかってしまいます。特に人手が足りなくなる夜間や緊急時、どうすれば安全に効率よく搬送できるか。 そこで採用されたのが、自律搬送ロボット「HOSPI(ホスピー)」でした。
概要と特徴
現在院内には2台のHOSPIが導入され、夜間・深夜帯に搬送が行われています。スタッフが持っているICタグで認証すると、収納庫のロックが解除されます。薬剤を入れ画面に表示されている行き先を選択し、移動開始をタッチ。すると、HOSPIは記憶している院内地図に基づき、廊下を自走し目的地まで届けに行きます。
途中、車椅子の患者さんや点滴台などに出会っても、高性能な障害物検知センサシステムにより安全に衝突を回避。ボタンを押す自動ドアとも連携して通過し、エレベータにも一人で乗れます。乗る際には発話し、周囲への安全を誘導します。
薬剤部には3色灯が設置され、連携するHOSPI運行システムにより走行中の状態や、目的地へ到着したことが一目で分かるようになっています。現在地はPCの院内地図上で把握でき、内蔵しているセキュリティカメラにより“HOSPIが見ている映像”がリアルタイムで確認できます。
また、スタッフ・患者様の安心・安全のために、誰がいつどのような搬送をさせたかの履歴や、走行中の目線映像はしっかり記録されています。
導入の効果
2013年に新棟建設の計画が上がったときから、既存運搬システムの拡張に関し大きな課題が伴っていました。段階的に出来上がった建屋をまたいで使用していくことになるため、その都度に柔軟な運用ができることが重要です。HOSPIが採用された大きなポイントは、将来的に地図変更と無線LAN工事だけで搬送ルートを容易に追加・変更可能ができる点でした。
かわいらしい見た目や話し声にも癒されるので、小さな患者様を含め一躍皆の人気者です。他の波及効果としては、HOSPIがスムーズにお仕事ができるように、スタッフが院内をすっきり片付けることが習慣となったようです。
当初は決まった時間だけの試験的導入でしたが、将来的に稼動時間帯を段階的に拡大し、入院患者様の検体回収やその他の物も運べるように拡張を検討されています。HOSPIが医療スタッフの一員としてフル稼働する日は、そう遠くはなさそうです。