写真:ライブ配信用撮影システム
写真:ライブ配信用撮影システム

パナソニック映像株式会社様

ライブ配信用撮影システム
IPを活用したコンパクトな撮影システムで、ハイクオリティなライブ配信撮影を実現。

課題

高い操作性を備えながらコンパクトな撮影システムを構築しカメラ映像の明暗や色味をしっかり調整したい。またタリーを用いて効率的なカメラワークを実現したい。

解決策

ライブ撮影に必要な各機能をIPで制御することにより、コンパクトな撮影システムを構築。

IPの活用によって、このコンパクトさからは想像できないハイクオリティなライブ映像が撮影できました。

パナソニック映像株式会社 テクニカルグループ 撮影チーム 貝谷 慎一様

背景

人気お笑いトリオ 東京03の単独公演をライブ配信

2020年9月3日(木)から4日間にわたり、第22回東京03単独公演「ヤな塩梅」が都内で行われました。今回の公演は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、感染症拡大防止対策を徹底しながら来場者数を限定して開催。来場できなかったお客様に向けて6日(日)の昼公演、夜公演のインターネットライブ配信も実施しました。配信用映像の撮影システムには多数のパナソニックの映像機器が活用され、パナソニック映像株式会社様が撮影を担当しました。


採用した理由

安定した運用と高い映像クオリティを実現するコンパクトなライブ撮影システム

舞台公演の模様をライブで配信するイベントであることから、照明などの演出による映像の明暗や色味の調整もリアルタイムで行う必要がありました。そのため、本来であれば放送局の中継設備に匹敵する、大規模なシステムを構築しなければなりませんでした。しかし、今回活用されたメモリーカード・カメラレコーダーAG-CX350、4KインテグレーテッドカメラAW-UE150W/K、ライブスイッチャーAV-UHS500、リモートカメラコントローラーAW-RP150GJは機器同士の連携により、ライブ撮影に必要な各機能の制御をIPで行うことが可能です。また、撮影用カメラの一部にリモートカメラを採用することで、ホール内のカメラマンの数を抑え感染リスクの低減にも貢献します。安定したライブ配信撮影用システムをコンパクトに、感染症の拡大防止に配慮しながら構築できることが、採用の大きなポイントになりました。

写真:撮影用カメラ
今回の撮影に使用されたカメラ

採用による効果

IPを活用したシンプルなシステム構成

ホール内の撮影ではAG-CX350 4台とAW-UE150W/K 2台の2種類のカメラが活躍。通常は各カメラのタリー表示やスイッチャーのAUXバスの制御には、それぞれ専用のシステムを構築する必要があります。しかし今回のシステムではAV-UHS500とAW-RP150GJの連携により、機器や配線を追加することなくIPによって制御することが可能です。ライブ配信映像の撮影を担当された、パナソニック映像株式会社の貝谷慎一様は「会場の構造上、ケーブルを渡す距離が約200 mあったのですが、映像信号以外の伝送や各種制御をIPで行ったため大幅な省線化を図ることができました。特に、カメラ側と制御側のPoE HUBをLANケーブル1本で繋ぐことができたため、設営が非常に簡単でした」と語ります。

各機器の連携によるハイクオリティな舞台映像撮影

今回のライブ配信では映像のスイッチングにAV-UHS500、カメラ制御にAW-RP150GJ 2台が採用されました。AW-RP150GJは1台をAW-UE150W/Kのパン・チルト・ズームコントロール用、もう1台をホール内に設置したカメラ全6台分の映像を調整するVE(ビデオエンジニア)用として使用。VEが全てのカメラの映像をまとめて調整することで、統一感のある画作りを実現しました。また、AW-RP150GJからAV-UHS500のAUXバスをリモート制御することで、VEモニターに出力するカメラ映像の切り替えをAW-RP150GJから行うことが可能です。貝谷様は「舞台照明をふんだんに使用する公演だったので、映像の明暗や色をしっかり調整する必要があったのですが、AW-RP150GJから全てのカメラ映像の調整ができたため、とてもクオリティの高い画作りができました。VEモニターの映像切り替えが同じコントローラーからできたので、幕間の短時間での設定変更も非常にスムーズでした」と語ります。

