日本薬科大学様
ご導入の背景
日本薬科大学様は、埼玉県の大宮駅から新都市交通ニューシャトル経由で約20分強という好立地にあり、「個性の伸展による人生練磨」を建学精神とされています。薬学という専門特化された教育において、広く人類の福祉・健康に貢献できる創造性にあふれた新しいタイプの医療に関わる人材養成に取り組まれています。
このたび、校舎内にある「木村孟淳記念 漢方資料館」の一部リニューアルに伴い、展示資料の訴求効果アップ、詳細情報提供を図るためLinkRayシステムを導入いただきました。
実物展示の重要性と資料館の構成
薬草の大半は生活の場の近くに植生しており、園芸植物や、ゴボウ、ショウガなどの食用品も多く含まれます。しかしながら、それらが薬剤の形となった姿を学生が見る機会はそれほど多くはありません。薬学を修める学生は、文献や写真から得られる知識だけでなく薬剤加工された姿を実際に目にすることが必要となります。すなわち「百聞は一見に如かず」という考えが非常に重要となります。同資料館は、一般的な漢方薬に加え、犀角や天然麝香のようないまや極めて入手しづらいものまで幅広く実物を見ることができる日本でも稀有な学術施設となっています。
同資料館では5つの展示ゾーンから構成されています。
- ゾーン1 学生の勉強のためにいつも実物を見ることができる。主な12の処方別展示
- ゾーン2 漢方の歴史。14分類の展示ケース【展示ケース型LinkRayを設置】
- ゾーン3 漢方に使われる生薬を約700点展示
- ゾーン4 漢方の周辺の科学。微量天秤(通称:毒薬天秤)など門外漢でも興味深い展示が並ぶ
- ゾーン5 上映コーナー【パナソニック製プロジェクターをご活用】
LinkRay活用の様子
LinkRay(光ID)は、LED光にスマートフォンのカメラをかざすだけで情報を瞬時に受信し、詳細な説明資料を表示することができる技術です。これにより、館内の展示物の詳細情報を大勢の見学者の方に提供できるようになっています。
同資料館では14分類の展示ケースから成る「漢方の歴史」ゾーンにLinkRayを設置。貴重な文献や昔の薬品精製の道具など、資料を明るく照らしながら、同時に詳細説明の情報が発信されています。学内研究者、学生、国内外から訪れる専門家のみならず、学園祭などでは地域住⺠の方々の見学も受け入れており、薬学への理解促進のために役立っています。
展示ケースには、展示物の説明は最小限に留められており、資料館全体が持つ厳粛な雰囲気を崩さないようなデザイン的配慮がなされています。また、説明書きが無いことによって「これはいったい何だろう?」という好奇心を抱かせ、スマートフォンに表示される詳細な説明によって「なるほどそうなのか」という満足感につながります。この、自分で調べる一連の動作によって、薬学への興味を呼び起こす効果も期待できるところです。
■日本薬科大学HP(http://www.nihonyakka.jp/)
■LinkRayサイト(https://panasonic.biz/cns/LinkRay/)
お客様の声
木村孟淳記念 漢方資料館館⻑
船山信次教授
この漢方資料館は、学生が本物の漢方関連資料を見たり触ったりすることができる日本でも数少ない学術資料施設です。本校の学生ならばいつでも自由に薬剤の実物に接することができますので、生きた知識の習得に大いに役立っています。今のところ展示棚の陳列をガラス越しにみるだけなのですが、今後、その横にテーブルを設置し、いつでも実物に触れて体感できるようにすることも検討しています。
また、最先端の薬学だけではなく、江戸時代から脈々と続く先人達の工夫や、優れた学者が残した業績に触れることにより、薬学への深い理解を得ることも目指しています。本学の名誉学⻑である木村孟淳先生から寄贈を受けた歴史的に貴重な研究機材も陳列していますが、実はここに置いてあるものは収集品のほんの一部です。私もどこかへ出かけるたびに何か展示するものはないかと探索しており、今後もさらに充実させていくつもりです。
これらの展示品は光に弱いものもあるためLED照明に取り替えることになったのですが、そこで、大学におけるこのような施設としては本邦初というLinkRayの提案を受けました。明るい照明への変更と、情報発信強化が同時にできたことは良かったと感じています。LinkRayという情報発信の新しい形態が、薬学への幅広い興味に役立つことを期待しています。
(木村孟淳記念 漢方資料館館⻑)
主な納入機器 ソリューション
- LinkRay固定変調機 NTN70101/NTN70201×14台
- プロジェクター装置 PT-RZ570JW×1台