写真:北海道放送の編集室
写真:北海道放送の編集室

北海道放送株式会社様

ニュースOTCスタジオサブシステム/ファイルベースシステム
ファイルベースシステムと連携した円滑な報道番組づくりを実現。番組の進行・送出はOTCシステムを活用して安定運用。

課題

新社屋建設にともなう設備のリニューアルで、操作感はそのままに旧社屋で課題となっていた素材共有を円滑に行いたい。

解決策

ファイルベースシステムを軸にしたスタジオサブの設計で、取材した素材の管理から番組制作、進行、送出までを安定して運用。

実際のワークフローにあわせた細やかな設計がされていて、報道の業務が円滑化しました。

北海道放送株式会社 技術局 制作技術部 マネージャー 土田 保樹様

背景

取材した素材の管理から番組送出までを円滑に連携

旧社屋があった敷地に隣接する形で新社屋が建設され、2020年10月から稼働しています。その新社屋建設にあたり、これまでの運用で課題とされていたことを解決するシステムの構築が求められていました。中でもNサブで課題となっていたのが、取材して持ち帰った素材の管理でした。そこで、ファイルベースシステムの導入を検討。これまで使い慣れたニュースOTCスタジオサブシステムと連携するシステムが構築されました。ライブスイッチャーには豊富な素材の入力に耐えられる2ME+4DSKで組まれたAV-HS7300、ルーティングスイッチャーにはAV-WM7400(108×90で構築)、番組送出には簡単操作のOTCシステムが採用されました。


導入理由

トータルソリューションで報道番組づくりのワークフローを効率化

旧社屋で採用されていたスイッチャーとOTCがパナソニック製で、その使いやすさに定評があったこともあり、新社屋でもその後継機種がそれぞれ採用されました。システム選定で最も大切だったことは報道チームが使いやすいシステムになっていることで、それはつまり、使い慣れた環境をある程度踏襲したうえでさらに使いやすさを追求していく改善案でした。課題とされていた素材の管理に関しては、ファイルベースシステムの設計が評価されました。将来的な拡張なども見据えた、スタジオサブシステム全体としての円滑な連携が求められる中、ひとつひとつのシステムとしてはもちろん、一気通貫したトータルソリューションとして構築される提案が大きな評価につながりました。


導入後の効果

豊富な入力数を備えたライブスイッチャーAV-HS7300で、取材で準備した様々な番組素材を活用

Nサブでは主に定時のニュースが送出されています。検討当初は一回り小型のライブスイッチャーAV-HS6000が検討されました。しかし、北海道放送株式会社様はソースを非常に多く準備しておくスタイルをとっていることもあり、入力数が不足することが想定されたためAV-HS7300の採用となりました。また、“ライブスイッチャー“として開発された同システムは、万一災害が起こった際の突発的なニュースの初動対応や、選挙特番のようなマニュアル運用が必要な状況下であっても、ショットメモリーやキーヤーなど階層構造が分かりやすく、素早い対応が可能になっています。技術局 設備計画部 兼 制作技術部マネージャー酒井善則様は、「入力数が豊富ですし、直感的な操作が可能なので、使用する効果がある程度固定されているようなニュース番組では特にスピーディさが極立つスイッチャーだと思います。OTCと連動させる際も非常に使いやすく、安定した運用ができています」と語ります。

