日本プロボウリング協会様
課題
プロボウリング誕生より50年が経過し、新しいスタイルを模索していた日本プロボウリング協会様。プロスポーツが多様化していく中で、より幅広いファン獲得のために新リーグを設立。配信方法などを含めて、何ができるのかを試行錯誤していた。
解決策
2つの競技会場と解説ブース、制作スタジオの4拠点を結んだライブ配信を実施。スムーズな映像スイッチングをはじめ、ピンアクションのスローモーション、スコアテロップなどのマルチビューにより、今までにないボウリングの楽しみ方を生み出すことができた。
2つの競技会場と解説ブースがすべて別の場所にあり、ライブ配信も初の試みでしたが、スムーズな連携で大変満足しております。開幕に向けてスポンサーを募るためのAR広告もKAIROS クラウドサービスだからこそ実現しました。
背景
スポーツの多様化を踏まえ、ボウリングの新しい魅力を伝えるオンライン配信への挑戦
日本プロボウリング協会様は、1967年の発足からプロによる競技会を通じてボウリングの普及・振興を推進してきました。これまで大きな競技内容の変更はなく、男女別の個人戦というスタイルが続いていました。多くのスポーツが多様化していく中で、より広い層にプロボウリングの素晴らしさが伝わる新しい形へと進化させることを決断。地域密着型のクラブチームによる、リモート対戦方式の新リーグ「io.LEAGUE」を立ち上げることに。
開幕は2023年春。その皮切りとして1月10日~13日に「io.LEAGUE SHOWCASE」が開催されました。東西2会場にそれぞれ男女混合の3チームが集合し、東西でリモート対戦する様子をYouTubeライブにて配信。2つの会場だけでなく、実況解説ブース、映像をコントロールするスタジオ、全4拠点をつなぐためにKAIROS クラウドサービスをご活用いただきました。
システム活用の概要
4拠点を結んだライブ配信。対戦の様子が視聴者にわかりやすいマルチビュー
東京の「東京ポートボウル」、大阪の「ボウルアロー八尾店」が競技会場。解説ブースは紀尾井町のヤフー本社オフィス内「LODGE」を利用し、映像のスイッチング等の制作は天王洲の「KAIROS Connect Center TOKYO」(以下、KCC)よりリモートで実施。4拠点をつなぐライブ配信となりました。
東西の2つの会場にはそれぞれカメラ4台が設置され、競技の進行に合わせてカメラ映像をスイッチング。チームのメンバー構成がわかりやすい写真付きのスコアを表示するなど、視聴者に分かりやすい配信にするため、随所に工夫が凝らされました。メイン画面には投球するチームの選手映像が映し出され、投球のタイミングでピンデッキ側の映像にスイッチングされます。サブ画面ではピンデッキをクローズアップし、相手チームの選手たちの表情も常時表示。このマルチ画面構成はファンにとっても嬉しいポイントに。
全4拠点のスタッフはわずか15名。映像制作のオペレーションをKCCに集約することで、会場の現場スタッフは各4名で効率良く進められました。
導入後の効果
ライブ配信がコンセプトの新リーグ。ファン層拡大だけではない、大きな効果を実感
ライブ映像は日本プロボウリング協会様のオフィシャルメディアパートナー「Rankseeker」のYouTubeチャンネルで配信されました。ライブの最大視聴者数は1,000人以上で、アーカイブ映像の視聴は4週間で15万回を記録(4日間合計)。4拠点のスムーズな連携によるクオリティの高い映像配信が生んだ効果と評価いただきました。
「io.LEAGUE SHOWCASE」の準備・実施を通して、本来の目的であったファン層拡大だけでなく、予想を超えたさまざまな効果を実感していただけました。
①多拠点をつなぐライブ配信が、全国的な地域密着型クラブチームの発足を促進
②AR広告を遅延なく表示。新たなスポンサーの獲得と広告収入の見込みも
③選手や関係者の移動・滞在費に対するコストを削減
①多拠点をつなぐライブ配信が、全国的な地域密着型クラブチームの発足を促進
ライブ配信がベースの「io.LEAGUE」は競技会場の場所を問わず大会を開催できるので、全国各地のチーム設立に対するハードルが下がります。さらに、今回のSHOWCASEでは6チームを東日本・西日本に分けた東西対決で開催。視聴者が選手を知らなくても、地元のチームを応援する気持ちが生まれる発見があったとのこと。日本中にチームが立ち上がる未来図、リーグ活性化への可能性が広がりました。
今回は2会場でしたが、今後は同日開催の会場数が増えていきます。それに対応するため、リモートプロダクションが可能なKAIROS クラウドサービスのさらなる活用が期待されています。
「千葉チームの好プレーでコメント欄がピーナッツで埋まるなど、ライブ配信ならではの盛り上がりがありました。応援するチームがあればより楽しむことができる。地域性の大切さを実感しました。」(日本プロボウリング協会 谷口 健様)
②AR広告を遅延なく表示。新たなスポンサーの獲得と広告収入の見込みも
リーグとしてのスポンサーを募るため、ARによる企業ロゴの表示も実施されました。
サブ画面の下にAR広告を合成。それにより今後は広告収入の見込みも想定されています。
シーンとの連動が必要なAR広告には音声・映像データの遅延が発生しますが、クラウド上でならその調整を行うことができます。これはKAIROS クラウドサービスならではの利点です。
「拠点ごとに異なる広告を表示できるARを導入していただきました。各地域の企業が地元のチームを応援・サポートしやすくなると。今回の実施で正式な開幕に向けてスポンサーを募ることができました。」(日本プロボウリング協会 谷口 健様)
③選手や関係者の移動・滞在費に対するコストを削減
プロスポーツの運営には、選手をはじめ関係者の移動費が大きな負担となります。
「io.LEAGUE」は競技をリモート対戦によるライブ配信という形にすることで、選手や関係者の移動を最小限に抑えることができ、大きなコスト削減にもつながりました。
「選手だけでなく、関係者を含めた移動・滞在には多額の費用が必要です。リモート対戦という形にすることでコストカットが実現し、より地域に密着したクラブ運営ができると考えています。」(日本プロボウリング協会 谷口 健様)
お客様の声
日本プロボウリング協会は、今までITなどの最新技術をまったく取り入れてきませんでした。ですが、「新しい形へと進化させ、ボウリングの素晴らしさをもっと広めたい」という思いはずっと持っていました。
配信システムはもちろん、大会内容、新しい競技方法もKAIROS クラウドサービスの存在があってこそ進められたと思います。経験したことのないことばかりで戸惑いましたが、専門家の方々に助けられながら良いヒントをいただき、SHOWCASEを成功させることができました。正式な開幕に向けて大きな手応えを感じております。
技術支援者の声
遠隔地のチーム同士でリモート対戦したいと伺い、KAIROS クラウドサービスを使ったオンラインによるリアルタイムのリーグ戦を提案しました。
ボウリング場は通常営業されていますので、ネットワークや撮影演出などの準備を夜間に行うなど、会場側にもご協力いただきながらスムーズに進められました。
今後は各地にクラブチームが結成されていき、同時中継する競技会場がさらに増えると予想されます。これはKAIROSクラウドサービスでしか実現できない形。ボウリング界と地域の発展のために「io.LEAGUE」がますます盛り上がるよう、これからもサポートできればと思っています。
映像制作ソリューション KAIROS クラウドサービス
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