【From the Inside】Blue Yonder ICON 2023で見えたサプライチェーンの未来 ―テクノロジーとサステナビリティの両輪が鍵―
皆さん、こんにちは! パナソニック コネクト、GEMBA編集部です。
パナソニック コネクトの取り組みを内側からレポートする【From the Inside】シリーズ。今回は、5月2日から5日にかけてアメリカ ラスベガスで開催されたサプライチェーンのイベント、Blue Yonder ICON 2023の現地レポートをお届けします。
ネットで見つけたものが、早ければ1日以内に手元に届くのが当たり前になっている私たちの日常ですが、その背景には複雑に絡み合ったサプライチェーンネットワークが存在します。コロナ禍において店頭にトイレットペーパーがない、注文したものが中々届かないなど、サプライチェーンの混乱に影響を受けた方も多いのではないでしょうか。
そんなサプライチェーンの未来について、企業の経営者や専門家が洞察を交換する場であるBlue Yonder ICON 2023。パナソニック コネクト傘下のBlue Yonderが、世界のサプライチェーンマネジメントソフトウェアベンダーのリーディングカンパニーとして、毎年開催している一大イベントです。今年の参加者は約2,000人で、会場は熱気であふれていました!
この業界屈指の大イベントで、様々なセッションや関係者との会話を通じて見えてきたサプライチェーンの潮流をご紹介します。
コロナによって、その脆弱性がクローズアップされたサプライチェーンですが、実はコロナ以前から、天候や人手不足、港の混雑など、さまざまなトラブルが起こるたびに関係者が「リアクティブ(反応的)」に対応をしなくてはならない、という運用スタイルが大きな課題だったそうです。別の課題として、取引先と需給に関する正確な情報交換や連携がないまま非効率的に運用してしまうことで、輸送時のCO2排出や過剰生産による生鮮食品や衣料品の廃棄によって環境に大きな負担をかけてしまい、企業自身にも過度なコストや損失が生じてしまうということにも悩まされてきました。
そんな課題に対し、Blue YonderがICONで発表したビジョンが、近年のテクノロジーの躍進を利用して、サプライチェーンの仕事を「反応型」から「予測型」に転換するというものです。予測的・生成的なAI技術を使うことで、トラブルが生じてからモグラ叩きをするのではなく、プランナーが問題の到来を察知し、事前に迅速な調整を行うことができるようになります。例えば、台風などの自然災害が発生した際、AIが港の混雑を予想し、最適な代替ルートの提案などを行う、といったことが可能になるのです。
さらに、共通データクラウドの利用によって、サプライヤー、メーカー、荷主、小売パートナーといったサプライチェーンの関係者が、膨大な量のデータを簡単かつ迅速に共有し、互いに協力し合うことで、より効率的にサプライチェーンを運用することが可能になりました。例えば、荷物の積載効率の向上が、トラックや飛行機の無駄な交通量を削減することに。それは二酸化炭素排出量の削減に留まらず、エネルギー浪費や過剰生産の減少、梱包材や天然資源の使用量削減といった様々な効果をもたらします。サプライチェーンがうまく機能することが、サステナビリティに直結するのです。
ICONで耳にした、二つの言葉がとても強く印象に残っています。一つ目は、「誰も新しいソフトウェアを買いたがらない」、しかしテクノロジーやソフトウェアこそが、人々の問題解決を可能にするものであり、それらの分野における最新の進歩は、人類を飛躍的に前進させるものであるというもの。
二つ目は、「サプライチェーン分野を考えるというのは、即ち『人』を考えるということだ」という言葉。
知的で経験豊かなプロフェッショナル達が熱心に話していたのは、ビジネス上の問題を解決し、サプライチェーンをより良く運用するということ以上に、「どうすれば人々のくらしをより良くできるか」「どうすれば非効率を解消して持続可能な社会を実現できるか」「どうすれば世界をより良い場所にできるのか」というものでした。その実現のために、クラウドや生成AI、ロボティクスなどの最新テクノロジーと、彼らの専門知識を総動員するこの探求は、「Good Quest」と呼ばれています。
そのQuest(探求の旅)に一緒に出かけたことで、サプライチェーンがこんなにも密接に私たちの日常を支えているのかと気づくとともに、より良い世界を本気で創造しようとする彼らの熱意に直に触れ、テクノロジーは単に効率だけの話ではなく、人を、社会を、未来を豊かにするためにこそあるのだと、とても胸が熱くなりました。今夜、ネットショッピングをするときに、購入ボタンをクリックした後の世界を想像しながら、楽しみに商品の到着を待ちたいと思います。