写真:プロジェクションマッピング
写真:プロジェクションマッピング

2020年ドバイ国際博覧会日本館様

プロジェクションマッピング
微細なミストとプロジェクションマッピングがおりなす新たな没入体験。

課題

世界最大級の大型展博における、来場者を包み込むような体験型パビリオン演出の提案。6ヶ月という長期にわたる開催期間での安定運用の確保。

解決策

パナソニックの「シルキーファインミスト」技術と、SOLID SHINEレーザープロジェクターを融合させた没入空間の創造。機材の提供だけでなく、設計段階からサービスサポート体制構築まで、日本館の運営を6ヶ月にわたり支え、安心・安全な長期間運用を実現。

2020年ドバイ国際博覧会 日本館 様 導入事例動画

背景

世界最大級の大型展博で「日本らしさ」を表現

2021年10月1日から2022年3月31日にかけて、アラブ首長国連邦(UAE)で開催された「2020年ドバイ国際博覧会」(以下「ドバイ万博」)。次回登録博の「2025年日本国際博覧会」(以下「大阪・関西万博」)にも注目が集まる中、日本館は「Where ideas meet(アイディアの出会い)」をテーマに、球面へのプロジェクションマッピングや、映像を微細なミストで包み込む幻想的なインスタレーションを展開。日本の原風景や歴史、文化を五感で味わえる体験型のパビリオンは、万博全体の中でも指折りの人気を集め、連日長蛇の列ができる盛況ぶりでした。ミストの噴射にはパナソニックの「シルキーファインミスト」が使われ、約30台のSOLID SHINEレーザープロジェクターがさまざまなスクリーンに鮮明映像を投写。設計段階からサービスサポート体制構築まで、日本館の運営を6ヶ月にわたり支えました。

日本館ロゴ

Where ideas meet––日本の歴史や文化を紐解く6つの「シーン」

古くから「出会い」を大切にし、さまざまな考えを吸収・融合することで新たなアイディアを生み出してきた日本。今回の展示は、「アイディアの出会い」という切り口から見えてくる日本古来のあり方を、6つの「シーン」で紐解いていきます。「シーン1は、日本を知らない方にも『日本』を感じていただけるゾーン。それがシーン2、シーン3となっていくにつれ、日本がどんなアイディアと出会う旅をし、どのように問題を解決してきたのか、という歴史が紐解かれていきます」そのように説明されるのは、日本館の館長を務められた安藤様。万博全体のテーマと調和しつつ、「日本らしさ」も浮き彫りになるようなコンセプトの考案に苦心されました。「シーン4は『起承転結』の『転』の部分にあたりますが、ここで日本だけでなく、世界を取り巻くいろんな課題が提示されます。それを解決するのがシーン5のフィナーレで、人間と人間がもつアイディアが出会うことによって、新しい解決のアクションをしていこう、ということをお伝えしていきます。また、ご存知のように2025年には大阪・関西万博が開かれますので、シーン6では、同万博につながるメッセージも込めました」(安藤様)。来場者には専用のスマートフォンが貸し出され、それぞれのシーンと連携できるインタラクティブな仕掛けも展開。メッセージを肌身で感じつつ、来場者自身もそこにコミットしていけるような、参加型のアトラクション空間となっています。


写真:万博全体でも指折りの人気を集めた日本館では、「アイディアの出会い」をテーマに、没入感あふれる演出が展開された。
万博全体でも指折りの人気を集めた日本館では、「アイディアの出会い」をテーマに、没入感あふれる演出が展開された。
写真:世界を取り巻く課題を視覚的に表現するシーン4のプロジェクションマッピング。
世界を取り巻く課題を視覚的に表現するシーン4のプロジェクションマッピング。
写真:安藤様
日本貿易振興機構(JETRO)
ドバイ万博 日本館 館長
安藤 勇生様

導入の背景

長期運用性と悪環境下での耐久性を評価

5年に1度、世界中から来場者が集まる最大規模の展博ということで、6つのシーンにまたがる演出は極めて大規模になりましたが、映像投写はPT-RZ21KJやPT-RCQ10J、PT-VMZ60Jなど、すべてパナソニックのレーザープロジェクターが担いました。選定の決め手は、長期間、過酷な環境での運用にも耐える安定性だったといいます。「今回の万博は、会期が6ヶ月。その前に行われる調整も含めると、実質7ヶ月以上の運用となります」そう振り返られるのは、プロジェクターの選定・設置を担当された丹青社の小林様。「そこで重視した点が3つあります。1つ目は、長期使用において安定運用ができるかどうか。2つ目が、悪環境下における耐久性。そして3つ目が、世界規模で可能なメンテナンス体制でした」(小林様)。ドバイは屋外が約40 °C、室内は約18 °Cと寒暖差が激しく、上演中はミストで湿度がたえず上下するなど、厳しい環境での運用が避けられません。高温・多湿環境での信頼性に定評あるSOLID SHINEレーザープロジェクターは、そのような環境に最適だったといえます。「また、何かが起こった時、遠方からメンテナンスに来ていただくとなると大変な時間ロスになってしまいます。今回は、パナソニックに万全なメンテナンス体制を敷いて頂けるということで、大変心強く感じました」(小林様)。

