写真:タフパッドを使用して、入荷検品作業を行っている様子。
写真:タフパッドを使用して、入荷検品作業を行っている様子。

株式会社ニチレイロジグループ本社様

入庫検品・ピッキングシステム
庫内管理業務のタブレット化で煩雑な物流現場をスマートに。

課題

物流業界で深刻化する人手不足に対応するため、冷蔵・冷凍庫内業務、事務所業務の効率化が急務であった。

解決策

「業務革新」の取り組みとして、庫内管理業務のペーパーレス化を計画。手始めに入荷検品・ピッキング作業を改善するため、気温の低い冷蔵冷凍倉庫内でも使用でき、現場での作業に耐えうるタフさを持つ頑丈7型タブレット「タフパッド FZ-M1」を採用。

立ち上げから1年半の間に、40拠点で入荷検品作業にタブレットを導入することができました。昨年度末からは新機能の追加も進めていて、入庫から出庫まで、全工程のタブレット化に向けて着実に歩みを進めています。

株式会社ニチレイロジグループ本社
業務革新推進部長 北川 倫太郎様

背景

人手不足に対応するための「業務革新」

食品の低温物流事業で国内トップのシェアを誇る株式会社ニチレイロジグループ本社(以下、ニチレイロジグループ)は全国に115ヵ所の物流拠点を有します。その中で77ヵ所ある保管型物流センター(DC:ディストリビューションセンター)を中心に、2016年から業務革新に取り組んでいます。背景にあるのは、物流・ロジスティクス業界を取り巻く人手不足の問題。今後労働人口はますます減少し、熟練者が減少していくことを考えると、人手不足はさらに深刻になることが予想されます。業務の効率化による社員の負担軽減と、熟練者の経験と勘に頼らない業務の標準化を行う必要がありました。その業務革新の重要なキーワードとなったのが、「ペーパーレス化」です。ニチレイロジグループでは従来、全国の事業所で1日約22万5,000枚もの紙が使われていました。ニチレイロジグループ本社 業務革新推進部長の北川様は、「人が紙に仕事させられているような状況だった」と振り返ります。紙を使った管理手法は手作業が介在するため、人的ミスが発生しやすいだけでなく、紙を保管する手間や印刷コストなどの負荷が大きな課題でした。そこで業務の効率化をめざすため、タブレット端末を導入することに。まずは、ニチレイロジグループの拠点の中でも保管能力が最大の船橋DCにて、タブレット端末の試験導入を進めることになりました。

写真:船橋ディストリビューションセンター外観。
ニチレイロジグループの中でも保管能力が最大規模の船橋DC。

導入した理由

紙を使用する非効率な業務が課題

ペーパーレス化を進めるにあたり、まず着目したのは入荷検品とピッキングの2工程です。紙を使った作業によりかかっていた負荷について、北川様はこうおっしゃいます。「入荷検品においては、事務所で出力した申込書と入庫タグを現場スタッフが現場へ持っていき、荷物の確認を終えたら賞味期限などを申込書に書き込み、該当する入庫タグを探してケースに貼る。この一連の作業が終わったら申込書を事務所に持ち帰り、事務所スタッフがPCに入力して計上が完了するという工程でした」。このやり方では途中で紙を紛失するリスクがあるだけでなく、記入モレや間違いが発生しやすい状況でした。記入された内容に間違いがあると出庫の際に照合をやり直さなければならず、事務所スタッフが現場に出向き確認をする事態が多発していました。またピッキングにおいては、紙のピッキングリストを参照して商品のある場所を探し、必要個数などの情報を元にピックアップをしていました。
その際、目視で作業を行うため数量や品名を間違えてしまうリスクがあり、出荷の内容を誤ってしまったり、在庫数にズレを発生させてしまう可能性がありました。さらに、紙資料は種類によって保管期間が決まっており、保管場所の確保や破棄の手間も、社員の業務を妨げる一因だったのです。

