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玉川大学
佐藤久美子教授インタビュー
HDコムが実現する"体験的"国際交流
離れた場所でもできる、空間の共有。その用途は、会議室だけにとどまりません。

パナソニックのビデオ会議システム「HDコム(HD映像コミュニケーションユニット)」を導入した玉川大学の佐藤久美子教授インタビューのページです。


フルHDの高画質と広音域全二重ステレオの高音質で、リアルなコミュニケーションを可能にする『HD映像コミュニケーションユニット(以下HDコム)』。 まるで目の前に相手がいるかのような臨場感が高く評価されており、従来のビデオ会議としての利用のほか、製造業や医療機関など、幅広い業種のさまざまな用途で活用されている。

そのひとつに、町田市立南大谷小学校の国際交流授業がある。2011年11月より実施されているこの授業では、HDコムで台湾の小学校とオンラインの接続をしてコミュニケーションを図っているという。 今回、このプログラムを作成した玉川大学の佐藤久美子教授に、HDコムを使用した国際交流授業について話を伺った。

町田市教育委員会様 国際交流プロジェクト(町田市立南大谷小学校)

佐藤久美子教授 (玉川大学 リベラルアーツ学部)

佐藤久美子教授 (玉川大学 リベラルアーツ学部)

【プロフィール】
津田塾大学学芸学部卒、同大学大学院文学研究科博士課程了。現在、玉川大学大学院脳情報/文学研究科・リベラルアーツ学部教授/脳科学研究所言語情報研究センター主任。 専門は心理言語学・英語教育。町田市・三鷹市などを中心に英語のカリキュラムを作成し、小学校英語教育を推進している。


■講師、監修/NHKラジオ「基礎英語2」講師1998-2002, NHKラジオ「基礎英語3」講師2012~, NHKラジオ「えいごであそぼお」監修2012~ ■著書『こうすれれば教えられる小学生の英語』(朝日出版),『話したいから、英文法!』(朝日出版社), 『上手な英語の伸ばし方』(ライオン社)など


英語で伝える楽しさを学ぶ

社会や経済のグローバル化を背景とする英語教育の重要性は近年高まる一方であり、平成20年に文部科学省が行った学習指導要領の改訂では、小学校5・6年生の「国際理解/外国語活動」が必修となっている。 この流れを受けて、町田市の教育委員会は玉川大学に国際交流プログラムの作成を依頼。児童の英語教育を専門とする佐藤教授がそのプログラムの一環として考案したのが、HDコムを使った海外の小学校との交流授業だった。

「小学校の目指す外国語学習というのは、大きく分けると3つの目標があるんです。 1つ目は、基本的な音声や表現に触れること、2つ目は、話したいという意欲や態度の育成、3つ目が体験的に異文化を経験して学習するというもの。この“体験的”というところが重要なんですね。

というのも、英語の授業が始まった当初は子供たちも英語で歌を歌ったりゲームをしたりすることに興味を持つのですが、そういうものはいわゆる学習効果という面ではそれほど高くないと思うんです。 やはりいちばん大切なのは、英語という手段でもコミュニケーションができるんだと実感させてあげることだと思います。 実際に外国のお友達と話す機会を得ることができると『英語が話せるってこんなに楽しいことなんだ』というひとつの動機づけになるのですが、実際に海外へ行ったり、海外の方をお招きしたりするのはなかなか難しいですよね。 そこで、HDコムのようなビデオ会議システムを使用し、日本と海外で同時に授業ができないかと考えたわけです」(佐藤教授)

佐藤久美子教授

交流授業をする相手は、玉川大学が親しくしている台湾の淡江大学から紹介された台北市立教育大学付属実験国民小学校に決定した。 実は、あえて英語圏ではない小学校を選んだ点にもポイントがあるのだと佐藤教授は語る。

「英語圏の小学校ですと、日本の子供たちの英語ではちょっと物足りなさを感じると思うんですね。逆に相手からパーッと英語が返ってきてしまうと、日本の子供たちも自信を失くしてしまいます。 台湾の場合はお互いに英語を学んでいる立場であるという共通点があるので、間違えてもいいからなんとか自分の英語を伝えたい、なんとか相手の英語を聞きとりたいという思いが生まれます。 その“思い”こそがコミュニケーションの基礎だと思うんです。コミュニケーションというのは一方的にお話するのではなくて、気持ちを通わせることが大切なんですよね。 空気や気持ち、伝えたいことを共有できることが英語によって、それも第2外国語同士ということで成り立つのでは、と思っています」

