【From the Inside】パナソニック コネクトが描くAI活用の未来 ―ConnectAIの活用実績と今後の展望―
パナソニック コネクトの取り組みを内側からレポートする【From the Inside】シリーズ。今回は、6月28日にパナソニック コネクト本社(東京都中央区銀座)で開催された、「ConnectAI活用実績と今後の戦略」をテーマにしたメディア説明会の様子と、実際にConnectAIが活用されているパナソニック コネクトの現場の声をお届けします!
皆さん、こんにちは! パナソニック コネクト、GEMBA編集部です。
パナソニック コネクトの取り組みを内側からレポートする【From the Inside】シリーズ。
今回は、6月28日にパナソニック コネクト本社(東京都中央区銀座)で開催された、「ConnectAI活用実績と今後の戦略」をテーマにしたメディア説明会の様子と、実際にConnectAIを活用している社員の現場の声をお届けします!
「ConnectAI」は、OpenAIの大規模言語モデルをベースに開発したAIアシスタントサービスで、2023年2月から国内全ての社員に展開しています(参考:https://news.panasonic.com/jp/press/jn230628-2)。
メディア説明会では、導入から3カ月を経て見えてきた実際の効果と課題、そして今後の展望について発表。会場にはTV4局を含む22名、そしてオンラインからは37名、合計で59名もの記者の皆様が参加され、ConnectAIに対する関心の高さを目の当たりにしました!
画像認識や生体データ分析、ロボティクスなど、様々な分野で最先端のAI/データ分析技術を活用したソリューションを提供しているパナソニック コネクト。特定の分野・業務においては以前から社内でもAIの活用が進んでいたものの、チャットやメールのように社員全員が使うツールとしてのAIの社内導入は、今回が初めてでした。
執行役員 アソシエイト・ヴァイス・プレジデント CIOの河野さんは、最新テクノロジーを企業内に浸透させるには、①自分たちで頑張らない ②失敗OK・「早くやる」こそ正義 ③従業員に安全・簡単に使える環境を提供、という3つの柱が重要だと説明したうえで、それらを単なる机上論で終わらせず、実行に移すことができた背景にはコネクトの企業カルチャーが大きく影響している、と語りました。
「経営TOPから現場までみんなで、挑戦している人を応援する文化が根づいている。そのためにスピーディーな実行が可能だったと思います」
なお、パナソニック グループ全体で業務の変革を加速する取り組み「PX(Panasonic Transformation)」 においても、「ConnectAI」をベースにした「PX-AI」が開発されています。
「私たちのパーパス『現場から 社会を動かし 未来へつなぐ』にあるように、コネクトの現場の取り組みを、パナソニック グループ全体、そして社会全体に広げていくことで、日本企業の生産性や効率性をあげることに貢献し、皆さまと一緒により良い社会、持続可能な未来を作り上げていけたらと思います」
続いて、IT・デジタル推進本部の向野さんから、使用開始から3カ月が経ったConnectAIの活用実績が紹介されました。1日の利用回数が5,000回以上と、当初の想定の実に5倍以上も活用されているそうです!
