西日本旅客鉄道株式会社様 六甲道駅

車掌用ホームモニタ
車掌の視界を補い、乗降客の安全確保に貢献する、高輝度映像で耐候性・堅牢性に優れた、屋外サイネージ液晶ディスプレイ。

導入の経緯

「ホーム柵」の設置に伴いディスプレイを導入

西日本旅客鉄道株式会社(以下JR西日本)様では、現在開発中の乗降客の安全性を確保する「昇降式ホーム柵」の実用化に向けて、同社六甲道駅において2014年12月より試行運用を実施しております。
これにともない、車掌がドア開閉操作をする際の安全確認用として、駅のホームに「車掌用ホームモニタ」の導入を決定。映像表示装置として、屋外での耐候性・堅牢性に優れた当社製47V型屋外サイネージ液晶ディスプレイTH-47LFX60Jを採用いただきました。

 

屋外設置用の高輝度ディスプレイが安全な列車運行をサポート

駅のホームに設置した「昇降式ホーム柵」(右上写真・赤色矢印)が、列車の到着時にドアが開く度に上昇するため、車掌が前方の乗降状況を確認する際に視界が悪くなってしまいます。そのためJR西日本様では、ホームの各乗車位置付近にカメラを設置してディスプレイに表示し、車掌が安全を確認できる「車掌用ホームモニタ」を導入することを決定。
当初、映像表示装置には屋外設置用ハウジングを取り付けた42V型程度のディスプレイを使用する予定でしたが、ディスプレイとハウジングを合わせると質量100kgを超える、非常に大きく重たいものになってしまうという課題がありました。
そういったなか弊社の展示会でTH-47LFX60Jをご覧になり、強い日射しの屋外環境でも使用できる点に強い関心をいただき、後日、実機を用いてさまざまなテストを実施。その結果

  • 高輝度2000cd/㎡の実現により、画面に西日や直射日光があたる環境下でも、視認性の高い映像を表示。
  • IP55相当の高い防塵・防水性能で、ハウジングなしで屋外に設置して運用が可能。
  • ハウジングが不要になることで、装置の大幅な小型・軽量化を実現できるため、施工が容易になる。


といったポイントを高く評価いただき、2014年11月より、実地で試験的な運用をされた後、合計4台を六甲道駅に採用いただきました。

写真:ホームの屋根に吊り下げられた「車掌用ホームモニタ」(写真左上)。ハウジングなどが不要のため、コンパクトなサイズとなり、利用客の頭上高を充分に確保。圧迫感なく設置されている
ホームの屋根に吊り下げられた「車掌用ホームモニタ」(写真左上)。ハウジングなどが不要のため、コンパクトなサイズとなり、利用客の頭上高を充分に確保。圧迫感なく設置されている。

システムの紹介

屋外への設置を容易にする堅牢なディスプレイ

これまで駅のホームにディスプレイを設置する条件として、

  • ホコリや雨・雪などの侵入を防ぐ、防塵・防水性の確保
  • ディスプレイ前面に画面保護用のガラスを追加
  • 太陽光を遮り、映像の視認性を確保する、大きな庇を装着

といった必要条件を満たす、巨大なハウジングが必要となり、42V型ディスプレイに取り付けると、合計100kgを超えるものになりました。そのため、ホームの屋根への吊り下げ設置が難しく、新たに柱を増設して設置する必要がありました。
今回採用いただいたTH-47LFX60Jは、本体のみで高い防塵・防水性を確保。また高輝度液晶パネルの採用で、画面に西日や直射日光があたっても視認性の高い映像を表示。庇が不要となりました。さらに、本体重量を約47kgに抑えているため、屋根への吊り下げ設置が可能となり、大幅な施工の省力化も実現しました。

 

従来のディスプレイと、新導入TH-47LFX60Jとの比較

写真:従来のディスプレイ(左側)は巨大なハウジングと太陽光を遮断する大きな庇で、防塵・防水性・視認性を確保。TH-47LFX60J(右側)は本体のまま設置しても充分な防塵・防水性・視認性を確保している
従来のディスプレイ(左側)は巨大なハウジングと太陽光を遮断する大きな庇で、防塵・防水性・視認性を確保。TH-47LFX60J(右側)は本体のまま設置しても充分な防塵・防水性・視認性を確保している。
写真:後方から見たTH-47LFX60J。50kgを切る本体質量で、屋根に吊り下げ設置可能。施工が大幅に省力化できる
後方から見たTH-47LFX60J。50kgを切る本体質量で、屋根に吊り下げ設置可能。施工が大幅に省力化できる。

ホーム柵の昇降動作と車掌の視界との関係

写真:列車の到着時点、ドアが閉まっているときには、ホーム柵は降下している
列車の到着時点、ドアが閉まっているときには、ホーム柵は降下している。
写真:ドアを開くとホーム柵(赤色矢印)が上昇。これにより、列車後方の車掌からは視界が悪く、直視だけでは安全確認が難しい
ドアを開くとホーム柵(赤色矢印)が上昇。これにより、列車後方の車掌からは視界が悪く、直視だけでは安全確認が難しい。

乗降客の安全を確認する「車掌用ホームモニタ」

ホーム柵昇降時の安全を確認する「車掌用ホームモニタ」は、映像表示に遅延が生じると安全性が失われるため、時間誤差のないアナログ映像で運用しています。
最大12両編成の列車が停車する六甲道駅は、6台のカメラをホームに設置。カメラ1台で2両分の乗降口付近を撮影し、映像を画面合成器に送信。6台のカメラ映像を1画面に合成処理してディスプレイに出力します(一部のディスプレイには4台のカメラ映像を表示)。ディスプレイは4台導入され、ホームの列車停車位置に合わせて設置。車掌がドアの開閉操作を行う際に安全を確認します。 ※2015年2月現在
TH-47LFX60Jは24時間連続稼働に対応しているため、六甲道駅では常時電源を投入して運用。電源操作による万一の故障発生リスクを回避しています。

写真:「車掌用ホームモニタ」を列車の停止位置に合わせて設置。設置位置によって、12両分の映像を表示する6分割表示(左写真)と、8両分を表示する4分割(右写真)を使い分けている ※2015年2月現在
「車掌用ホームモニタ」を列車の停止位置に合わせて設置。設置位置によって、12両分の映像を表示する6分割表示(左写真)と、8両分を表示する4分割(右写真)を使い分けている。 ※2015年2月現在
車掌用オームモニタの設置場所の全体図

導入を終えて

ハウジングを排したホーム設置の確認用モニタは、視認性の高い映像と施工の大幅な省力化で大好評

高輝度ディスプレイを採用した「車掌用ホームモニタ」の鮮明な映像は、車掌からも「視認性が高く、ハッキリと見える」と高評価をいただいています。
担当課長髙月様からは「『車掌用ホームモニタ』は列車運行に関わる設備ですので、どんな環境でも車掌が映像を確認しやすいことに加えて、故障を最小限に抑える耐久性と、お客様への安全性が絶対に必要な条件です。そのうえで、今回、ハウジングを排除して小型・軽量化できたことは、施工の省力化はもちろん、長期間運用した際の経年劣化の減少も見込める、非常に大きな効果があるものです。」と導入を総括するコメントをいただきました。

写真:西日本旅客鉄道株式会社 近畿統括本部 電気課(通信) 担当課長 髙月真明 様(写真左) 吉谷公志 様(写真右)
西日本旅客鉄道株式会社
近畿統括本部 電気課(通信)
担当課長 髙月真明 様(写真左)
吉谷公志 様(写真右)

主な納入機器 ソリューション

  • 屋外サイネージ TH-47LFX60J