写真:放送センター内前列中央に配置されたメインの操作卓
写真:放送センター内前列中央に配置されたメインの操作卓

株式会社ジュピターテレコム様

IPバーチャル番組送出システム
システム全体のIP化により、全国7拠点の放送センターを2拠点に集約。万一の事態でも放送を継続できる冗長構成を実現し、設備の省スペース化、運用コストの削減も実現。

課題

災害時も放送を継続できるシステム構築。 専門技術者の減少による体制維持。

解決策

システム全体のIP化により全国7拠点を東西2拠点へ集約・冗長化を実現。東西2拠点へ集約したことにより、技術者の集約、効率化を実現。

東西2か所に放送センターを集約・冗長化したことで、万一、どちらかが使用できない状況になった場合も放送を継続できるようになりました。

株式会社ジュピターテレコム
技術企画本部 プラットフォーム企画部
アシスタントマネージャー 山本 陽二 様
※所属は取材時のものです。

背景

万一の災害時も放送を継続できる強固な体制づくりを検討

株式会社ジュピターテレコム様は、ケーブルテレビやインターネットを始め、地域住民の暮らしを支える様々なサービスを全国の5大都市エリアで展開し、エリア限定のJ:COMチャンネルと全エリアに向けたJ:COMテレビのふたつのコミュニティチャンネルを放送しています。特にJ:COMチャンネルは地域に根差したイベントや行政情報などはもちろん、安心・安全に役立つ防災情報なども放送されます。そのため、万一、サービス提供エリアに災害などが発生した際も、地域住民のために放送を継続できる強固な体制づくりの検討をされていました。


導入した理由

放送の継続を目的に、システム全体をIP化するプラットフォームを構築

これまでは、全国のコミュニティチャンネルの送出を各地域7か所の放送センターで行っていましたが、関東と関西の2か所に集約し、冗長化するシステムが必要とされていました。全国での冗長化は初めての取り組みであったため、実現のためにシステム全体のIP化、仮想化技術を用いた番組送出システム(IPバーチャル番組送出システム)を採用し設備・拠点の集約と冗長化を図りました。技術企画本部プラットフォーム企画部アシスタントマネージャーの山本陽二様は、「本システムの導入により、万一、片方の放送センターが使用できない状態になった場合も、もう一方の放送センターから放送を継続できるようになったことで、地域住民の方への情報提供をストップせずにできるようになった」と語ります。


導入後の効果

東西2か所で冗長化されたIPバーチャル番組送出システム

東西2か所の放送センターはシステム全体をIP化し、IPバーチャル番組送出システムを導入。ファイル素材とLINE素材のスイッチングや音声多重制御、ロゴ挿入、L字画面合成、字幕文字スーパーの処理を仮想化システムで行うことができます。東西どちらの拠点も日常の作業フローが同じなので、万一の災害時、円滑に放送を継続することができます。また拠点を2か所に集約したことで、スタッフの教育も集中して行えるようになり、技術力の向上へも貢献しています。さらに、エリアによっては送出するスタッフが番組の制作業務も担うこともあり、負担が大きくなっていましたが、放送センターの集約化により、業務も効率化しました。山本陽二様は、「IP化による冗長化は、システム面のみならず、人の面でも実現しています。放送業務は専門性が高いため、2拠点化することで人員のスキルもバックアップしている体制になりました」と評価しています。

IP化を実現したIP-MUXの新開発と統合監視システム

IPダイレクト入力に対応したMUX装置を開発し、放送本線においてベースバンドを使用しない運用を実現。83編成を24時間送出することができます。また異常箇所の限定が難しいIPシステムの運用状況を視覚的にとらえる監視システムを導入することで安定した運用を実現。山本陽二様は、「監視システムを含めたIPシステムの評価は非常に高いです。また、全国に放送エリアがあるので、パナソニックさんがそれを全てカバーできるサポート体制を持っていることも採用のポイントでした」と話します。