勤怠管理ツールなどとは異なり、日常的に使わなくてもいいツールであるにも関わらず利用回数は上昇傾向を維持しており、社員が業務に利用してみて、実際に効果を感じているということが伺えます。
「生成AIはインターネットやスマホのような『技術革新』と捉えており、ビジネスに当たり前に溶け込んでいくものだと考えています。過失につながる不適切な利用もなく、ConnectAIはビジネスに有効だと判断しています」と向野さん。
不適切利用については3段階の厳重な検知プロセスが設定されており、今回もいくつか確認されましたが、「切削加工で四角に穴をあける方法を教えてください」という質問の「切削」という単語を検知した、というように(暴力的であると判断されたと思われますが、『切削加工』は加工技術の分野における一般用語です)、実際の意味での不適切利用は0件だったとのことです。
利用ケースは「質問」「プログラミング」「文書作成」「翻訳」「要約」の順に多く、説明会の場では、特定の職種のキャリアに関する質問、樹脂材料に関する質問、技術をビジネスに活用するアイデア出し、といった具体例が、実際の回答内容とともに紹介されました。以下がその1つです。
質問例:360度カメラの映像をLTE回線で映像伝送し、遠隔地でVRゴーグルで閲覧するシステムの使用用途をいくつか挙げてください。
ConnectAIの回答:
1.観光:遠隔地の観光名所や文化遺産をリアルタイムで体験できるようにすることで、旅行者の満足度を高める。
2.イベント・コンサート:遠隔地からライブイベントやコンサートをリアルタイムで楽しむことができる。
3.不動産:物件の内覧を遠隔地から行うことができ、物件選びの効率を向上させる。
4.エンターテイメント:映画やテーマパークのアトラクションを遠隔地から楽しむことができる。
5.スポーツ:試合や競技をリアルタイムで観戦し、選手の動きや会場の雰囲気を体感できる。
6.教育:遠隔地の学校や教室にアクセスして、授業や実習をリアルタイムで体験できる。
7.医療:遠隔地から手術や治療の様子をリアルタイムで観察し、専門家がアドバイスを提供できる。
8.セキュリティ:遠隔地の監視カメラ映像をリアルタイムで確認し、セキュリティ対策を強化できる。
9.企業研修:遠隔地の研修施設や工場見学をリアルタイムで行い、効率的な研修が可能になる。
10.災害対策:遠隔地の災害状況をリアルタイムで把握し、迅速な救援活動や復旧作業を行える。
私もテキストの要約や翻訳などの業務にConnectAIを活用することはありますが、ここまで専門的で複雑な内容に対しても的確に回答してくれるとは、衝撃です!
そしてそれ以上に、CONNECTer(パナソニック コネクト社員)の皆さんが、それぞれ質問の仕方を工夫して、応用していることに驚きました。私ももっと活用の幅を広げられそう……!
続いて、向野さんからは、この3カ月の活用で見えてきたConnectAIの4つの課題が紹介されました。それぞれの解決策はすでに検討済みで、今後実施予定とのこと。例えば、自社固有の情報(公開情報)に対して回答してくれる自社特化AIの試験運用が、さっそく2023年9月から全社員を対象に行われる予定だそうです。
公開情報を基にした自社特化AIの試験運用が成功した際の次のステップとしては、社外秘情報も含んだ自社特化AIの活用、さらにその先には個人の役割に応じて回答する、個人特化AIの活用が検討されています。
ConnectAIを活用しているCONNECTerの声
今回は、実際にConnectAIを活用しているCONNECTerの声も紹介します。
イベントマーケティングの担当をしている柳原さんは、イベントの案内状の英訳や企画のアイデア創出、イベント司会者の原稿の検討などでConnectAIを活用しているそうです。
「簡単な例ですが、こんな風に使っています」と画面を見せてくれました。
「お客様への失礼に当たらないご挨拶の例を紹介してください」という質問に対して、単に回答して終わりではなく「丁寧な対応を心がけてください」など、質問者に寄り添った言葉も添えられています。
「健康診断のバリウム検査を控えて憂鬱になっていた休憩時間に、『バリウムが嫌だから励ましてほしい』と冗談で入力したら、検査の有益性を示して私を説得しつつ、苦難を乗り越えようとしている私の勇気を褒めてくれました」とも。本物の同僚みたいで親しみが湧きますね!
「最終的な判断は人間がしなくてはいけませんが、ゼロから作成するのが大変な企画や資料の検討において、たたき台を作ってもらえるのはとても大きいです。一つの企画にかける時間と工数を減らせる分、対応できる企画の数が増えましたし、優秀なアシスタントとして活躍してくれている、という感じです」
今回のメディア説明会の中で、「AIが人間に置き換わるとは考えておらず、AIはあくまで我々をサポートしてくれるアシスタント。AIの進化によって社員一人ひとりの生産性が上がっていく、というように、人間とAIが良い関係で歩んでいけるのではないかと考えています」という向野さんの言葉が強く印象に残っています。
実は、この記事のタイトルもConnect AIに提案してもらったものを私が手直しして作成しました!(そして、それを上司の校閲でさらに手直しされました……!)頼り方を工夫するだけで、AIが私たちをサポートしてくれる範囲はぐんと広がりそうです。
「人間とAIの良い関係ってこういうことかな?」と自問しつつ、日々進化しつづける素敵なアシスタントとの付き合いを、より一層深めていきたいと思います!
メディア説明会の動画と資料はこちらから
ConnectAI活用実績と今後の戦略 記者説明会 - パナソニック コネクト (panasonic.com)
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