番組送出の準備が一層しやすくなったOTCシステムで、ゆとりのある番組送出と状況にあわせた柔軟な対応を実現

OTCシステムは、OPT画面上で直接素材を挿入したり、変更することもできるため、状況にあわせた柔軟な番組進行・送出が可能です。特に、これまでは番組が終わらないと送れなかったCueシートが日付管理になり、「いままでは当日のCueシートしか送れなかったのですが、前後1週間ずつ送れるようになり、前準備がしやすくなりました。未来の1週間分まで用意できるので、報道のデスクがあらかじめつくった翌日分を送っておくなど、使いやすさが大きく改善されています」と酒井善則様は評価します。また、外部リモート素材(素材ルーター)の制御素材数の制限が無くなりました。以前であればOTCからリモート制御できる素材数には制限があったため、ルーター内の素材によってはOTCからの制御可能、不可能な素材が存在しており、運用上苦慮しておりました。今回その制限が無くなり、幅広い素材の管理・運用が実現できています。
また、残時間表示はファイルベースや報道支援とも連動するように設計。技術局 制作技術部 副参事 菅井敬太様は、「編集機から報道支援システムへ情報が送られ、そこからOTCシステムへCueシートを送ることで残時間に自動で表示されるのですが、これが便利です。また、これまでは選択の上限が20番組だったため限度まで使用してしまうこともあったのですが、新システムでは40番組まで選べるようになり、幅広く番組を準備しておけるようになりました」と話します。


写真:北海道放送のNサブ
ライブスイッチャーAV-HS7300と108×90で構成されたルーティングスイッチャーAV-WM7400、OTCシステムが稼働するNサブ。素材が常にリエントリーも含めて90程度あるため、余裕をもって対応できる入出力数を選択。
写真:AV-HS7300
標準でDSKが4系統装備され、ニュース番組でも使いやすいAV-HS7300。
写真:OTCシステム
素材名表示もわかりやすくなったOTCシステムのOPT端末と16分割制御端末。
写真:送出サーバーのOA端末画面
送出サーバーのOA端末画面。サーバーの状態やプレイリストを表示。

素材の共有を効率的に行えるようにするため、報道フロアを一つにつなぐファイルベースシステムを構築

古くから独自素材が豊富にあることもあり、新社屋への移動を機に、その大切な財産を有効に活用する方法が検討されました。旧社屋でも送出サーバーやアーカイブシステムは利用していましたが、素材の保管はもちろん、共有に関しても効率的におこなえるようにするため、新たにファイルベースシステムが採用されました。また、アーカイブされた素材はもちろん、日々の取材で撮った素材に関しても、収録されているメディアは保管されますが、突発的に使用したい状況になった際はすぐに見つけ出して活用することが困難でした。さらにオンエアされた番組に関しては、OAのサーバーに登録・放送した後は、編集機からメディアへ白素材を書き出してアーカイブすることをしていました。それら全てを、ファイルベースシステムの導入によりオンライン化することができるようになりました。技術局 制作技術部 マネージャー 土田 保樹様は、「人が介在する必要があった素材のアーカイブ化も、ファイルベースシステムに一度取り込んでしまえば後はNサブやニュースセンターなどから様々な用途で活用することができます。オンエアのパラレコもいままでは1回ずつメディアへ記録していたのですが、全てファイルでファイルベースに保管されますし、制作も回線収録をしたりOA登録をしたり、本来の業務を行うだけで済みますから、作業が大幅に軽減されました」と語ります。
また、北海道の広大な範囲を撮影するために情報カメラは31台設置されていますが、これまでは地震発生時に拠点分ある収録機器から地震発生の時間帯の映像を探し、再生、ダビングして編集する作業が行われていました。複数拠点で夜間に発生した場合は、人員が少ないため困難を極めました。しかし、緊急地震速報と同時に、地震が発生した地域に設置された情報カメラで撮影された映像が、自動でファイルベースシステムへ登録されるシステムを構築。その素材は自動でOTCシステムまで送られるようになっているため、緊急対応が求められる状況下でも円滑な情報提供を行うことができるようになりました。


写真:ファイルベースシステム
効率的な素材運用を可能にするファイルベースシステム。
写真:ファイルベースシステム
万一の際、メモリーカード・ポータブルレコーダーAG-UMR20へ番組や撮影素材などのバックアップが可能。
写真:報道フロアのニュースセンター
回線ルームのある報道フロアのニュースセンター。
写真:回線卓
取材してきた素材のインジェストや情報カメラの映像などを扱う回線卓。
写真:ノートPCのモニター
緊急地震速報と連動して該当地域の情報カメラ映像を自動でファイルベースシステムへ登録。