写真:全国の放送状況を確認するコミチャン送出監視「全国拠点」の画面
全国の放送状況を確認するコミチャン送出監視「全国拠点」の画面
写真:コミチャン送出監視「出力状態」画面で設備の状況をひと目で把握
コミチャン送出監視「出力状態」画面で設備の状況をひと目で把握
写真:メインの操作卓2卓、サブの操作卓6卓で 構成された放送センター。前方に全国の 送出状況を全て表示する画面を配置
メインの操作卓2卓、サブの操作卓6卓で構成された放送センター。前方に全国の送出状況を全て表示する画面を配置
写真:前列中央に配置されたメインの操作卓。 映像をインジェストしたら自動でファイル検 品も可能
前列中央に配置されたメインの操作卓。 映像をインジェストしたら自動でファイル検品も可能
写真:操作卓からビデオ会議システムHDコム を使用して放送センターを含む拠点間の コミュニケーションが可能
操作卓からビデオ会議システムHDコムを使用して放送センターを含む拠点間のコミュニケーションが可能
写真:仮想化技術の採用で、設置スペースは以前 に比べて約40%へ減らすことに成功
仮想化技術の採用で、設置スペースは以前に比べて約40%へ減らすことに成功
写真:1台で64CHの放送が可能なIPバーチャル 番組送出システムのブレードサーバー
1台で64CHの放送が可能なIPバーチャル番組送出システムのブレードサーバー
写真:7台のラックに収められた合計83台の IP-MUX装置
7台のラックに収められた合計83台のIP-MUX装置

システム構成図

写真:営放システム、ノンリニア編集機やスタジオ生放送などの制作拠点、地震や津波情報などのコンテンツプロバイダ、 自治体情報やCATV局からのお知らせなどの情報が全てIPバーチャル番組送出システムに集約される。 そこから、HEを経由して地上デジタル放送とSTBチャンネル向け放送に分けて送出される。

導入システム

  • IPバーチャル番組送出システム ×一式
  • APC(自動番組制御装置) ×一式
  • IP-MUX装置 ×一式
  • IP-OFDM装置 ×一式
  • 統合監視システム ×一式

今後の展望

まだ走り出したところではありますが、外部環境の変化に合わせて、IPだから実現が容易なマルチデバイス配信や映像資産のアーカイブ化と活用など、よりお客様に喜んでいただけるサービスの可能性は常に考えています。また、システムとしてもこれからさらなるシステムの仮想化やサーバーを放送センターに置かないクラウドソリューションはもちろん、AIを活用したIP監視システムやIPセキュリティの高度化を行っていく必要があると考えています。パナソニックさんは時代に合わせたシステムを提案いただけるので、今後も期待しています。全国規模の放送を行わなければならないので、これから出てくる新しい考え方や、便利に使えるシステムは積極的に活用していきたいですね。

写真:株式会社ジュピターテレコム 技術企画本部 プラットフォーム企画部 アシスタントマネージャー 山本 陽二 様
株式会社ジュピターテレコム
技術企画本部 プラットフォーム企画部
マネージャー 渡部 誠司 様
アシスタントマネージャー 山本 陽二 様
※所属は取材時のものです。
(写真は山本陽二 様)

お客様紹介

日本最大のケーブルテレビ局統括運営会社として、ケーブルテレビ、インターネット、電話、モバイル、電力、ホームIoTサービスなどを展開。「お客さまの生活になくてはならない J:COM」を目指し、札幌、仙台、関東、関西、九州・山口エリアで、地域住民の暮らしを支えています。また、番組供給事業統括運営会社として、17の専門チャンネルに出資、運営を行い、ケーブルテレビ、衛星放送、IP マルチキャスト放送等へ番組供給などを行っています。

■ 本社所在地:東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館
■ URL:https://www.jcom.co.jp/

写真:放送センターは関東と関西の2拠点に集約。 設備投資や運用コストは約75%に軽減
放送センターは関東と関西の2拠点に集約。設備投資や運用コストは約75%に軽減