写真:PT-VMZ60Jによる床面への投写
PT-VMZ60Jによる床面への投写(シーン3)。6ヶ月の長期間運用を見据えた高い信頼性が採用の決め手となった。

高純度な「赤」の再現も採用の決め手に

1チップDLP®プロジェクターPT-RCQ10Jの採用にあたっては、色彩表現も高く評価いただきました。小林様は、3チップDLP®方式の上位モデルに迫る「赤」の純度に驚いたといいます。「我々もいろんな機器を試したのですが、結局皆さんの意見としては、RCQ10Jが一番良い。何が良いかというと、赤の発色です。赤の発色が良いと、全体の色が鮮やかになるので、赤が素晴らしいRCQ10Jを選んで本当によかったと思います」小林様に評価いただいた赤の再現性は、当社の1チップDLP®プロジェクターが強みとする点でもあり、特にRCQ10Jは、「リッチカラー・ハーモナイザー」という独自のカラーホイール技術を採用することで、3チップDLP®モデルにも負けない豊潤な色彩性を実現しています。今回は、カーテンスクリーンへの幻想的な投影が見所の「シーン1」を中心に、27台のRCQ10Jを採用いただきました。


写真:PT-RCQ10J
シーン1を見事に飾ったカーテンスクリーンへの幻想的な演出。豊かな色彩表現が欠かせないということで、高い赤純度を誇るPT-RCQ10Jが採用された。
写真:小林様
株式会社丹青社
展示コンソーシアム演出システム責任者
小林 勇様

超短焦点レンズ・魚眼レンズも活躍

「図面を見てまず感じたのは、スクリーンとプロジェクターの距離が近いということです」設計を担当された山中様(丹青社)がそう話されるように、今回のパビリオンには投写距離が確保しづらいエリアが含まれ、設計段階で苦戦を強いられました。そのような中でも大画面演出が行えるよう、当社の技術者も交えて綿密な話し合いを実施。ゼロオフセットで近距離投写が可能なオプションレンズ「ET-DLE020」を採用いただきました。「DLE020は超短焦点レンズのため、スクリーンに寄れるというのが一番大きなメリットでした。また、レンズシフトの機能もあり、それによりブレンディングもできるということで、かなり優位性が高かったといえます」(山中様)。一方、クライマックスを飾る「シーン5」では、地球がその場に現出するかのような壮大なプロジェクションを行うため、球状スクリーンを少ない設置台数でカバーできる魚眼レンズ「ET-D3LEF70」を使用。「2台のプロジェクターと魚眼レンズ2台を使いましたが、ゲストからの目線でも見えない範囲がないということが設計上確認できました。この魚眼レンズを採用したおかげで、シーン5の空間が実現できたと思っています」(山中様)。


写真:ET-DLE020を用いた近距離投写の様子。
ET-DLE020を用いた近距離投写の様子。縦長の通路など、距離が確保しづらい場所でも臨場感ある大画面で投写できる。
写真:2台の魚眼レンズET-D3LEF70
シーン5では、2台の魚眼レンズET-D3LEF70を用いて球形スクリーン投写が行われ、クライマックスを彩った。
写真:山中様
株式会社 丹青社
展示コンソーシアムプロジェクト責任者
山中 裕介様

システム概要

ミストに包まれる没入体験を

今回の展示は映像をただ上映するだけでなく、「アイディアの出会い」というテーマから見えてくる問題解決の糸口を、来場者ご自身にも考えていただくことを企図しており、演出と一体となるような高度な没入体験の創出が不可欠でした。そこでプロジェクターとともに採用いただいたのが、極微細ミストで空間全体を包み込む当社独自のテクノロジー「シルキーファインミスト」でした。「今回はパナソニックの『シルキーファインミスト』というミストのソリューションを活用することで、日本館の展示として創り上げています。霧の漂う空間に、プロジェクション(映像演出)をするということで、お客さんが今まで見たことないような幻想的な世界観を作り出すことにチャレンジしました」そう振り返られるのは、日本館のコンセプトづくりを担当された株式会社電通ライブの永友様。天井の噴霧機から極微細ミストが降り注ぎ、心地よい霧の中で、演出と一体化するような没入体験を可能にします。プロジェクターの選定・設置を担当された長谷川様(丹青社)には、「特にシーン1、2、5が、ミストを充満させるような演出の空間になっています。プロジェクターがミストによって故障しないよう、ミスト対策ボックスも制作しました」と現場での工夫も語っていただきました。このように、目、耳だけでなく肌身で感じられる映像空間の提案によって、これまでにない感動体験を創出しています。


