【From the Inside】第一食品×パナソニック コネクト 病院向け給食業界の未来を拓く―トレイメイク自動化システム記者説明会参加レポート―
皆さん、こんにちは! パナソニック コネクト、GEMBA編集部です。
パナソニック コネクトの取り組みを内側からレポートする【From the Inside】シリーズ。今回は6月21日に開催された「トレイメイク自動化システム記者説明会」の参加レポートをお届けします。
病院向け給食サービスを提供している株式会社第一食品(以下、第一食品)と当社が共に開発した「トレイメイク自動化システム」が第一食品に導入されたことを受け、導入現場である第一食品 相模原工場にて記者説明会を実施。約20名の記者に参加いただきました。
ところで皆さんは、病院給食がどのように提供されているかご存じですか? 実を言うと、私は、この説明会に参加して初めて知りました!
一般的な病院給食は、病院ごとの厨房で調理など全ての作業を行っているそうです。一方、第一食品が展開する「完全院外調理」方式では、数多くの病院からオーダーを受け、各病院の調理・盛付けを病院外のセントラルキッチンに集約。ご飯やおかずをトレイにのせ、入院患者様が召し上がる直前の状態にしてそれぞれの病院へ届けます。今、この方式が、病院給食業界においてニーズが高まってきているのだそうです。
第一食品 代表取締役社長の小宮 仁様のご説明によれば、「病院給食は、1日3回の配送時間に合わせて365日生産することが必要で、さらに、個人の健康状態に合わせた栄養管理の元での提供が求められるため、少量多品目生産という特徴があります。朝食の仕込みや夕食後の洗浄作業のため早朝・深夜勤務も必要になるので、深刻な人手不足に直面しています」とのこと。
病院給食は他の給食とは違い、患者様の状態に合わせて献立・刻みなどの食事形態・アレルギー対応などの食事内容がそれぞれ異なるそうです(そのパターンはなんと約1億通り!)。
盛付けたお皿を個々の患者様に合わせてトレイに置いていく「トレイメイク」と呼ばれる最後の工程は、人間の高度な判断を伴うとても複雑な作業です。スタッフの育成には約2年を要し、提供数拡大の最大のボトルネックとなっていました。そこで、「トレイメイク自動化システム」を共同開発※1、第一号機の相模原工場への導入に至ったのです。
※1:両社共同で1件、パナソニック コネクト単独で2件の特許出願中
システムの様子はこちらの動画から見られます
「今後、自社工場のセントラルキッチンにおいてパナソニック コネクトと共同で各工程の自動化・効率化を進めるだけでなく、同じようにセントラルキッチンの導入をご検討されている医療法人様や給食会社様と提携することで、完全院外調理を日本全国に普及させていきたい」と、小宮様は展望を語ってくださいました。
パナソニック コネクト 食品加工ソリューション総括部 大江 徹直さんからは「労働力不足・人依存が喫緊の課題である『病院給食の現場』から、自動化ノウハウを起点に貢献領域を拡大していきたい」と、業界全体への貢献を視野に入れた意気込みが。
そして、事業を担当した同総括部の五十嵐 雅孝さんからはトレイメイク自動化システム導入の詳細説明がありました。
今回の第一食品との共同開発の取り組みは、「熟練スタッフに依存しない、かつ現状の熟練スタッフ以上のスピードでのトレイメイク作業を実現する」という目標を実現するために、開発チームメンバーが現場に入り込んで生産プロセスの見直しから行い、約3年かけてシステムを開発・導入に至ったのだそうです。
「人間の感性に近い部分で行っていた『匠の技』をあぶりだし、今まで培ってきたものづくりにおける工程内の課題の見える化と標準化のノウハウを用いてオペレーションを最適化することに加え、自動化設備とITを組み合せたこのシステムを開発しました」と五十嵐さん。
今回導入したこのシステムでは、出てくるお皿をトレイに置くだけでトレイメイクができるため、今までのように患者様に合わせた皿を探すという難しい作業がなくなり、なんと入社2日目のスタッフでも作業可能になったそうです。
導入の効果はトレイメイク作業が簡単になっただけではなく、お皿を探す時間が減った分、その時間を盛付けの見栄えの確認などにも注力できるようになったことで、お食事の品質向上にもつながっているとのこと。さらには、標準化と工程の見直しによる作業時間の安定や、生産計画がデータ化されたことで生産数の増加にも柔軟に対応できるようになるなど、導入後間もないにもかかわらず、さまざまな効果が現れています!
導入現場にて開催された説明会でしたので、トレイメイク自動化システムが実際に稼働する様子も見学させていただきました。システムの周りをぐるりと一周しながら、第一食品 相模原工場 工場長の矢ヶ崎 忠徳様が、どのような仕組みと作業工程でシステムが機能しているのかご説明くださり、運び出されたお皿をトレイに置くだけの簡単な作業で正確なトレイメイクが実現されている様子を目の当たりにしました!
そして、説明会の最後に待っていたのは、入院患者様に提供している実際の食事の試食会です!
小宮様、矢ヶ崎様、大江さん、五十嵐さんも同席し、記者の方々に実際の食事を体験していただきながら、食器形状の工夫や調理の仕方などのポイントをお伝えしました。記者の方々は食事の味・品質を高く評価されており、私も試食させていただきましたが、とっても美味しくて感動しました!
栄養バランスだけではなく、温度、味付け、盛付けの工夫が至るところになされ、患者様の入院生活を「食」を通じて少しでも快適にしたいという第一食品の思いに直に触れ、「おいしさは まごころ」という第一食品の企業キャッチフレーズの意味を知ったように思います。
これまで病院給食業界では、その複雑性や投資負荷から、「完全院外調理」のようなセントラルキッチン化や自動化が進んでいなかったそうですが、今回のような自動化・効率化は、業界の労働力不足という課題を解決し、美味しいメニューの開発や充実した栄養管理といった、より患者様に向き合った業務に集中して取り組むことを可能にします。
「業界の課題解決を、引いては入院患者の皆様の笑顔を増やすことにつなげたい」という大江さんのことばに象徴されるように、単なる現場課題の解決に留まらず、業界全体の未来を切り拓いていこうと必死に取り組む第一食品とパナソニックコネクト。BtoBビジネスであるがゆえに一般には見えにくい両社の貢献ではありますが、もし病院食を口にする機会があるときには、そんな両社の熱い想いを思い出していただけたら嬉しいです!
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