Nサブ映像システム

Nサブ映像システム

OTCシステム(左)とファイルベースシステム(右)

OTCシステムとファイルベースシステム

納入機器

  • ライブスイッチャー:AV-HS7300
  • ルーティングスイッチャー(108×90):AV-WM7400
  • ペリフェラル:AV-PF3000シリーズ
    • SDAユニット:AV-PF30M1
    • 2ch SDAユニット:AV-PF30M2
    • AVDL/FSユニット:AV-PF30M3
    • MUXユニット:AV-PF30M4
    • DMUXユニット:AV-PF30M5
  • アラーム監視:アラーム監視サーバー、ソフト
  • OTCシステム
    • OTCサーバー×一式
    • OPT端末×一式
    • 16分割制御端末×一式
    • 残時間表示端末×一式
    • OTC制御装置:AV-SA3000
  • ファイルベースシステム×一式
写真:ラックに収められたAV-HS7300とAV-WM7400、AV-PF3000シリーズ
ラックに収められたAV-HS7300とAV-WM7400、AV-PF3000シリーズ

お客様の声

私達が期待していた以上のシステムが完成し、非常に円滑なワークフローを整えることができました。

前回パナソニックさんに構築していただいた旧社屋のNサブは非常に使いやすいものでした。今回はそれを踏襲しつつも、プラスしてさらに使いやすくする発想でシステムを検討したいと考えました。そのために、ファイルベースシステムを活用した、Nサブとニュースセンターの一体化に取り組みました。これまで報道フロアと外部からの素材受けを行う回線ルームについては、位置的に隣接していなかったことから、素材関係の把握がしづらかった面があり、意思疎通なども取りづらい状況でした。そこで報道フロアと回線ルームの配置を見直し、かつ回線ルームのモニター&機器ラックのレイアウト、報道フロアのモニター環境など、効率的な運用の実現に共に取り組んでいただきました。その結果、リアルタイムで素材の確認が容易となり、全体の把握もしやすく報道の指揮系統機能の向上につながっていると確信しております。パナソニックさんが中心となって、私達が要望したことに対してさらに良いご提案をしてもらえたからだと感謝しています。その結果、私達が期待していた以上のシステムが完成し、非常に円滑なワークフローを整えることができたと思っています。また、カットオーバー前に現場で実際に使用してみてから変更したいところも出てきてしまったのですが、それも「やってみます」と快く対応してもらえて、とても頼もしかったですし、工事に関しても非常にスキルが高いと感じました。感染拡大防止対策を行いながらの工事であったにも関わらず、工期が遅れることもありませんでしたから。これからも企画力のある、良いご提案をしていただけると期待しています。

写真:北海道放送株式会社技術局
北海道放送株式会社
技術局 設備計画部 兼 制作技術部 マネージャー 酒井 善則様(左)
技術局 制作技術部 マネージャー 土田 保樹様(中央)
技術局 制作技術部 副参事 菅井 敬太様(右)

お客様紹介

北海道放送株式会社様は、1951年に創立した北海道で最も歴史のある民間放送局で、2020年10月には、約60年間使用されてきた社屋から、地下1階 地上9階建ての最新設備が整った新社屋への完全移転を実施されました。「道民に最も愛され、最も信頼され、そして北海道の発展に最も貢献する、活力あふれる放送局を目指す。」を経営ビジョンに、東京や大阪、名古屋に次ぐ基幹局として、ニュース・ドキュメンタリー・スポーツ・ドラマなど様々な分野の番組を制作・放送されています。

写真:北海道放送新社屋
2020年10月から運用が開始された新社屋。



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ルーティングスイッチャー AV-WM7400、ペリフェラル AV-PF3000シリーズ

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