写真:シルキーファインミスト
あたりを幻想的な霧で包み込む「シルキーファインミスト」。
写真:筐体を専用のボックスで保護
プロジェクターが故障しないよう筐体を専用のボックスで保護するなど万全の対策が取られた。

写真:永友様
株式会社 電通ライブ
ドバイ万博日本館総合プロデュースチーム展示担当
永友 貴之様
写真:長谷川様
株式会社 丹青社
展示コンソーシアム現場管理責任者
長谷川 裕二様

導入後の効果

大規模パビリオンカテゴリの展示デザイン部門で金賞を受賞

「日本館を観覧されたお客様からは、日本館が一番面白かった、次の大阪・関西万博も楽しみにしているよ、ということを直接言っていただけて、非常に嬉しく思っています。特にシアター空間においては、映像とシルキーファインミストが作り出す幻想的な世界観の中で、"wonderful!" "amazing!"といった言葉がいろんなところから聞こえてきました。見たことない映像空間と演出を、日本の結集した力で作り上げたことが大きかったんじゃないかと思います」(永友様)。日本館が全世界へと届けた演出は、博覧会国際事務局(BIE)からも評価され、大規模パビリオンカテゴリの展示デザイン部門で金賞を受賞。3年後に開かれる大阪・関西万博への期待もますます高まります。


写真:大阪・関西万博への橋渡しとなるシーン6の演出
大阪・関西万博への橋渡しとなるシーン6の演出。3年後、大阪で開かれる次回登録博にも期待が高まる。
写真:4Kリモートカメラ
会場のあちこちには当社製4Kリモートカメラも取り付けられ、館内監視の省人化にも貢献。

導入システム

  • 3チップDLP®方式レーザープロジェクター PT-RZ21KJ ×4台
  • 3チップDLP®方式プロジェクター用 超短焦点レンズ ET-D3LEU100 ×2台
  • 3チップDLP®方式プロジェクター用 魚眼レンズ ET-D3LEF70 ×2台
  • 1チップDLP®方式レーザープロジェクター PT-RCQ10J ×25台
  • 1チップDLP®方式プロジェクター用 超短焦点ズームレンズ ET-DLE020 ×20台
  • 1チップDLP®方式プロジェクター用 ズームレンズ ET-DLE060 ×5台
  • 液晶レーザープロジェクター PT-VMZ60J
  • NDI®|HX 対応4Kインテグレーテッドカメラ AW-UN70W/K

●NDI®とは、NewTek, Inc. によって開発されたIP利用における新しいライブ映像制作ワークフロー支援プロトコルです
●NDI®はNewTek, Inc. の米国およびその他の国における登録商標です。
●ここでのNDI®|HXはHigh efficiency low bandwidth NDI®|HXを意味します。


関連機器・サービス

製品写真:PT-RZ21KJ

PT-RZ21KJ

迫力の映像でエンターテインメントを演出。20,000 lmでフィルターレスデザインを実現した3チップDLP®プロジェクター。


製品写真:ET-D3LEU100

ET-D3LEU100

近距離ゼロオフセット投写で設置性をさらに向上させる超短焦点レンズ。


製品写真:ET-D3LEF70

ET-D3LEF70

最大91.6°の広画角を実現。少ない設置台数でも、全天周やパノラマ投写が可能な魚眼レンズ。


製品写真:PT-RCQ10J

PT-RCQ10J

緻密で表現力豊かな映像演出。高画質と耐久性を兼ね備えた1チップDLP®プロジェクター。


製品写真:ET-DLE020

ET-DLE020

省スペース設置にかつてない柔軟性を実現。1チップDLP®モデル向けゼロオフセット超短焦点ズームレンズ。


製品写真:ET-DLE060

ET-DLE060

1チップDLP®モデル向けズームレンズ。


製品写真:PT-VMZ60J

PT-VMZ60J

レーザー光源を軽量・コンパクトボディに搭載。明るい空間でも鮮明な映像を投写できる液晶プロジェクター。


製品写真:AW-UN70W/K

AW-UN70W/K

美しいストリーミングを実現する4Kインテグレーテッドカメラ。4K解像度と様々な映像出力・制御をIPネットワークでつなぎ、一つ先の感動を提供するライブプロダクションをサポート。

  • NDI®とは、NewTek, Inc. によって開発されたIP利用における新しいライブ映像制作ワークフロー支援プロトコルです。
  • NDI®はNewTek, Inc. の米国およびその他の国における登録商標です。
  • ここでのNDI®|HXはHigh efficiency low bandwidth NDI®|HXを意味します。

製品写真:シルキーファインミスト

シルキーファインミスト

⾃社開発の2流体ノズルで⽣成される極微細ミスト。光を拡散し空間全体を光源⾊に染める、光の軌跡を投影して⽴体感のある映像・照明演出をするなどの⾼度な演出が可能に。