低温環境下での作業に対応できるタフな端末を

船橋DCでは入荷検品・ピッキング作業のペーパーレス化に取り組むため、同作業に使用するタブレット端末を導入することに。まず検討のポイントになったのは、低温の倉庫内の作業にも対応できる耐環境性能と頑丈さです。ニチレイロジグループ本社 技術情報企画部の中島様は検討のポイントについて、こう語ります。
「タフパッドは-10℃まで対応できるということで、冷蔵・冷凍倉庫という特殊な環境でも安心だと思いました。また現場スタッフは分厚い手袋をして作業するため、手を滑らせて機器を落としてしまうリスクもあります。落下による故障を気にせずに使える頑丈さは必須でした」。そこで-10℃までの低温環境で問題なく使用でき、さらに頑丈性設計のタフパッド FZ-M1の採用を検討しました。


システム概要

庫内作業のスマート化を実現

船橋DCでは2017年10月から全40台の導入を開始しました。現場スタッフが一人一台タフパッドを持ち、入荷検品・ピッキング作業に使用します。入荷検品においては、商品ケースに記載されているバーコードをスキャナで読み取ると、タフパッドに入庫番号や品名などの情報が表示されます。数量や賞味期限など目視が必要な項目のみ、ケース上の情報を確認しながらタフパッド上にタッチペンで入力します。完了したら「OK」ボタンを押し、腰に下げたプリンタから出力される入庫タグをケースに貼り付けます。最後にケース横の賞味期限を撮影すると、事務所にも画像データが共有されるので、内容に相違があったときに事務所スタッフはPC上で情報を確認できます。ピッキングにおいては、タフパッド上にピッキングする商品の指示と所在場所が表示されます。現場スタッフはその内容を元に移動し、数量と残数を確認。入荷時に貼られたバーコードをスキャンするとデータが照合され、正しい商品をピッキングしていれば確定ボタンが表示されます。それを押すとまた次の商品が表示されるという流れです。

タブレットに慣れていない現場スタッフにもストレスのない操作性

このフローを実現するために、端末に求められたのは「操作性」でした。システムの開発を担った中島様は、こう振り返ります。「グループの中では、ハンディターミナルを用いて入荷検品・在庫計上する方法を採用していた拠点もありました。しかし画面が小さいため表示できる情報に限りがあり、紙と併用する必要がありました。ペーパーレス化に移行するにあたり、表示領域の大きなデバイスは必須でしたね」。5インチ、7インチ、10インチを現場で試したところ、作業に支障のない重量で、かつ画面が見やすい7インチが好評だったといいます。そこで、7型コンパクトボディのFZ-M1の導入を決定。Windows10搭載であり、既存の基幹システムと連携できることも大きなポイントでした。

写真:入荷検品している作業員の様子。手に持ったスキャナで箱のバーコードを読み取り首から掛けたタフパッドで商品情報を確認し、腰元にベルトで巻いたプリンタからシールを出す。
現場スタッフは首からタフパッドを掛け、指にスキャナ、腰にプリンタを装着して入荷検品作業をします。
写真:箱に記載されたバーコードをスキャナで読み取ると、タフパッドに商品情報が表示される。タッチペン使用し数量など必要事項を入力。
バーコードをスキャナで読み取ると、商品情報が画面に表示されます。ケース上の情報を確認しながら、数量や賞味期限をタッチペンで入力。
写真:腰元に巻いたプリンタから入力した商品の入庫タグを出力している様子。
全ての入力を終え「OK」ボタンを押すと、腰に装着したプリンタから入庫タグが出力されます。
写真:商品のケース側面に記載された賞味期限をタフパッドにて撮影している様子。
入荷検品作業が終わったら、ケース横の賞味期限を撮影。事務所にも画像データが共有されます。