遠くて近いオンライン交流

遠くて近いオンライン交流

HDコムを使った交流授業は、町田市立南大谷小学校と台北市立教育大学付属実験国民小学校をオンラインでつなげるところから始まる。 台湾の子供たちが教室の椅子に座って「Hello!」と手を振っている様子が大きな画面に映し出されたのを初めて見た時、子供たちは遠いようでグッと近い不思議な感覚に感激していたという。 第1回の授業では、お互いに英語で自己紹介を行い、余った時間でそれぞれの国の歌を歌った。

「授業を終えた後の子供たちには『初めて外国のお友達と話をした!』という充実感があふれていました。きっと英語が通じるかどうか、最初はちょっと不安だったのでしょうね。 それがちゃんと通じたときの子供たちの表情の輝きはとても素晴らしいものでした。

そして意外だったのは、もっと子供たちが緊張するかと思ったら全く緊張しないんですね。授業が終わった後にお互いの質問タイムを作ると、たくさん手が上がるんです。 おもしろかったのは「台湾の小学校に怖い話はありますか?」って子供が聞いたら、「トイレに怖いお姉さんが出ます」なんて、日本の小学校と同じような話を一生懸命するんです(笑)。 そこまでいくと英語ではまだ表現できないので、あちらは台湾語でこちらは日本語で堂々と話をしていると、側にいた先生が訳してくれて両方のクラスで一斉に笑い声が上がるんです。 そういうライブ感というものは期待していませんでしたね。つまり子供の方がよりインタラクションを同時にとれるっていうことなんです。 私たちは授業を与えて聞いて、また説明して質問して、という形を想定していたのですが、子供たちはそれが同時に楽しめるんですね。」


その後もお互いの国のお正月や運動会を紹介しあうなど、異文化への理解を深める内容の授業が続いている。 使える英語には限りがあるため、詳しく伝えるにはどうすべきかと話し合い、実際に教室の中で運動会の様子を行ってみせることに。 結局、教室全体を使って組み体操や雀踊りがどういうものかを実演する楽しい授業となった。

「プログラムが進んでいく中で、子供と小学校の担任の先生方が一緒にどうしたら面白い授業になるのか考えるようになってきたようです。 交流授業は1つの教室という場を共有する良さもありますが、そのために準備する時間も大切な教育の一環になると先生方もおっしゃっていました」

実は授業のみならず、今回のカリキュラムを作るにあたって日本と台湾の教師で会議をする際にもHDコムが使用されている。 英語が堪能ではない教師もいるため、まずは名前を漢字で書いてカメラに見せ合うところから始まり、顔を見ながらやりとりを続けることで教師同士の距離も縮まっていったという。

「最初は先生方の示し方がチグハグだったんです。日本の先生は控えめですし、台湾の方は積極的。 でも進めていくうちにだんだん歩み寄っていくようになり、先生方も会議の仕方やコミュニケーションの取り方というものを学ばれたんじゃないかと思います。 私たちも教育システムの違う先生方とプログラムを作っていくのはこういう難しさがあるのだとわかりました」

台北市立教育大学附属実験国民小学校様

HDコムの高い機能性

交流授業にHDコムが導入されたのは2011年11月のこと。 それ以前は、古いタイプのウェブカメラを使って授業の配信を行っていたが、カメラの前にいる子供の声しか拾うことができないため、まわりの子供たちの反応や教室の雰囲気までは伝わらなかったという。

「よいシステムはないかと探していたところにHDコムと出会い、これなら多くの子供たちの声を拾うことができると感じました。小さな囁きまでよく拾ってくれるので、かなり臨場感が得られると思います。 それに加え、教室で右に座っている子供たちの声は右から、左に座っている子供たちの声は左から聞こえてくるので、本当に1つの空間を共有して同じ授業を受けているような気持ちになれるのではないでしょうか。

