鳥取市様
課題
災害対策本部と離れた総合支所をつなぐ遠隔コミュニケーションの手段を確立したい。
解決策
HDコムで複数の防災拠点間の円滑な遠隔コミュニケーションを実現。平常時は会議システムとしても活用され、移動時間とコストの削減に貢献。
災害時に、離れた防災拠点間の状況をリアルタイムに把握できるため、質の高い防災体制の構築につながりました。
背景
災害対策本部と総合支所の遠隔コミュニケーション手段を模索
2004年の市町村合併により9つの自治体が合併した鳥取市様は、現在広い面積を有しています。一般的に地震や台風などの大規模災害発生時は市役所本庁舎に災害対策本部が設けられますが、市の面積が広いため点在する8つの総合支所に旧自治体地域の防災機能を整えており、災害対策本部とその総合支所をつなぐ遠隔コミュニケーションの手段が必要でした。そこで、2019年に移転・新設された市役所本庁舎ではこれまで電話やメールを中心に行われていた拠点間の連絡手段を見直し、より迅速な災害情報の収集や意思決定、情報発信が行えるようビデオ会議システムの導入を検討されました。
導入した理由
災害発生時も安定した常時接続が可能なHDコムを評価
選定のポイントは災害発生時に災害対策本部と複数の総合支所を常時接続できることでした。防災関連の展示会や防災システムを導入している自治体を視察する中で、本体だけで複数の拠点間を常時接続できるHDコムに興味を持っていただきました。その後、拠点接続デモで優れた画質や音声、専用のリモコンでアドレス帳を開いて開始ボタンを押すだけで接続できる簡単な操作性を体験。さらに、災害時の通信帯域が制限された状況下で帯域推定機能(AV-QoS)により、映像や音声の途切れの少ない安定した接続が可能なことも評価され、最終的に市役所本庁舎の災害対策本部室と8つの総合支所に加え、病院や水道局など災害時の防災拠点を接続し、合計13拠点をつなぐシステムとしてHDコムを導入いただきました。
導入後の効果
会議室の状況をまるごと伝え、正確な情報共有が可能
災害発生時は市長と災害対応にあたる職員が常駐する災害対策本部室と各総合支所の会議室の様子を画面分割で大型モニターに常時映し出し、被害状況の報告や災害対応を行います。これまで避難勧告の情報や避難所の使用状況などを災害対策本部に報告する際、微妙なニュアンスまで伝えきれないことがありました。しかし、HDコムのビデオ会議は話し手の表情はもちろん、職員の出入りなど会議室の状況をそのまま伝えることができるので、電話やメールでは読み取れない正確な情報が共有できるようなりました。
会議のための移動をなくし災害時の判断スピードを向上、リスクの回避にも期待
災害時、総合支所の支部長は対策会議に参加するため、災害対策本部に移動することになっていました。しかし、現実的には支部長が現場の最高責任者になるため、会議で総合支所から離れることは難しいと想定されます。危機管理部の松本様は「HDコムの導入で支部長が総合支所から離れることなく、災害対策本部と連携ができるようになり、現場の判断スピードが向上することを期待しています。さらに、災害時は移動中にがけ崩れや倒木などに巻き込まれてしまうリスクもあるため、職員の安全も確保できることは大きなメリットです」と語ります。
平常時の会議でもHDコムを活用し、職員の移動時間とコストの削減に貢献
HDコムは災害対策以外にも、遠隔コミュニケーションツールとして活躍しています。毎月行われる幹部会議は、これまで総合支所の職員が市役所本庁舎に集まり政策を報告していました。しかし、最も離れた総合支所の職員は参加するために約30キロメートルも車で移動する必要があり、それだけで半日以上拘束されていました。以前からビデオ会議システムを導入していましたが、双方で発言すると音声が聞き取れず、会議が成立しないため、物理的に本庁舎に集らなければなりませんでした。HDコムは互いに発言しても音声が途切れることが少なく、実際に対面している会議と遜色ないと高評価です。毎月幹部会議のたびに各総合支所から2~3名の職員が参加していましたが、HDコムの活用で移動時間とコストの大幅な削減に貢献しました。
システム構成図
納入機器
- HD映像コミュニケーションユニット KX-VC2000J × 2台
- HD映像コミュニケーションユニット KX-VC1300J × 11台
- HDコム専用カメラ GP-VD151J × 12台
- HDコム専用マイク KX-VCA001 × 12台
- デジタル入力レコーダー DMR-T4000R × 2台
- HDインテグレーテッドカメラ AW-HE70SK9 × 1台
- 55V 型マルチスクリーン対応液晶ディスプレイ TH-55LFV8J × 4台
- 55V 型フルハイビジョン液晶ディスプレイ TH-55LF80J × 4台
- 42V 型フルハイビジョン液晶ディスプレイ TH-42LF80J × 4台
- TOUGHPAD FZ-M1JAAAXVJ × 3台
- TOUGHPAD FZ-G1R3000VJ × 1台
- 屋外対応HDインテグレーテッドカメラ AW-HR140 × 1台
- HDネットワークカメラ BB-SW175A × 12台
- リモートカメラコントローラー AW-RP150GJ × 1台
- ネットワークディスクレコーダー WJ-NX300/8 × 1台
今後の展望
HDコムを活用した質の高い防災体制が災害に強いまちづくりに貢献
これまでは河川の増水や建物の倒壊など、一刻の猶予を争う事態も本部へ一度戻ってきて報告しなければならなかったのですが、HDコムの導入で素早い意思決定が可能になり、質の高い防災体制の構築につながりました。また、働き方改革が必要とされる中、遠隔コミュニケーションツールの需要は更に高まってくると考えています。今後、HDコムとWeb会議を連携する機能も視野に入れ、さまざまな自治体や企業との連携にも活用していきたいです。
主任 松本 圭一様
※所属は納入時のものです。
お客様紹介
防災拠点としての機能を備えた新庁舎を11月5日に全面開庁
令和元年、鳥取市様は市制施行から130周年を迎えました。市役所本庁舎の移転・整備が進められ、同年11月5日に全面開庁しました。本庁舎は市民サービスや賑わい創出の拠点としてはもちろん、防災拠点としての機能も果たしていきます。