摩周湖農業協同組合 弟子屈町営牧場様
課題
離れた場所にある牛舎3棟を映像で一元管理したい。 北海道の厳しい冬にも本当に耐えられる監視カメラが必要。
解決策
パナソニックのMVNO回線を活用して無線LANの監視システムを構築。3棟の牛舎と外の牧場の様子を事務所のPCなどに送出。北海道のひと冬を実際に耐えて実証
パナソニックの監視カメラが-20 ℃で風速20 mの寒風が吹きすさぶ北海道の真冬にも使えるのか確かめたいと、ひと冬使用。結果は、まったく故障もトラブルもなく使用できました。
背景
1300頭の放牧乳牛と3棟合計で280頭の舎飼施設を事務所1か所で管理
北海道川上郡弟子屈町の町営牧場では、1300頭もの乳牛を1400ヘクタールの敷地の中に夏期放牧をし、冬には元もと稼働していた牛舎(A棟)と新牛舎(B、C棟)の3か所での管理を行っており、A棟は事務所から250 mほどの距離でしたが、B・C棟は事務所から約1.6 km離れた場所になります。各牛舎では、町の酪農家から預かった若い雌牛を育てて人工授精をさせ、妊娠させて返すまでの管理を行っております。
1300頭の放牧と280頭の舎飼育成管理の様子や餌やりを1か所で、見落とさずに管理するため、遠くの牛舎の牛も監視できるシステム導入を検討中でした。
導入理由
パナソニックの監視カメラはひと冬を耐え、高耐久を実証して信頼を獲得
北海道川上郡弟子屈町の900草原展望台に、パナソニックの監視カメラが1台設置されていました。以前、町にいた職員から借りて、夏のひまわり畑を鑑賞できるよう観光用として使っていたものでした。
摩周湖農業協同組合の小濱様は、そのカメラが-20 °Cで風速20 mの寒風が吹きすさぶ北海道の真冬にも使えるのか確かめたいと、ひと冬使ってみました。結果は、まったく故障もトラブルもなく使用できました。「これはイケる!」と、大きな信頼をいただき、システムの導入に至りました。
導入後の効果
複数の牛舎の様子が事務所にいながら一括モニタリングできる
牛舎に送られたばかりで なじみのない牛は、そわそわしたり、思いもよらない行動をすることがあります。牛がひっくり返っていないか、どこかに首を挟んでいないかなど、今までは実際に牛舎へ足を運んで確認していましたが、事務所からカメラで複数の牛舎をモニタリングできるようになりました。また、餌の与え方で、スタッフによって牛に与える餌の量が違ったりというバラつきがありました。牧場長が適切な量かどうかを、餌を積んだ時の盛り上がり方の違いなどを画面から判断し、事務所で仕事をしながら各牛舎のスタッフにタイミング良く指示を出せるようになりました。
個人の酪農家では牛の出産までタイミングを見て自宅で待機が可能
個人の酪農家は、季節も時間も関係なく出産があり真冬の夜中でも牛舎に見に行くのが当たり前でした。牛舎の牛の様子が自宅でモニターできれば、冬の夜中でも、必要なタイミングまで自宅で待つことができます。このシステムを見て、実際に何軒かの個人の酪農家で導入いただいています。
お客様の声
地形に応じた柔軟なシステム提案
監視システムはパナソニックのMVNO回線を使った無線LANで構築しています。事務所からB・C棟へまっすぐ無線を飛ばしたかったのですが、事務所の前が大きな森で傾斜もあって無理でした。そこで無線LANのブリッジ構成で、事務所―A棟―展望台―B・C棟という3ペアの迂回ルートでの映像伝送を提案してくれました。温度・湿度・風速データなども伝送されます。以前も監視システムはありましたが有線で、事務所からB・C棟は直線でも1.6 kmほどあり無線にしました。全部を一か所で見られるのは便利です。
外からも牛舎や、仕事の工程等が確認できる「働き方改革」システム
個人の酪農家さんもそうですが、自分が休みの日でも、牛には関係ないので「ちょっと30分ばかり買い物に」と思っても、牛が心配で行けないんです。
でも外出先のスマートフォンから状態が確認できるようになると、安心です。
これが酪農家の働き方改革でしょうか。とても助かっています。
また、監視カメラシステムの中に“デジタル工程表”を追加しました。スタッフ全員が自宅や外出先などどこからでもスマートフォンで各自の工程(スケジュール)が確認できます。お知らせ欄に連絡事項を記入したり、画面切り替えで遠隔地からも事務所の会議に参加することができます。
見たいところにズーム・インできる
カメラ位置を季節に応じて変えています。季節ごとに見るべき場所が違ってくるのです。そういう変更作業もスピーディにやってもらえてうれしいです。
今までは具合の悪そうな牛を見つけたらすぐ駆けつけていましたが、今はカメラがズームしてくれて、より詳しく見てから対応できるようになりました。
システム構成図
導入システム
- 赤外線照明搭載 フルHD 屋外対応PTZネットワークカメラ WV-S6532LNJ ×1台
- フルHD屋外ハウジング一体型ネットワークカメラ WV-S6530NJ ×3台
- HD屋外ハウジング一体型ネットワークカメラ WV-S1511LNJ ×4台
- 4K UHD液晶ディスプレイ(65インチ液晶モニタ) TH-65EQ1J ×1台
- 温湿度センサー UENRST101 ×3台
- プログラマブルコントローラ(IoTコントローラ) PLC(FP7/31ES) ×1台
- ENR1無線環境ユニット RS-485タイプ UENRMU002 ×2台
今後の展望
農業系の仕事の負担軽減をIoTの活用で、さらに進めてほしい
近ごろは農業系の担い手が少なくなっています。IoTを活用してもっと農家の負担が軽減できればよいと考えています。第一次産業に企業がもっと力を入れてもらいたいと思います。パナソニックさんも日本の酪農をぜひ強力にサポートして欲しいですね。
お客様紹介
酪農家から預かった約1300頭の牛を育成・管理
摩周湖農業協同組合の町営牧場は、弟子屈町から委託を受けた牧場で、摩周湖農業協同組合は運営・管理を行っています。総面積は約1400ヘクタール、放牧面積が約900ヘクタール(東京ドーム220個分の広さ)の広さです。町内の約60軒の酪農家から、夏・冬あわせて約1600頭の牛を預かって管理しています。
所在地:〒088-3200 北海道川上郡弟子屈町字弟子屈994番地