導入後の効果

効率化と、安全な作業環境の実現

タフパッドの導入により、現場スタッフが紙に振り回される時間が格段に減ったと株式会社ロジスティクス・ネットワーク 船橋物流センターの千葉様はおっしゃいます。「これまでは検品の際、紙に情報を手書きした後、商品タグを大量の紙の中から探し出し、貼り……という工程が必要で、それだけで時間がかかっていました」。
バーコードをスキャンすることで簡単に入力でき、タグを作成できることは大変な時間短縮になったそうです。また船橋物流センター 冷蔵チームの有里様は、さらなる効果を期待されています。「現場スタッフはヘルメットを被り危険の伴う環境で作業するので、少しでもストレスを減らすことが重要です。タフパッドによる効率化で日々の作業が少しでも楽になれば安心して働けるようになり、物流センター全体の安全につながると思うのです」。タフパッド導入によるペーパーレス化は、作業の効率化だけでなく安心・安全な職場環境にも繋がっていきます。

事務所スタッフの負担も大幅に軽減

さらに船橋物流センター副所長の梅戸様は、タフパッドの導入により、事務所スタッフの作業効率も格段に上がったとおっしゃいます。「これまでは現場スタッフが持ってくる用紙を次々とPCに打ち込んで処理し、間違いがあったら現場に走って内容を確認して……と、バタバタでした」。それらがPC上で確認できるようになったことで、現場へ行く必要がなくなり、作業が格段に効率化されました。そして、この業務のスマート化は採用の面でも大きな意味をなすと梅戸様は期待します。「これまでは事務所作業と言っても一日に何度も現場に行く必要があり、体力勝負のハードな仕事というイメージが拭えませんでした。しかしタブレット化により全ての確認が画面上で完結するようになったので、デスクワークが中心になりました。これは、若手社員を確保したい弊社の採用においても大きな意味があります」。


納入機器

頑丈7型タブレット タフパッド FZ-M1


今後の展望

すべての拠点で、庫内のフルペーパーレス化の実現を目指す

業務革新のためのタブレット化は順調に推移していると、北川様はおっしゃいます。「立ち上げから1年半の間に、40拠点で入荷検品作業にタブレットを導入することができました。昨年度末からは新機能の追加も進めていて、入庫から出庫まで、全工程のタブレット化に向けて着実に歩みを進めています」。すでに新設の那覇新港物流センターでは全工程のタブレット化を実施しており、今後は全国の拠点に展開予定です。タフパッド導入による業務のスマート化で、ニチレイロジグループの業務革新はますます加速していきます。

※本製品の耐衝撃・耐振動・防塵・防滴・耐環境性能は、無破損・無故障を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。


お客様紹介

人物写真:株式会社ニチレイロジグループ本社 業務革新推進部長 北川 倫太郎様
株式会社ニチレイロジグループ本社
業務革新推進部長 北川 倫太郎様
人物写真:株式会社ロジスティクス・ネットワーク 船橋物流センター 副所長 梅戸 宏一様
株式会社ロジスティクス・ネットワーク
船橋物流センター 副所長 梅戸 宏一様
株式会社ロジスティクス・ネットワーク 船橋物流センター マネジャー 千葉 勉 様
株式会社ロジスティクス・ネットワーク
船橋物流センター マネジャー 千葉 勉様
人物写真:株式会社ロジスティクス・ネットワーク  船橋物流センター 冷蔵チーム 有里 樹様
株式会社ロジスティクス・ネットワーク
船橋物流センター 冷蔵チーム 有里 樹様
人物写真:株式会社ニチレイロジグループ本社 技術情報企画部 マネジャー 中島 正孝様
株式会社ニチレイロジグループ本社
技術情報企画部 マネジャー 中島 正孝様

関連機器・サービス

製品画像:タフパッドFZ-M1

頑丈7型タブレット タフパッド FZ-M1

  • 150cm落下試験実施※、IP65準拠※の防塵・防滴性能を備えた小型ボディに、高性能CPUを搭載。
  • 第7世代インテル® Core i5搭載。Windows 10 Proで社内システムと連携が容易。
  • 様々な現場に応じて、内蔵オプションを追加可能。

※本製品の耐衝撃・耐振動・防塵・防滴・耐環境性能は、無破損・無故障を保証するものではありません。あらかじめご了承ください。