写真:競技映像AR撮影システム
写真:競技映像AR撮影システム

アーケ株式会社様

競技映像AR撮影システム
ARを活用したリアルタイムの競技情報表示で、スポーツクライミングの魅力を伝えるライブ配信を実現。

課題

ルールや競技進行の分かりづらさを解消し、スポーツクライミング競技の魅力を伝えるライブ配信を行いたい。

解決策

FreeD※1対応のリモートカメラを採用し、ライブ映像に競技の情報をリアルタイムで合成するARシステムを構築

FreeDではカメラ側から自動的にパン、チルト、ズームの情報が出力されるため、大会の長丁場の撮影でも安定したAR撮影ができ、とても助かっています。

アーケ株式会社 代表取締役 筒井 真佐人様
導入事例|リモートカメラ:アーケ株式会社様  公益社団法人 日本山岳・スポーツクライミング協会様

背景

「ボルダリングジャパンカップ」のライブ配信でAR映像を活用

公益社団法人 日本山岳・スポーツクライミング協会様が主催するスポーツクライミング大会「ボルダリングジャパンカップ」は、日本一のクライマーを決めると同時に、その年の日本代表選手の選考を行う国内最大のボルダリング大会です。大会のライブ配信では、視聴者の観戦をサポートするための施策として、AR/VR技術を活用し、リアルタイムで壁上に競技情報を表示させる演出が行われています。2022年2月5日(土)から2日間にわたり開催された「第17回ボルダリングジャパンカップ」では、競技のAR撮影にパナソニックの4KインテグレーテッドカメラAW-UE150W/K 2台が活用されました。


採用理由

コンパクトなシステムで運用でき機能拡張性に優れた点を評価

AR/VR技術を駆使したスポーツクライミング用映像システム「OnlineObservation®」を開発し、大会での運用を担当するアーケ株式会社の筒井真佐人様は、採用の理由についてこう語ります。「大会開催地での仮設運用が基本になるシステムのため、少人数で設置・運用できるコンパクトなシステム構築が可能なカメラを求めていました。また、どんな撮影にも対応できる機能性や、自社開発のソフトウェアと組み合わせた運用が可能であることなど将来的な拡張性も重視し、柔軟な本体ソフトウェアと、高い撮影機能を備えたAW-UE150W/Kの導入を決めました」


採用による効果

FreeDを活用したAR撮影システムを構築

今大会の配信では、会場の2階席に設置したAW-UE150Wと会場前方に電動ドリーに載せて設置したAW-UE150Kの、合わせて2台のカメラでAR撮影を実施。AW-UE150からFreeDで出力されたトラッキング情報を基に、課題の範囲を示すワイヤーフレームや、壁面の角度情報を実際の映像にリアルタイムで合成する運用が行われました。「FreeDではカメラ側から自動的にトラッキング情報が出力されるため、大会の長丁場の撮影でも安定したAR撮影ができ、とても助かっています。今大会では、2台のAW-UE150のAR映像をVRで繋ぐ『MRトランジション』を取り入れるなど、よりARのポテンシャルを追求した演出に挑戦できました」と筒井様は語ります。

高性能な機構で安定した撮影を実現

会場2階席のAW-UE150Wでは、主に競技壁や客席を含めた会場全体を撮影。横長の競技壁をワンショットで撮影するシーンでは、水平75.1°の広角撮影が活躍しました。また、設置位置から約60 m離れた競技エリアを十分な画質で撮影できる光学20倍ズームなどの高い撮影能力も評価されたポイントです。電動ドリーに搭載されたAW-UE150Kでは、光学式画揺れ補正(OIS)とドリー本体の防振性能により、動作時も揺れを感じさせない滑らかな撮影を実現しました。電動ドリーを用いた撮影について筒井様は「OISの強力な補正能力により実写とARがズレることなく、非常になじんだ映像を撮影できました。OISは電動ドリーを用いたAR撮影においてとても有効な機能だと思います」と話します。


写真:当日の配信映像
当日の配信映像。課題範囲を示すフレームや壁面の角度をARで表示し観戦をサポート。
写真:競技進行や観戦を妨げることなく臨場感ある競技映像を撮影。
競技進行や観戦を妨げることなく臨場感ある競技映像を撮影。
写真:配信映像は会場のLEDビジョンにも表示された
配信映像は会場のLEDビジョンにも表示された。
写真:電動ドリーに設置されたAW-UE150K
電動ドリーに設置されたAW-UE150K。本体搭載の光ファイバー用端子を用いて、約50 m後方の中継席まで光ファイバーで伝送することで、設営の省力化を実現した。
写真:会場2階席へ設置されたAW-UE150W
会場2階席へ設置されたAW-UE150W。優れたパン・チルト性能により、被写体までの距離が異なる場合も同じ感覚でコントロールできると好評。

システム構成図

システム構成図

採用機器

4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE150W/K ×2台


お客様の声

配信の視聴者にもボルダリングの魅力を伝えられる演出を実現できた

私たちは毎シーズン、中継映像の視聴者にスポーツクライミングの魅力を伝えるための新たな施策を検討しています。ARを活用した大会中継はその内の1つとして2019年から取り組んでいる演出で、ルールや競技進行の分かりづらさを解消しつつ、実際の映像になじみ観戦を妨げない演出だと視聴者からも好評です。コロナ禍中での開催となった今大会は、来場を見合わせる方が多いことも予想されていたため、配信で観戦する方へ配慮した演出を実施できたことは非常に良かったと思います。今後はライブ配信の質向上だけではなく、配信で大会を見た視聴者が会場へ足を運びたくなるような、集客につながる演出の検討も進めていきたいです。(藤枝隆介様)

会場の観客に向けた競技解説の拡充にも取り組んでいきたい

今大会ではAW-UE150の2台運用など初めての試みも取り入れ、一層クオリティの高い映像を配信できました。これからはAR技術のさらなるブラッシュアップはもちろん、会場の観客に向けた実況システムの構築にも取り組みたいと考えています。会場で詳しい実況ができないというスポーツクライミング競技の制約をクリアでき、観客を盛り上げられるような施策を今後検討していきます。(筒井真佐人様)

写真:藤枝様と筒井様
公益社団法人 日本山岳・スポーツクライミング協会 競技委員会 常任委員 藤枝 隆介様(写真右)
アーケ株式会社 代表取締役 筒井 真佐人様(写真左)
※所属は取材時のものです。

お客様紹介

「OnlineObservation®」で大会配信をサポート

アーケ株式会社様はインタラクティブな映像システムの開発を得意とし、広告・イベントなど様々な分野で活躍するクリエイティブスタジオです。スポーツクライミング競技の課題を3Dモデル化するVRサービスと、ARによる競技情報表示を組み合わせた「OnlineObservation®」を開発し、2018年より大会のライブ配信での運用も担当しています。


「 第17回ボルダリングジャパンカップ」の大会ロゴ
「 第17回ボルダリングジャパンカップ」の大会ロゴ。
「 OnlineObservation®」のサービスロゴ
「 OnlineObservation®」のサービスロゴ。

※1:FreeDプロトコル:AR/VRシステム用のカメラトラッキングデータを出力するプロトコルです。AW-UE150W/Kは、AR/VRの合成などに必要とされるカメラのパン・チルト・ズーム・フォーカス情報の出力をしています。

関連機器・サービス

製品写真:AW-UE150K

4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE150K

4K/60p出力対応。高倍率ズームと広角撮影により、柔軟な映像制作を実現するリモートカメラ。