タリー表示対応により多彩なカメラワークを実現

複数台のカメラを用いるライブ撮影では、どのカメラがオンエア中なのかを示すタリー表示が重要になります。今回の撮影ではAV-UHS500のタリー情報をIPで伝送し、AG-CX350とAW-UE150W/Kのタリー表示を制御。カメラマンは自分のカメラ映像が配信中かどうかをタリー表示からひと目で把握できるため、タリーが赤く表示されている配信中は安定した映像を撮り、タリーが消えている間に別のショットへ移動するなど、1台のカメラで様々な画を撮る効率的な運用を行うことができました。


写真:撮影用カメラ
ホール中央にはAG-CX350 2台とAW-UE150K 1台を配置。AW-UE150W/Kの広角撮影を生かして舞台の端から端まで捉えることが可能。
写真:撮影ベースの様子
本番中の撮影ベースの様子。手前からAV-UHS500、AW-RP150GJ(AW-UE150W/Kコントロール用)、AW-RP150GJ(VE用)。
写真:映像のスイッチングを行うAV-UHS500
映像のスイッチングを行うAV-UHS500。
写真:映像の調整を行う機材
VE用のAW-RP150GJ。ホール内のAG-CX350 4台、AW-UE150W/K 2台全ての映像の明暗や色の調整を行う。

各カメラのタリー表示

写真:AG-CX350:タリー赤色(PGM)

AG-CX350:タリー赤色(PGM)

写真:AG-CX350:タリー緑色(PVW)

AG-CX350:タリー緑色(PVW)


写真:AW-UE150K:タリー赤色(PGM)

AW-UE150K:タリー赤色(PGM)

写真:AW-UE150K:タリー緑色(PVW)

AW-UE150K:タリー緑色(PVW)


システム構成と各機器の配置

システム構成と各機器の配置

採用機器

  • メモリーカード・カメラレコーダー:AG-CX350×4台
  • 4Kインテグレーテッドカメラ:AW-UE150W/K×2台
  • ライブスイッチャー:AV-UHS500×1台
  • リモートカメラコントローラー:AW-RP150GJ×2台

今後の展望

IPをベースにした映像制作に積極的に取り組んでいきたい

ライブ映像の撮影を担当することが決まったのが7月中旬だったため、比較的短期間で機器の選定、準備を行いました。準備期間は少なかったのですが、とても信頼性の高いシステムだったため、安心して本番の撮影に取り組むことができました。今回はIP制御をベースにして省線化を図りつつ、映像は同軸ケーブルで伝送するシステム構成でしたが、今後は映像伝送も各種制御もIP経由で行うようなシステムにも挑戦していきたいです。

写真:貝谷 慎一様
パナソニック映像株式会社 テクニカルグループ 撮影チーム 貝谷 慎一様
※所属は採用時のものです。

お客様紹介

第22回 東京03単独公演「ヤな塩梅」

東京03は2004年からほぼ毎年、ホールでの単独公演を行っています。22回目の今年は全国20会場での公演を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、東京、大阪の2会場のみの開催となりました。しかし、「こんな時だからこそ全国のファンにライブを見てもらいたい」という思いから、東京03の公演では初の試みとなるライブ配信、アーカイブによる見逃し配信を実施。会場に足を運ぶことができないファンにも配慮した公演になりました。
■ 東京03 プロフィール http://p-jinriki.com/talent/tokyo03/

画像:東京03単独公演「ヤな塩梅」タイトルロゴ
第22回 東京03単独公演「ヤな塩梅」タイトルロゴ

納入事例:パナソニック映像株式会社様

関連機器・サービス

製品写真:AG-CX350

メモリーカード・カメラレコーダー AG-CX350

4K/HDR/10bit収録に応える1.0型ハイエンド・ハンドヘルド。IP(NDI|HX)接続、RTMPストリーミングに対応。


製品写真:AW-UE150W/K

4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE150W/K

4K/60p出力対応。高倍率ズームと広角撮影により、柔軟な映像制作を実現するリモートカメラ。


製品写真:AV-UHS500

ライブスイッチャー AV-UHS500

コンパクトなボディでハイエンドな4K映像制作を実現するライブスイッチャー。


製品写真:AW-RP150GJ

リモートカメラコントローラー AW-RP150GJ

大型タッチパネルによる操作性と、新型ジョイスティックによる優れた運用性を備えたリモートカメラコントローラー。