そして音に負けず、映像もとてもきれいでした。教室全体を映し出す大画面や相手の表情までしっかりわかるクリアな映像は、子供の意識をひきつけるのにとても効果があると思います。 担任の先生や校長先生は、映像がきれいだったのは今回のプログラムが成功した理由のひとつだとおっしゃっていました」

佐藤久美子教授

ムービーカメラの下には児童たちの目線が合うように、ぬいぐるみが置かれている

さらに、映像の乱れや音の途切れを抑えて安定した接続をキープする機能を搭載している点もHDコムの魅力のひとつ。 これにより、子供たちの集中力が切れることなく、テンポよく授業を進めることができるのだ。

「家庭用のカメラをサブカメラとして使用できる点にも注目です。例えば、運動会を紹介する際に子供たちが裸足で走るシーンがあったのですが、台湾の子供たちが『どうして裸足で走るんですか?』と尋ねてきたんです。 すると子供たちが『芝生が大切だからです!』と答えたので、担任の先生がすぐにカメラを持って教室の外の芝生の様子を映して下さったんです。 本当にきれいに植え替えたばかりだったので、芝生を守りたかったんでしょうね(笑)。そういったことがすぐにできるのが素晴らしいと思います。

家で使い慣れている家庭用のビデオカメラがそのままつながりますし、リモコンもテレビ同様のかんたんな作りになっているので、子供たちでもかんたんに操作できるはず。 そう考えると、これからは、子供たちがカメラを持って教室の中だけではなくて町へでることも可能だと思うんですね。『僕たちが住んでいる町はこういうところです』とカメラを持って示すことができるようになると思いますよ」

クロスカリキュラムでさらに豊かな交流

佐藤久美子教授

HDコムの導入も含め、着実に進化を続けて可能性を拡げている町田市の国際交流授業。この授業がもたらす効果と今後の展開について佐藤教授に尋ねてみた。

「本当は離れているはずなのですが、『どこでもドア』のような形でその場にいるような気持ちになれる点では、HDコムの存在はこのカリキュラムにとって大きな意味があったと思います。 あちらの先生が質問してこちらの子供が答える、逆にこちらの先生が質問してあちらの子供が答えるということは、いわゆる“インタラクションがとれる”ということですよね。 一方的に情報を流すのではなくて、お互いにコミュニケーションがとりあえるということは大きいと思います。

また、言葉というのは知識として習うのではなくて、繰り返し練習することで専門用語でいう“手続き的知識”が身につくんですね。 例えば100回泳ぎ方の話を聞いても泳げるようにならないですね。こういった知識は”宣言的知識”といってあくまでも知識なんですね。 でも実際に使わないと身に付かないのが”手続き的知識”なんです。HDコムを使った国際交流の授業は、これが自発的にできるというのが魅力なんです。 一言英語を話すだけでこれが通じるのだと実体験でわかると、積極的に繰り返して自発的にいい発音になるように努力すると思うんです。 教えられるのではなくて、子供が自ら使うことによって英語の力が付いてくるし、コミュニケーションをしようという態度の育成にもつながると考えています。

今後という点では、これまでお正月や運動会といったイベントの紹介をしていましたが、これからは算数や理科といった普通の授業を英語で行って他の国と共有するといったことも面白いのではないかと考えています。 お互いの国の授業の進め方を学ぶ中に、英語のサポートを少しだけ入れてあげるんです。 これを“クロスカリキュラム”というのですが、1つの科目の学習だけに終わらせず、さまざまな科目を英語というサポートを通して学んでいくんですね。 台湾の先生が授業をして、日本の子供たちが受ける。逆に日本の先生がしている授業を、台湾の子供たちが受ける。 2つの場所で同じ授業を受け、お互いに手をあげて答え合う……そんな、少し前なら夢のようなお話がHDコムという1つの装置が増えることで可能になったんです。 私たちは、このような教育の形の変化・前進にとても期待しているんです。

現在、町田市立南大谷小学校では月2回のペースでHDコムを使用した授業を行っていますが、国際教育が標準化されたら他の自治体や小学校でも取り入れるようになると思います。 “体験的”というニーズはあるけれど、外国に行ける子は限られている。普通の子が異文化交流を体験できるという意味でこのプログラムにとても魅力をかんじていますし、だからこそやる意義があると思っています。

今回のプロジェクトは、地域と大学、企業がお互いに連携して推進する大変良い例となったのではと思います


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