ベルギー鉄道様(ベルギー)
ベルギー鉄道様(ベルギー)

ベルギー鉄道様

車掌業務サポート
リアルタイムの情報を活用して、車掌業務をサポート。長時間稼働と頑丈性能、きめ細やかなカスタマイズが決め手。
ベルギー鉄道(NMBS社)様は、今後数ヶ月の間に、既存の車掌用プラットフォーム「IBIS」に替えて、新しいデジタル情報プラットフォーム「ITRIS」を導入します。ITRISの導入によって、車掌はお客様に、リアルタイムで運行情報をお伝えすることができるようになり、お客様が乗車中に運賃を支払う際にも、支払方法が複数選べるようになったため、サービスの向上が期待されています。2015年末までに、NMBS社様の車掌全員がタフパッド FZ-M1を新しいITRISとして携帯する予定です。
写真:ベルギー鉄道様(ベルギー)

導入の背景

デジタル化への取り組みと問題点の克服

2005年、NMBS社様はIBISを導入し、デジタル化に取り組み始めました。車掌は“MOBIB”カード(ブリュッセルの公共交通機関STIBで使うことができる、チャージ式の乗車カード)をIBISでスキャンするだけですぐに、お客様がどの駅から乗車したのかわかるため、車内で切符を販売することができるようになりました。しかし、IBISは10年ほど前のプラットフォームなので、徐々に今のIT技術には適さないようになってきました。そのため、NMBS社様はIBISに替わる新しいプラットフォームとしてITRISを採用することに決めました。

NMBS様にIBISが導入された当初、IBISは非常に革新的なシステムだと好評を得ていました。IBISの導入によって、NMBS社様は2,500名以上もの車掌に対して、広範囲のデータフローをデジタル化することができるようになったのです。しかし、時間の経過とともに、様々な問題が起こり始めました。NMBS社様のプロジェクト・マネージャーであるパスカル・ルーム氏によれば、昨年、NMBS社様が保有されている3,000台前後のデバイスに、7,000件以上もの技術的な障害が発生したそうです。また、NMBS社様の車掌は、こういった技術的な障害以外にも、デバイスの故障や、バッテリーの稼働時間の短さなどといった問題にも頭を悩まされていました。さらに、デバイスの重量が1.3kgもあるために、NMBS社様ではいつも、車掌から手首や肩を痛めたという報告を受けていました。こうしたIBISの様々な問題点を克服すべく、NMBS社様では、車掌のための新しいプラットフォームを開発することが決定されました。

NMBS社様は、実際にデバイスを使う車掌のニーズをできるだけ反映できるように、プライスウォーターハウスクーパース社(PwC社)様とサービス契約を結ぶことにしました。まずは、車掌がどのような環境で働いているかを細かく検討し、その検討結果に基づいて、どのようなデバイスが必要なのか、選定の基準が設定されました。選定過程の中で、車掌が常に携帯するデバイスは特に、軽さが必要不可欠だということが明確になってきました。新しく導入するデバイスは、1.3kgものIBISよりも軽くなければいけません。軽量化のために、NMBS社様は、従来の紙のチケットをやめ、モバイル・チケットシステムを導入することにしました。これまでは、紙のチケットだったので、プリンターが一体となっているデバイスを使用する必要がありました。しかし、モバイル・チケットシステムに変更することで、プリンターは必要なくなりました。このシステムの導入によって、プリンター部分約300g以上を軽くすることができました。また、勤務時間中、車掌が常に通信できるようにするには、バッテリーの稼働時間も非常に重要なポイントです。故障のリスクなく使用できる信頼性の高さ、画面の輝度、加えて、落下や列車内の振動に耐える頑丈さといった点も必要不可欠です。

写真:FZ-M1使用イメージ
写真:FZ-M1使用イメージ

導入のメリット

型にとらわれないシステム開発

PwC社様のディレクターであるスティーヴン・アックス氏によると、NMBS社様とPwC社様は、条件に合うデバイス探しを始めてからすぐに、このような厳しい条件をすべて満たすデバイスを見つけるのは非常に困難なことだと気付かれたそうです。難航するデバイス探しを経て、最終的に、カスタマイズされたパナソニックのタフパッド FZ-M1が採用されることになりました。ITRISは2台のデバイスで構成されています。主端末として、7インチのタフパッド FZ-M1が機能します。そして、もう1台の小さな端末を使用して、切符や“MOBIB”カードの確認作業や支払処理を行います。今回のNMBS社様向けのようなプロジェクトでは、独自のシステム開発が必須です。ITRISとして使用しているタフパッド FZ-M1は、NMBS社様向けに特別に設計されたものです。パナソニック・コンピューター・システムズのカントリー・マネージャーであるスティーヴン・ヴィンデヴォーヘル氏によると、まず、タフパッド FZ-M1には車掌の手元業務に使いやすいよう、カスタマイズがされました。次に、SIMスロット、NFC、スマートカードリーダー、そしてホットスワップ可能なバッテリーが取り付けられました。1つのデバイスの中に、4GモジュールとGSM-Rモジュールを搭載することは至難の業で、設計・開発は非常に困難でした。しかし、最終的には、必要な機能をすべて兼ね備えながら、なんと、重量をわずか850グラムに抑えることができたのです。このシステム開発は、技術面においてだけでなく、コミュニケーション面においても特別なものでした。ルーム氏によると、システム開発の間、NMBS社様は、日本のパナソニックの開発技術者と頻繁に連絡を取り合い、開発技術者の1人は、このプロジェクトを直接、指揮するために、日本からわざわざやってきたそうです。そのおかげで、開発作業を問題なく、また迅速に進めることができたのです。システム開発の期限にも、無事に間に合わせることができました。

写真:FZ-M1使用イメージ

タフパッドを活用したこれからの展望

将来も使い続けられるデジタル情報プラットフォーム

NMBS社様では、約250人の車掌による試用テストの高評価を受けて、2015年9月からITRISの導入を開始しました。2015年末までに、NMBS社様の車掌全員がタフパッド FZ-M1を新しいITRISとして携帯する予定です。

新しいデジタル情報プラットフォームであるITRISの導入によって、NMBS社様は作業の効率化をさらに進めています。NMBS社様の車掌は、トラブル、遅延などの運行情報にリアルタイムでアクセスし、その情報をお客様にも即座に伝えることができるようになりました。そうした豊富な情報はオフラインでも利用することができます。加えて、検札や運賃の回収の車掌の業務全体がよりスムーズに行えるようになりました。ITRISがあれば、お客様が列車内で銀行カードを使って運賃を支払うことも可能になります。また、ITRISはNMBS社様の社内コミュニケーションにも大きく寄与しています。ITRISを使えば、3Gや4Gのインターネット接続がいつでもできるので、紙の時刻表の代わりに、常に最新の情報を手元に持っていられると車掌たちからも高く評価されています。

ルーム氏は、ITRISがお客様とのコミュニケーションだけでなく、社内のコミュニケーションまでも、より良いものにしてくれていると確信を持っています。ITRISという新しいプラットフォームの導入によって、欧州鉄道におけるNMBS社様は技術分野の先頭に立っていると、誇りを持っているそうです。

NMBS社様では、今後もお客様へのサービス向上のため、タフパッド FZ-M1を使ったサービスのさらなる拡大を検討しています。

写真:FZ-M1使用イメージ

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